2018/10/26 09:27

ご支援頂きました皆様、

おかげ様で今年の養蜂のオンシーズンを、

みつばち共々元気に過ごすことができました。

 

予定よりも長くシーズンを引っ張って様子を見てきましたが、

寒さも急に深まり、今週の養蜂の作業をもって、

来年に向けての冬越しへの準備に入ります。

 

大変お待たせしましたが、

これより皆様への報告を数回に分けて、

また、お返しの製作に取り掛かりますので、

宜しくお願い申し上げます。

 

(メイン画像:10月、冬に向けて背高泡立草に訪花するみつばち)

 

 

本日は報告その1、

今シーズンの養蜂についてお伝えさせていただきます。

 

 

達成に先んじて、

沖縄の仲間からみつばちを送ってもらい、

春の暖かさも相まって順調に

みつばちの数が増えていきました。

 

宝塚の蜂場も、イノシシ対策の電柵も新たにして、

安心して過ごすことができました。

 

 (僅かな隙間にも巣を造ろうとするみつばち)

 

晴れの日が長く続き、みつばちの健康面や、巣の中の衛生面でも良い期間が多かった印象です。

 

ただ、春先の早過ぎる陽気は、

みつばちが充分に増える前に期待していた蜜源の花が終わってしまったり、

時期がずれて初夏の花が春に咲いても蜜を充分に吹かなかったりすることにつながりました。

 

(早く咲いて虫の害が少なかった鈴生りのブルーベリー)

 

その影響で、例年5月中旬からの採蜜は、

前回報告させていただいた5月下旬に、

例年からは半月ほど遅れて漸く始まりました。

 

 

またその後、

長過ぎる晴れの渇いた期間と、その合間の集中豪雨や台風は、

蜜源植物が花蜜を吹こうにも吹けなかったり、

花や植物自体が傷んでしまったりと、

植物にとっては厳しかったようです。

 

(9月、台風で宝塚蜂場の巣箱の間に倒れる大きな松の木)

 

我が家でも、雨の間隔が長すぎて、

イネ科の雑草が2度も茶色くなり始める程でした。

 

 

それでも6月には何度か採蜜のチャンスに恵まれました。

 

 

7月に入り暑い日が続く中、

また蜜もだいぶ貯まってきて、完熟されたように見えたので、

いつものように採蜜してみたのですが、

何故か糖度が充分に上がっていない事態にもぶつかりました。

(77度以下だと発酵・・・蜂蜜ではない。80度以上が望ましい。例年81~83度程度。)

 

 

例年は採蜜しない秋蜜にも淡い期待をして、

シーズンを今まで引っ張ってきましたが、

採蜜できるまでの貯蜜量には至らず、

冬越しの蜜を確保して終了となりました。

 

(8月末、招かれざる珍客)

 

結果的には、ぼぼ6月のみの採蜜で、

残念ながら蜂蜜は例年の3~4分の1の収量になってしまいました。

 

 

みつばち達が元気に過ごすのには充分な蜜がありましたが、

いつものように私達が分けて頂ける余剰な蜜を集めるまでには、

今年は気候に恵まれませんでした。

 

 

これは日本だけではなく、世界的にも今年は不安定な収量に終始している様子です。

フランスの養蜂家からも例年の3分の1だという声も聞きました。

 

 

また、今年の蜂蜜の質については、

蜂蜜が充分に巣に貯まって、

完熟(みつばちが濃縮して、蜜蝋で完全に蓋をかけた状態)するまでに、

原料の花蜜が少ないために長い期間が必要になり、

単花蜜の特徴ある風味にはならず、

百花蜜としての採蜜となりました。

 

(7月中旬、僅かな完熟蜜(左)と花蜜(中央))

 

もちろん美味しいのですが、

例年ほどは、採れた日による違いが

味も色も香りも大きくない印象です。

 

 

皆様には、御礼のはちみつをお届けさせて頂く中で、

はっきり差が判る方が良い、糖度が例年くらい濃いものが欲しいなどの要望がございましたら、

昨年度のもの(結晶しているものも)や、

来年までお待ち頂いたり分割してなど、

ご希望にあわせて対応させて頂きます。

 

 

私が養蜂を始めて十数年になります。

みつばちと過ごすなかで、

より敏感に気候の変化を感じてきたつもりです。

私達が思う順調な気候の推移をしたのは1・2回のみで、

段々と極端に変動が振れてきて、

勘違いして生長してしまう植物の種類が増えてきている印象です。

 

(7月中旬、虫の訪花が目立たないリョウブの花)

 

植物は気温や日照の変化ですぐに生長する、

みつばち等動物は徐々にしか家族を増やせない。

 

逆に植物は何年何十年かけて世代を超えなければ移動できない、

動物は過ごしやすい方へいつでも移動できる。

 

この時間のギャップを埋めるのが難しくなってきています。

 

(数は減っても、毎年姿を見せるクワガタ(店内カウンター上))

 

植物側のことは、

如何ともし難いのがもどかしいのですが、

 

みつばち側で自然な形でどう工夫していくか、常々模索しています。

 

 

 

次回はそんな日々の間に、

 

ルーマニアのオーガニックの蜂蜜と出会ったり、

 

東京に蜂蜜のイベントに視察へ行ったり

 

海外研修の機会をいただいた中で見えてきた展開について、

 

続報させて頂きます。

 

 

甲山HoneyGarden

大東 義弘