学習支援を行っている建物に足を踏み入れると、甘辛いお醤油の匂いが立ち込める。
「今日は、日本海で釣ってきたブリを下さった方がいるので、それをブリ大根にしようと思って煮ているの」
てらこや無償塾岐阜キッズな(絆)支援室の代表である、若岡さんが嬉しそうにおっしゃいました。
夜は「スマイルBasket」が学習支援を行っているお寺で、土曜日の昼間「てらこや無償塾」が学習支援とこども食堂を行っています。
小学生は和室で、受験が迫ってきている中学生は本堂の横の会館で、それぞれ教員OBが中心となったボランティアさん達が、子どもたちに勉強を教えています。
もともと、東北震災の避難者である子どもたちの支援から始まった「てらこや無償塾」ですが、現在は震災の避難者だけでなく、様々な困難を抱える子どもたちの居場所となっています。
学習意欲は大変強いけれど、経済的理由などで塾に通えない。
けれど、ここで一生懸命勉強し、希望する高校への合格を果たし、将来の夢に向けての第一歩を踏み出す子どもたちが後を絶ちません。
特に中学生の子どもたちの学習に対する姿勢は真剣そのもの。
ボランティアの先生がマンツーマンであたたかく、丁寧な指導をしています。
勉強が終われば、こども食堂でみんなで一緒にお昼ご飯をいただきます。
全ての食材が、無農薬の有機野菜にこだわり、あたたかいご厚意やご支援のもといただいたものです。
この日は、ご厚意でいただいた国内生産0.1%と言われる国産のゴマを炒ってすりごまにして、お漬物などに振りかけていただきました。
ゴマをすったり、果物を切ったり盛り付けたりを、調理実習という形で子どもたちが楽しそうに行います。
50人分の食事の準備ができると、子どもたちとボランティアさんたちが一緒に楽しく食事をいただきながら、今日頑張ったことを一人ずつ発表していきます。
「ほめてもらえたのが、すごくうれしかったです」
何人かの子どもたちから、そんな言葉が出てきました。
ボランティアさん達も、
「よくがんばったね」
「とても上手に書けていて、びっくりしました」
と、愛情にあふれるコメントが続きます。
大きな家族のような雰囲気もある「てらこや無償塾」。
おいしいお食事をいただいた後は、全員が自分の茶碗を流しであらって片づけました。
ここは、学習支援の場であり、こども食堂であり、あたたかい居場所でもあるのです。