大山の頂上を保護する会広報部の西村です。今回は大山の頂上を保護する会の活動にも長年ご尽力いただいている遠崎幸雄さんが、1985年(昭和60年)に執筆された大山頂上の崩壊に関する文章を引用させていただき現在の状況をお伝えします。
「大山の頂上を保護する会では、大山の頂上や登山道にポイントを設定して、崩壊の様子を継続的に調査しています。この中で特に著しい崩壊が認められる頂上付近について、調査結果をまとめてみました。図1はここ四年間(昭和57~60年のライン)の頂上の崩壊状況です、多いところは年間に約50cm、少ないところでも30cm程度崩壊が進行しています。」
昭和57から60年までの4年間と、それから現在に至るまでの30数年間では、崩壊の進度が明らかに違います。昭和60年に大山の頂上を保護する会の活動が本格化します。一木一石運動による植栽の成果で山頂の崩落が緩やかになったものと考えられます。
「山の崩壊にはいろいろな状況がありますが、大山の場合には、いくつかの特殊な条件があります。独立峰で海岸に近いなどの理由によって気象が激しいこと、山の基盤となる岩石が崩れやすくいたるところで露出していること、さらに山全体に保水力がない等が上げられます。このような条件の中で、近年登山者が激増し、頂上は踏み固められて裸地となってしまいました。これでは、雨水が地下に浸透するのはごくわずかで、ほとんど流れてしまいます。さらに登山道は崩れて雨水の通路となっています。大山の崩壊を分類した内のひとつに、ブロック崩壊といわれるものがあります。これは図2のように、表面を流れた雨水が壁側へ滝のように落下するとき、砂、岩をえぐり取って庇ができます。それが重みに耐えられなくなったとき、大きな塊となって落下します。この現象は九合目付近の北側や頂上のキャラボクが崩れ落ちる場合に見られます。」
頂上碑の裏側は、まさに今このブロック崩壊の状態かもしれません。先日、5月16日に夏山登山シーズンの始まりに併せて行われた登山道整備に参加してきました。そのときの頂上碑裏の様子がこの写真です。まだ頂上碑の真下までは浸食されていませんが植栽したヤマヤナギが必死に根を張り支えています。
崖から一番近いところを見るとこんな感じです。安心安全な登山をしてもらうためにも、どうしても頂上碑を崩落前に移設しなければならないのです。こんな危険な状況を見過ごすことはできません。
みなさまのご支援とご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。