23歳、運命の本との出会い
長野県白馬村のペンションに住み込みで働きながらスノーボードを楽しんでいた23歳のある日、私は1冊の本と出会いました。
「森林浴健康法」
それはドイツの森林について詳しく書かれていた本でした。
それまであまり本を読まなかった私は、何故かその本の一節に心を強く動かされました。
「フィトンチッド」
フィトン(植物が)チッド(殺す)
高等植物は幹に傷がつくと、その傷口を細菌から守るために周囲の植物を殺す物質を放つ、と言います。それがつまり「森の香り」だと書かれていました。
「えっ?森の香りは周囲への攻撃だったの…?」
読み終えると同時に、私の心は森の中に深く引き込まれていました。
「森に関わる事をしたい」
そんな想いが日に日に増していきました。
木工作家との出会いー木工の世界へー
↑国産材を使った木のアクセサリーを製作していました。木の世界を知る第1歩でした。
ある日、一人の木工作家と出会い、その出会いをきっかけに私は何のためらいもなく木工の世界へ入りました。
今考えると、それは「森に関わる仕事がしたい」と言う安易な気持ちがそうさせたのだと思います。
案の定、木工の世界は厳しいもので、毎日深夜まで続く過酷な労働、休みもなくただただ働く日々。
木の香りに包まれるささやかな充実感はあったものの、いつしか私の心は鉛色の雲を胸に抱えながら毎日を過ごしていました。
結婚を機に森を離れた…
そんな折、当時交際していた彼から突然のプロポーズを受け、私は結婚を理由に木工の世界を離れました。
しかし、その日を境に私の葛藤の日々が始まります。
「何かが違う」
「これでいいのか」
「このままで本当にいいのか」
問い続ける毎日が私を苦しめました。
「山へ行きたい」
「森に会いたい」
と言う想いが日に日に明確になってきました。
私の居場所は森なんだ
↑「いしかわ里山保全活動リーダー会」の活動
結婚を境に一度は封印し、心の奥底に無理やりしまい込んだ熱い想いが再燃しつつあったある日、里山保全活動を進める「いしかわ里山保全活動リーダー会」を知りました。
彼らはこう言います。
「緑豊かに見える森は、実は病気なのです。見てください、大地は呼吸不全を起こしているんです」
その言葉に私の心は奮い立ち
「やっぱり私の居場所はここなんだ!」
「もっと森を知りたい!」
それからの私はまるで水を得た魚の様に、里山保全の知識や自然学校のインストラクター技術を学び、本格的に地球や森の学問を学びました。
森は悲鳴をあげている
↑拡大された造林の風景
しかし学べば学ぶほど、知れば知るほど、この地球の近い未来に強い不安を抱き始めました。
戦後日本人は高度経済成長を理由に、あらゆる広葉樹林を一斉に切り払い、その跡地に杉を植えました。
その背景にはアメリカ式資本主義に裏付けされた経済需要があったからです。
森の多様性は失われてしまいました。
その結果、地球は、森は、悲鳴をあげています。
私は来る日も来る日も森に入りました。
なんとか手を打たねばと言う強い思いからでした。
周囲の仲間は
「里山保全なんて続かない」
「そんな事をしても無駄だ」
とあざ笑いました。
その言葉と、何ら手を打てずに呆然と立ちすくんでいる自身の無力さに私は何度も打ちひしがれました。
彼らの言う事も理解できます。
無報酬のボランティア活動には自ずと限界があります。
しかし私は何としてもこの地球を、この森を救いたかった。
そしてようやく気づきました。
救うために必要なモノ、それは「経済」だと言うことを。
34歳、森を救うために起業
そして34歳。私は起業しました。
経済を生み出し、その経済を循環させる事で、一人でも多くの人たちに呼吸不全に陥っている地球の姿が瀕死の中でもがいている森の姿を伝えることができる。
その時、私は私の中に強烈な使命を見ました。
私の体内でようやく魂が目覚め、激しい鼓動が全身を鳴らした瞬間でした。
森が役割を果たすためには適度な伐採が必要
森には、土砂災害を防いだり、水を貯めたり、地球温暖化の防止、生物多様性の保全、木材の供給など、様々な役割があります。
しかし、森の手入れが行われないと、この機能は果たされなくなってしまいます。
日本は国土の約7割が森林という世界で3位という森林大国であるにもかかわらず、木材自給率はわずか3割ほど。
しかし、木の伐採や森の管理を考えると、輸入建材の方が安いため、日本も森の木は利用されずに手入れも行われないまま放置されてしまっていることが多くあります。
森林を手入れするためには、適度な伐採が必要です。
木々は成長してくると、林の中が込み合ってきます。
そのまま放置すると隣あった木々の枝葉が重なりあい、根も十分に張るコトができなくなり、木々が健全に育むことが難しくなります。
間伐を行わない暗い森林では、地表がむき出しとなり、降った雨などとともに土壌が流れ去り、根までがむき出しとなります。
こうなると様々な森林の恩恵あ失われ土砂崩壊等の山地災害がおきやすい森林となってしまいます。
↑(出典:平成25年度森林・林業白書 )
↑(出典:平成25年度森林・林業白書 )
そこで木の間引き「間伐(かんばつ)」を行う必要があります。
間伐するコトで木々が健全に成長し、価値の高い木材を生産することができます。
また、間伐により、一本一本の木が適度な間隔を保つことで、太陽光が木の根本や地面まで十分に届く環境の中で森林生態系も豊かに育っていきます。
間伐により太陽の光が木々の間から林床まで差し込むようになることで、草、低木、動植物が育って共存するようになります。
人工林において、自然がもつ本来の循環を保つためには森林を正しく保育、管理すべく計画的な間伐や主伐が重要とされています。
木材を利用することで、森が循環する!
↑(出典:平成28年度森林・林業白書)
間伐を行うにはコストがかかるため、森は放置されています。
しかし、間伐した木材を利用してお金に変えることができれば、間伐を行うコストをまかなうことができ、森の手入れが可能になります。
そこで私は、間伐材を使った木工品を作り販売することにしました。
↑オリジナル商品の共同開発で様々な商品となりあなたの元へ届けられます。
間伐材を買い取ることで、間伐のためのコストが賄え、森が手入れされ、森が蘇るのです。
間伐材を使って作ってきたものは、日用の小物だけではありません。
飲食店や家材にも使ってきました。
間伐材は、立派な資源なんです。
↑飲食店でも、石川県の杉で作られたプレートにお料理を乗せて提供しています
↑お部屋の内装にも活用され、おしゃれに演出されています
間伐材を使ったSDGsバッジを作りたい!
そして今回、間伐材を使ったSDGsバッジを作成しました。
↑石川の間伐材を使って作ったSDGsバッジ(穴なし:オリジナルデザインで木目が見えて美しいです)※一点物ですので、木目は一つ一つ異なります。
↑石川の間伐材を使って作ったSDGsバッジ(穴あり:国連本部で売っているバッジと同じデザインです)※一点物ですので、木目は一つ一つ異なります。
SDGsとは?
↑SDGs(持続可能な世界へ向けての2030年までの17の目標)
SDGsとは、国連の持続可能な開発目標で、持続可能な世界へ向けて2030年までの17の目標と169のターゲットが定められています。
飢餓や貧困の撲滅などの基礎的な目標もあれば、ジェンダーの平等やクリーンエネルギー、まちづくり、持続可能な生産と消費など、私たち先進国が取り組むべき課題も多くあります。
その中の1つ、ゴール15は「森の豊かさを守ろう」というゴールで
・陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進
・森林の持続可能な管理
・砂漠化への対処
・土地劣化の阻止および逆転
・生物多様性損失の阻止を図る
ということで、まさに私が取り組んでいる課題なのです。
間伐材を使ったSDGsバッジが普及することで、森が少しですが手入れされることになり、SDGsの認知が向上することで、森の豊かさだけでなく、持続可能な世界へ向けて行動を起こす人が増えると考えています。
ピンの取り付けは手作業なのですが、株式会社ヴィスト様のご協力を得て、障害をもたれる方に作業をしていただきます。
● 支援金の使いみち
今回みなさんに支援を頂いた資金は全て木工品の作成にあてさせて頂きます。
・SDGsバッジの制作費
・リターン品の発送費
・間伐材を使った木工品の制作費
※ご支援いただいた順に、 バッジを随時発送いたします。バッジ以外のお返し品は完成後お送りしますので、少々お待ちいただく場合がございます。ご了承ください。
● お問い合わせ先
加藤麻美
メールアドレス kato@rootive.co.jp
Facebook https://www.facebook.com/asami.katou1
<ウェブサイト>
ルーティヴ公式HP http://rootive.co.jp/
石川里山保全活動リーダー会HP http://satoyama.jpn.com
金沢トレイル http://kanazawa-trail.asia
●クレジットカード決済以外の支援方法
現金や銀行振込など、クレジットカード利用以外でのご支援方法を希望される方は、個別に対応させて頂きます。
下記アドレスまでメールにてご連絡ください。折り返し手順についてご案内させていただきます。
★Email【kato@rootive.co.jp】
※1 ご連絡頂く際は、件名に"【FAAVO石川】支援方法について"とご記入下さい。
また、本文中には下記情報を必ずご明記下さいますようお願い致します。
【必須記載事項】
・お名前
・ご住所(リターン品の送付先)
・電話番号
・メールアドレス
・ご支援金額
・ご希望のリターン品
※2 銀行振込の場合、振り込み手数料につきましては支援者さまにご負担頂きます。ご了承くださいませ。
その他、会員登録、クレジットカードでのご支援方法につきましてご不明点ございましたら、お手数ですがFAAVO運営事務局までご連絡下さいませ。どうぞ宜しく御願い致します。
森の役割(参考資料)
●水をたくわえる
森林が雨や雪などで降った水をためるはたらきを、ダムに例えて算定しました。
8兆7,407億円
森林の保水能力は440億トン(琵琶湖の貯水量の1.6倍、生活用水使用量の3倍)
この年間貯留量は1,860億トン
●洪水を防止する
森林が雨水をたくわえることで洪水の時に流れ出る水の量を少なくするはたらきを、ダムに例えて算定しました。
6兆4,686億円
森林は洪水時のピーク流量を2/3にカット
●水をきれいにする
森林がたくわえた水が、その土壌できれいになるはたらきを、雨水をきれいにする人工施設に例えて算定しました。
14兆6,361億円
森林は水質を中和し、ミネラルを付加
●表土の流出を防ぐ
森の植物や落葉などが、地面の表面の土が流れ出るのを防ぐはたらきを、えん堤に例えて算定しました。
28兆2,565億円
森林の土砂流出防止量は年間50億立方メートル。(札幌ドーム3,300杯分)
●土砂くずれを防ぐ
森林の樹木が根を張り巡らすことによって地面の土砂の崩壊を防ぐはたらきを、山腹工事に例えて算定しました。
8兆4,421億円
森林の土砂崩壊防止面積は年間960平方キロメートル。(サロマ湖面積の6.3倍)
●保健休養の場所になる
森林が野外教育・環境教育やリフレッシュの場となるはたらきを、観賞旅行費用に例えて算定しました。
2兆2,546億円
国民の7割が年に1度は森林を訪れています。
●野生の鳥獣をまもる
森林が野生の鳥獣の住みかとなるはたらきの一部を、鳥のえさ代に例えて算定しました。
3兆7,792億円
森林は約200種の鳥類、約2万種の昆虫類をはじめとする野生動植物の貴重な生息・生育の場
●二酸化炭素を吸収する
森林が育つときに酸化炭素を吸収するはたらきを、火力発電所が二酸化炭素を回収するときに例えて算定しました。
1兆2,391億円
森林の二酸化炭素吸収量は年間9,700万トン
●木造の建物が二酸化炭素をたくわえる
木を使って家などを建てることで二酸化炭素がたくわえられて空気中に出ていくのを防止するはたらきを、
火力発電所が二酸化炭素を回収するときに例えて算定しました。
2,261億円
※日本学術会議が平成13年11月1日にまとめたものを掲載させていただきました。
最新の活動報告
もっと見る山が荒れる事を嫌う時代
2018/05/10 18:54今の時代この時期になると山には藤の花が見える。見渡せば遠目でもわかるくらい。昔は藤の花というのは山にはなかった。なぜなら、先人達は山へ入り藤ツルがあれば、ナタで伐っていたから。なぜなら、藤ツルが巻きつけば倒したい木があったとしても藤ツルが邪魔になり伐らなくてもいい木まで伐ってしまう事になるからだと。私は聞いた。だから、藤ツルが山にあるというのは山が荒れている証拠だという。私の祖父は85歳だ。3年ほど前に大腿骨を骨折をしてから足がとっても不自由になり歩くのが困難になってしまった。骨折する前は、山へ行ったり田んぼしたりとアクティヴなじいさんであった。そんな祖父が先日どうしても山へ行くと聞かない。理由は1つ。藤ツルが木に巻きついているのが気になるのだ。そのコトばかり考えてイライラして機嫌が悪かった。自分でできないから尚更だ。GWに父が藤ツルを切りに行くのを杖をつきながらついていきちゃんと伐るのをチェックしていた。そして山は綺麗になって祖父はとっても機嫌が良くなった。私の祖父の時代の人達は山が荒れるのをものすごく嫌う。どのように教育されたのか、山をとっても大事にしている。現代人はなぜそのコトを忘れてしまったのだろうか。 もっと見る
集団的無責任という病
2018/03/22 19:23大都会東京ではものすごい数の人が歩いている。 私は以前その中を歩いていた。 ある時、なにかをよけるようにみんなが歩いていて前の方に何かがあるのだろうと 想定しながら歩き進めるとそこには人が倒れていた。 見た感じは泥酔しているようにも見えた。(日中だった)が、本当の所はわからない。 なぜなら私は前を歩く人達に続きその人をよけて歩いたからだ。 でも私はひそかに小さな罪悪感みたいなもの抱いていた。 実はどこか具合が悪かったのではないか? と、その小さな罪悪感を抱きながら歩き進めた所で振返ってみた。 が、相変わらずよけられていた。 もしこの出来事が東京ではなく金沢だったら。 田舎だったら。 誰も周りにいなかったら? 私はどうしていたのだろうか。 日常生活や仕事でのこの小さな無責任はおそらく日常茶飯事であろう。 ゴミが捨ててある。そこにはゴミが次第に増えていく。 これは何にでも当てはまる。いじめだってそうだ。 環境問題もそうだ。 「みんなやっているし」、「誰かがやってくれるだろう」、「自分一人ぐらいなら大丈夫だろう」 という小さな無責任。 この小さな無責任をみんながやると巨大な無責任となるだろう。 「誰かがやってくれるだろう」 という心理は本当は 「やらなくてはならない」とわかっているからこそ生じるように思う。 この小さな無責任がやがて巨大な無責任となる。 自然環境は この小さな無責任によって 変わりつつあるのだと思う。 もっと見る
自然保護
2018/03/16 12:59この言葉の持つ意味に、近頃私は少し違和感を感じている。なぜなら、自然保護と言う言葉には 保護する強者と保護される弱者が含まれている。人が、自然を保護すると言う。 いつからだろう。いつから人は強者になったのか、いつから自然を弱者にしてしまったのか。 アイヌやインデアン達は、悠久の歴史の中で自然を神と悟り四季の振る舞いを敬い護り続けてきた。 神の前で彼らは畏怖し尊敬し従属を誓う。やがて彼らは神に許されるとその傍に寄り添い「護る」を生きる営みにして来た。おそらく我々の祖先もアイヌやインデアン達のような暮らしをしてきたはずだ。 私は思う。自然ほど強く、偉大で、そして優しく、ぬくもりを与えてくれる、無償で何も語らず我々に恩恵を与えてくれる存在が他にあるだろうか。 人は求める。必要以上に求め自然へ与えるコトはしない。人はいつだって強者の立場だ。 私もそうだ、保全活動とは保護して安全であるようにする活動をしている。とはいえ、強者と思っている訳ではない。いつだって私は自然の前ではちっぽけだ。 では、何が適切な言葉なのか?というコトを言いたいわけではない。 個人個人が環境の意識を持ち、その上で選択する。そんな風になっていくことを私は望んでいる。 今こそ私達は傲慢と思い上がりを捨て、自然にひれ伏し許しを乞う時なのではないだろうか。 もっと見る