はじめまして、養蜂家の大東 義弘(おおひがし よしひろ)と申します。
兵庫県西宮市というと、街や住宅をイメージする場所ですが、
街から15分、農村や六甲山にもつながる山地の境目で、
妻の友加里と娘と一緒にみつばち達と暮らしています。
養蜂を師匠から教わって十余年、パーマカルチャー(持続可能な暮らしのデザイン手法)も同時期に学んだこともあり、薬や人工的な飼料などを使わずに、「蜂と人と、地球にやさしい養蜂」を目指して日々奮闘しています。
自然のままの活きたはちみつ
私たちは、高糖度(80度以上)、非加熱(raw、生)、農薬・抗生物質・人工飼料を使わずに、
出来得る限り自然のままの、活きたはちみつをお届けしています。
みつばちは、巣に持ち帰った花の蜜を濃縮して「はちみつ」として保存するとき、糖度が80度を超えた状態で蓄えます。
その完熟したはちみつをいただいて皆様にお届けするのですが、
採ったはちみつが元の巣の中で管理されるはずの温度を大きく上回らないように非加熱にこだわって管理し、
花の蜜を濃縮するときにみつばち達が加えた酵素も活きた状態を保つようにしています。
もちろん、みつばちが普通に暮らす中で使うはずもない農薬や抗生物質等の人工的なものを、
飼っている最中からはちみつを採る過程を通して持ち込むことはありません。
餌として砂糖水や栄養剤を与えることもありません。
巣の点検時や収穫時には、直射日光や道具の熱などで蜜の温度が上がらないように気をつけていますし、病気や害虫(蜂や巣につく小さな虫)の対策には、環境づくりや自然のものを活かして、または手作業で除きます。
そうしてはじめて、活きたはちみつをみつばちと同じように、
私達もいただけるようになるのです。
はちみつの収穫は、みつばちが沢山蜜を集めることが出来る5月から8月半ばまでの間に行います。
それ以降の秋の蜜は、みつばちが、冬を越すためと春の成長のための栄養として残しています。
私たちは、みつばちにとって余りになる蜜を、分けていただいています。
そのようにして、みつばちの暮らしをそのままに、私達も寄り添って暮らしています。
このような方法は、通常の現代養蜂に比べて収穫量はもちろん減りますが、出来る限り余計な(人工的な)手を掛けず、自然のままの活きた生のはちみつを届けられるように心と手間を掛けています。
突然の事件発生
2015年も終わりに近く寒さが募る頃、事件は起きました。
みつばちの活動も気温に伴い低くなって、巣の中にこもり始め、充分に残したはちみつと花粉で越冬準備も整えた矢先です。
いつもと同じように養蜂場の様子を見に行った日のこと、森の道を進み蜂場が開けて見え始めましたが、整然と並んでいたはずの巣箱が視界にありません。
更に近づいてみると、台の上に乗っていた20はあったはずの巣箱が倒れているではありませんか!
・・・大変だ!こんな夜も冷え込む中、家がなくなってはみつばちが凍えてしまう!!・・・
しかしそんな心配など無用なほどの惨状・・・
しばらく放心状態の後、よく見て回ると、
箱は転がされ割られ噛じられ、中の巣は食い荒らされ踏みつけられ、
沢山で巣の真ん中に集まって「押しくらまんじゅう」のように温めあって過ごしていたはずのみつばちの姿は全く見当たりませんでした。
ハニカムの美しかった巣に残された足跡や、噛じったり舐めたりした後に付着した毛から、何者の仕業かはすぐに判りました。「イノシシ」です。
10年程養蜂に関わって初めてのこと、もっともっと長く養蜂をされている先輩方に聞いても前代未聞の、生きているみつばちの巣箱に対するイノシシの食害でした。
もともとイノシシの多い地域で、他の2箇所の養蜂場も含め、普段からすぐ傍にイノシシが歩いているのが日常です。アライグマも多くいます。
しかし野生動物も賢く、普通ならば中に蜂が生きている箱は判るようで、本能的に近づくことはありません。
どうも事故的にか学習の上でか、寒い中で巣箱を倒して、刺されないように蜂が凍えて動けなくなっている隙に食べたのではないか・・・
もしくは多少刺されることも厭わず食べるに至ったのか・・・
あくまで推測ですが、ずっと2年間ほど遠巻きに私の養蜂の様子を眺めていた1頭のイノシシがおり、何かのきっかけで賢く学んだ結果、そうした行動を取ったのではないかと思います。
その後、1年の間、蜂場を放置して蜂場まわりも含め荒れてしまいました。
が、昨春から少しの箱数ですが、簡単な防獣対策をして再開してみたところ、なんとかワンシーズン無事に過ごせました。
協力してくれる人員も増えてきたこともあって、物理的な柵も含めて対策は可能になり、巣箱に関しては、ありがたいことに師匠から頂くことも出来ました。
ただ、まだまだ元のみつばちの数には及びません。
今のままでは、私たちのはちみつを必要としていただいている方に、十分な量をお届けすることができない状態です。
やはり、皆さんに蜂蜜を少しでも多く収穫してお届けしたい。
はちみつ本来の美味しさを少しでも多くの方に知っていただきたい。
しかし当時の実害は資材・みつばちだけでも数百万円分。
そのうえ、昨年の収穫減も重なって、ある程度までは戻すことができましたが、獣害前の規模に戻すのは困難な状況です。
そこで皆様からの支援をお願い申し上げます。
集まったご支援から、今年も採蜜期が迫っている中ですので、まずはみつばちを増やすところから始め、規模の回復と蜂場整備と再び害獣に襲われないための対策を行います。
豊かに暮らせる森を創る
今後、みつばちの蜜の源となる樹々を増やしていきたいと思っています。
その樹々の蜜により、みつばちが豊かに元気になります。そのみつばちが森の中の花や樹々の受粉をおこない、さらに森が豊かになっていきます。
そんな豊かな森が増えていけば、みつばち以外の昆虫も増え、それを食べる動物たちも豊かになり、乱れてしまっている生態系が元に戻っていきます。
そうなれば、イノシシが餌がないために街に降りてきて、人を襲ったり、食べ物を食い荒らしたりすることも少なくなります。
さらに、その生態系のほんの一部である、小さなみつばちの大きな家族がおりなすストーリーを、子供たちをはじめ、多くの人に実際に見て・触れることによって、五感すべてから色んなものを感じてほしいと思っています。
インターネットから簡単に色んな情報が手に入る今だからこそ、実際の場に足を運び、そのものにふれることが大切だと感じています。
そのための見学用の服や蜂箱に近づく為の仕掛けを造ったり、学習用の資料を取り揃えたいと思います。
もし、さらなるご支援を頂けましたら、
蜂場を手が回り品質を維持できる範囲でさらに増やす費用や、
ボランティアや研修の受け入れの体制の充実、
同じ様な思いのもと養蜂に取り組んでいる養蜂家(国内・海外)につながり学ぶための費用、
オリジナルの商品開発等に使わせていただきたいと思います。
この壮大な夢を実現する第一歩のため、皆様のお力をお貸しください。
よろしくお願いいたします!!
資金の使い道
みつばちの購入費 50万円~
資材購入費 10万円~
蜂場整備費 20万円~
電柵等獣害対策費 10万円~
その他経費 10万円~ 計100万円
最新の活動報告
もっと見る2年目の報告
2019/12/31 23:26年の瀬もあとわずかの報告となります。 ご支援から2年目に入れたのも 皆様のおかげと感謝しつつ、 御礼を贈れるように体制の立て直しを目指す一年として臨みました。 しかし、昨年に続き不作となり、 採蜜量は例年の1/6~1/5、 品質は低糖度で良くなく (近隣の趣味養蜂家も同様の事態との事)、 加工用に回すこととなりました。 今年は瓶詰めでの販売も、初夏前に停止させていただきました。 元来の水不足の地域柄に、気候変動の波が加わり、 植物がついていけないか、振り回される事態が顕著になってしまいました。 植物の状況が、昨年の疑念とあわせて、今年は確信に変わり、 来年以降の計画を大幅に見直さなければいけないと思っております。 今後も地域的に安定した収穫が見込めない中、 現況の養蜂に労力と資金を投資し続けるのは難く、 事業の方向性の転換せざるを得ません。 正直なところ転換の要因は、 環境への不安だけではなく、 不作続きからの資金繰りの厳しさや、 家族の状況からの労力配分の変化など、 多岐にわたります。 養蜂を安定的に続ける方法も考えられます。 一つは、養蜂場を他地域に移したり増やしたり移動養蜂をする・・・資金や体制を整えるのが難しく、投資の見返りが確実とは言えません。 二つめは、品質を落としても良しとして飼い方や採蜜方法を妥協する・・・信頼を裏切ることも、それを皆様か口にされることも望むことではありません。 しかし、今の養蜂は完全に辞めることはせず、 みつばちを飼うことを通して、 皆様へのお返し出来るようにしたいと思っております。 当初の通りのお返しが出来なかったり、 御支援者方々のご希望も変わっているかと存じます。 今考えられる範囲では、 蜂は最低限の群数での飼育とし、 やはり自家採蜜のはちみつをご希望の方への返礼分の採蜜を目指します。 昨年出会ったルーマニア蜜のような、私の養蜂経験や価値観を通して確かなはちみつを探し、そちらでの返礼も検討します。 また、現況にあわせてお話会や見学会の提案をさせていただきます。 この春の養蜂が始まるまでに、 現実的な返礼の新たな提案と、 ご希望をお聞きするものを送らせて頂きますので、 宜しくお願い致します。 2019年末 甲山HoneyGarden 大東 義弘 もっと見る
大変長らくおまたせしております。
2019/05/01 13:03ご支援頂きました皆様、 なかなか連絡も出来ず大変失礼致しました。 ネガティブな事象がが続き、体制が整いませんでした。 大変申し訳ありません。 ご支援頂き獣害に対する備えが出来、 壊れた設備も復旧することが出来ました。 しかし、多大なご支援頂いたにも関わらず、 品質的にも、在庫的にも、経済的にも、 機械的にも人員的にも(こちらは内部事情ですが)、 ご支援前よりも厳しい状況に陥り、 返信や御礼を送る事すら出来なくなっておりました。 何とか今年の蜜蜂を少数ながら確保し、 ここまでの気象状況からすると、 今後の収穫が見込めそうな状況となりました。 昨年度不足分を今年以降で確保し、 時間がかかっても、 なんとか体制を整えてお礼をお届けしますので、 御容赦願えましたら幸いです。 厳しいなかですが、 この春の気候の推移は希望がもてる状況ですので、 ご報告させていただきます。 採蜜が出来ましたら、また改めてご報告させていただきます。 宜しくお願い申し上げます。 甲山HoneyGarden 大東 義弘 もっと見る
年間報告、その1。
2018/10/26 09:27ご支援頂きました皆様、 おかげ様で今年の養蜂のオンシーズンを、 みつばち共々元気に過ごすことができました。 予定よりも長くシーズンを引っ張って様子を見てきましたが、 寒さも急に深まり、今週の養蜂の作業をもって、 来年に向けての冬越しへの準備に入ります。 大変お待たせしましたが、 これより皆様への報告を数回に分けて、 また、お返しの製作に取り掛かりますので、 宜しくお願い申し上げます。 (メイン画像:10月、冬に向けて背高泡立草に訪花するみつばち) 本日は報告その1、 今シーズンの養蜂についてお伝えさせていただきます。 達成に先んじて、 沖縄の仲間からみつばちを送ってもらい、 春の暖かさも相まって順調に みつばちの数が増えていきました。 宝塚の蜂場も、イノシシ対策の電柵も新たにして、 安心して過ごすことができました。 (僅かな隙間にも巣を造ろうとするみつばち) 晴れの日が長く続き、みつばちの健康面や、巣の中の衛生面でも良い期間が多かった印象です。 ただ、春先の早過ぎる陽気は、 みつばちが充分に増える前に期待していた蜜源の花が終わってしまったり、 時期がずれて初夏の花が春に咲いても蜜を充分に吹かなかったりすることにつながりました。 (早く咲いて虫の害が少なかった鈴生りのブルーベリー) その影響で、例年5月中旬からの採蜜は、 前回報告させていただいた5月下旬に、 例年からは半月ほど遅れて漸く始まりました。 またその後、 長過ぎる晴れの渇いた期間と、その合間の集中豪雨や台風は、 蜜源植物が花蜜を吹こうにも吹けなかったり、 花や植物自体が傷んでしまったりと、 植物にとっては厳しかったようです。 (9月、台風で宝塚蜂場の巣箱の間に倒れる大きな松の木) 我が家でも、雨の間隔が長すぎて、 イネ科の雑草が2度も茶色くなり始める程でした。 それでも6月には何度か採蜜のチャンスに恵まれました。 7月に入り暑い日が続く中、 また蜜もだいぶ貯まってきて、完熟されたように見えたので、 いつものように採蜜してみたのですが、 何故か糖度が充分に上がっていない事態にもぶつかりました。 (77度以下だと発酵・・・蜂蜜ではない。80度以上が望ましい。例年81~83度程度。) 例年は採蜜しない秋蜜にも淡い期待をして、 シーズンを今まで引っ張ってきましたが、 採蜜できるまでの貯蜜量には至らず、 冬越しの蜜を確保して終了となりました。 (8月末、招かれざる珍客) 結果的には、ぼぼ6月のみの採蜜で、 残念ながら蜂蜜は例年の3~4分の1の収量になってしまいました。 みつばち達が元気に過ごすのには充分な蜜がありましたが、 いつものように私達が分けて頂ける余剰な蜜を集めるまでには、 今年は気候に恵まれませんでした。 これは日本だけではなく、世界的にも今年は不安定な収量に終始している様子です。 フランスの養蜂家からも例年の3分の1だという声も聞きました。 また、今年の蜂蜜の質については、 蜂蜜が充分に巣に貯まって、 完熟(みつばちが濃縮して、蜜蝋で完全に蓋をかけた状態)するまでに、 原料の花蜜が少ないために長い期間が必要になり、 単花蜜の特徴ある風味にはならず、 百花蜜としての採蜜となりました。 (7月中旬、僅かな完熟蜜(左)と花蜜(中央)) もちろん美味しいのですが、 例年ほどは、採れた日による違いが 味も色も香りも大きくない印象です。 皆様には、御礼のはちみつをお届けさせて頂く中で、 はっきり差が判る方が良い、糖度が例年くらい濃いものが欲しいなどの要望がございましたら、 昨年度のもの(結晶しているものも)や、 来年までお待ち頂いたり分割してなど、 ご希望にあわせて対応させて頂きます。 私が養蜂を始めて十数年になります。 みつばちと過ごすなかで、 より敏感に気候の変化を感じてきたつもりです。 私達が思う順調な気候の推移をしたのは1・2回のみで、 段々と極端に変動が振れてきて、 勘違いして生長してしまう植物の種類が増えてきている印象です。 (7月中旬、虫の訪花が目立たないリョウブの花) 植物は気温や日照の変化ですぐに生長する、 みつばち等動物は徐々にしか家族を増やせない。 逆に植物は何年何十年かけて世代を超えなければ移動できない、 動物は過ごしやすい方へいつでも移動できる。 この時間のギャップを埋めるのが難しくなってきています。 (数は減っても、毎年姿を見せるクワガタ(店内カウンター上)) 植物側のことは、 如何ともし難いのがもどかしいのですが、 みつばち側で自然な形でどう工夫していくか、常々模索しています。 次回はそんな日々の間に、 ルーマニアのオーガニックの蜂蜜と出会ったり、 東京に蜂蜜のイベントに視察へ行ったり 海外研修の機会をいただいた中で見えてきた展開について、 続報させて頂きます。 甲山HoneyGarden 大東 義弘 もっと見る