ご挨拶
はじめまして。「オーベルジュ飛騨の森」オーナー兼シェフの中安俊之と申します。私は、オーストラリア、イタリアで15年以上、料理人として研鑽を積んだ後、5年前に日本に帰国しました。そして、1979年よりペンションを経営していた妻の実家がある飛騨高山に移住し、先代から事業を引き継ぐ形で、2016年に宿をリニューアルオープンし、現在へと至ります。
しかしながら、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、当館はもちろんのこと、飛騨高山も、現在進行形で大打撃を受けております。そこでこの度、私たちと地域の存続をかけ、初めてクラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げることを、急遽、決断いたしました。
飛騨高山の現状
年間約500万人。その内、約60万人のインバウンド観光客が訪れる、日本有数の観光地、飛騨高山。しかしコロナ禍によって、3月の観光客数は半減、4月は、日本三大美祭としても知られる春の高山祭も中止となり、5月の観光客数は何と99%減。街からは人影が消え失せ、まるでゴーストタウンのような状況になりました。写真は今月初めに撮影した、普段であれば大勢の人々で賑わう古い街並みの様子です。
宿の危機
高山駅から4km程離れた森の中。鬱蒼(うっそう)とした木々に取り囲まれるようにひっそりと立つ「オーベルジュ飛騨の森」
私たちの土地に誇りを持ち、地元だからこそ、つい忘れがちなこの土地の良さを、お客さまに気づいて頂きたい。そんな想いから、私たちの宿で提供する野菜は、有機栽培や自然栽培など、化学肥料・殺虫剤・除草剤などを使わない、地元の農家さんが中心に収穫したものばかり。また、ワインも有機栽培や自然栽培のブドウを使ったナチュラルワインを、常時100種類程取り揃えています。
そんな折、2月21日に新型コロナウイルスの感染者が、近隣の世界遺産・白川郷を訪れていたことが報道された途端、宿を取り巻く状況は一変しました。毎年春には、約8割を超えるインバウンドのお客様を中心に宿泊されますが、渡航制限と相まって、年内の予約は、残念ながらその全てがキャンセルとなりました。
近年、飛騨高山では宿の新規出店が相次いでいました。しかし、先月開業したばかりのホテルも予約が入らず、新設計画を断念するホテルも既に出始めています。また、私たちの宿も含め、その多くが現在、長期休業を強いられており、早々に秋までの休業を決めた宿もあるほどです。その最大の理由として、もし、飛騨高山地域で初となる新型コロナウイルス感染者を、万が一、自分の宿から出してしまったら一体どうなってしまうのだろう?という切実な思いがあるためです。
未来のために、今できることを考える
私たちの宿は先述した通り、既に2ヶ月以上、お客様の脚が途絶えています。このままでは当館をはじめ、飛騨高山の宿泊や観光にまつわる事業者の未来はありません。この地域の未来のために、今できることは何か?を考えながら、有機や自然栽培の野菜、ナチュラルワイン、高山の歴史、サービスの向上など、真剣に悩み、改めて勉強し直す毎日が続きました。
いくら時間が過ぎても、状況は変わらない中、ある日、農家の友人の畑を訪れると、コロナ禍など、どこ吹く風の様子。野菜の苗を植え、稲を植え 種を播き、森や水の流れを整備し、黙々と働く姿がそこにはありました。彼らに話を聞くと、卸先や取引先のレストランなどからのキャンセルの電話は止まない中、来たる日に備え、淡々と準備をしています。
また、老舗木工家具メーカーの飛騨産業さんが、森林資源の有効活用を目的に立ち上げた「きつつき森の研究所」による、抗菌効果が認められる成分を含み、疲れた心身に穏やかに働きかける天然無添加のアロマオイルと芳香蒸留水が、地元に存在することも知りました。
魂を守らなくては
日本の食料自給率は37%と、先進国の中でも異常なまでに低い現状です(アメリカ:130%・ドイツ:95%・イギリス:63%)。最近、話題になった種苗法改正や、また、栽培方法など様々な問題はありますが、当館でも、本来当たり前であるはずの安心・安全を、より多くの方々に届けたい、と常日頃から思っています。
そこで返礼品には、当館の宿泊券や、普段から取り扱うナチュラルワインだけでなく、上述の抗菌アロマオイルに加え、地元農家で採れる、化学肥料や農薬を一切使っていない長尾農園さんのトマト、ソヤ畝畑さんの固定種・在来種の野菜。まんま農場さんの有機肥料だけを使用した、減農薬の新米、ふくわらび(福蕨)さんの桃。そして、塚越農園さんの飛騨メロン、観光客の減少で行き場を無くした飛騨牛(ながせ食品さん)。さらに飛騨産業さんの椅子など、飛騨高山の農業や畜産、また林業や木工にまつわる名産品を準備いたしました。
最後に
100年後の未来、この土地に、一体何を残すことができるのでしょうか?
これまで、上高地や北アルプスなどの山々、また、世界遺産の白川郷に囲まれた飛騨高山の、観光による賑わいによって支えられてきた私たちは、今、切実なまでに、農業や林業など地域産業全体も含め、新たな地方創生と、またSDGsでも掲げられている持続可能な未来の姿を探す必要に迫られています。
東京都全体に匹敵する面積を誇る飛騨高山は、日本一大きな市。そして森林率は何と92%。この豊かな自然の中にこそ、必ずその可能性がある、と信じています。そのためにはご支援頂いた方々と繋がることで新しいコミュニティを創り、共に思案し、対話を続けていくことでその姿を見出していきたい、と考え、今回のプロジェクトを立ち上げました。
資金の使い道・スケジュール
ご支援頂いた資金は、新型コロナウイルス感染症終息までの当館の維持運営と、また、宿や地域の未来の姿を創るために新規事業の立ち上げのための資金として大切に使わせて頂きます。皆様のお力添えの程、よろしくお願い致します。
オーベルジュ飛騨の森 中安俊之拝
会社:株式会社 飛騨の森(運営会社)
住所:506-0035 岐阜県高山市新宮町3349-1
電話:0577-34-6575
携帯:090-5005-1862(中安)
最新の活動報告
もっと見る日本の農業について考える
2020/07/23 22:07現在日本の農業従事者の平均は67歳。2010年から2020年で60%の農家さんはいなくなりました。日本に輸入されている作物は63%です。そのうち遺伝子組み換え作物(トウモロコシ・大豆・ナタネ・綿)は9割となっています。オーガニックや自然栽培しか宿では使いませんとは全く言えませんが、近隣の農家さんたちは志高く野菜を育てています。循環型社会を目指し堆肥を使いトマトやアスパラを作る長尾さん。地元で乳酸菌を食べさせた牛ふんから作る堆肥を使用しています。堆肥といってまず思い浮かべるのが、臭い!しかし全く臭いなどしません。(驚)アミノ酸や放線菌、糸状菌が沢山含まれるという堆肥はまさに山の土と同じ匂いがします。彼のトマトを食べると「うまい」。甘さだけではなく酸味と甘さのバランスがよく嫌な苦みなどもなく素直な味です。3才になるうちの子供もパクパク食べます。是非みなさんにもお届けしたいです。続いては自然栽培を営むソヤ畝畑の森本さん。彼は堆肥も使わず地力と向き合いながら野菜を育てます。経済的なことを考えると単一品種を大量に作るほうが効率もいいですがあえて少量多品種を選び50種類以上の野菜を育てています。一人で多品種を育てることは並大抵のことではありません。それでも彼はいろいろな野菜を育てることにこだわっています。コロナウイルスのように何かが来ると全滅しないように色々作ることによりリスクヘッジをおこなっています。その土地で種を採り続けると、環境にだんだんと野菜があってくると彼はいいます。均一なものを狙うと、コロナウイルスのような事が来るだけで、大惨事になってしまいますが、多品種を作り地域のものだけで生き残るシステムはまさに現代社会における問題定義ではないでしょうか?高齢化が進み、耕作放棄地が増え、農業人口が減る今現代、少しでも多くの方に日本の農家さんのことを知っていただければ幸いです。正直者がバカを見ない、世の中のためにも若者が作る野菜たちを是非応援よろしくお願いいたします。 もっと見る
目標金額達成しました!! ありがとうございます
2020/07/17 22:17皆様本当にありがとうございます。たくさんの方よりとてもあたたかなメールを頂きました。クラウドファンディングをさせていただくためご協力くださった飛騨信用組合やキャンプファイヤーの方々、ご支援いただいた皆様心より御礼申し上げます。一方で本日も東京で過去最多の感染者数293人、素直に目標達成を喜べない自分がいます。目標達成で感謝の気持ちもあり、連日降り続く雨による全国的な災害が続き、と今後について考え色々な気持ちが入り混じっています。全国的に早く安心できる世の中が来ることを切に願います。このクラウドファンディングという取り組みに初めて参加させていただき、皆様とのつながりをより一層感じることができました。日本以外にも以前お泊り頂いた外国の方々からも心配されるメールも頂きたくさんの方の顔が脳裏をよぎりまるで走馬灯のような不思議な感覚になりました。現在状況は変わりませんが、私たちは元気に暮らしています。皆さんなにかお困りのことはありませんか?コロナはまだ続きそうです。免疫力を高めることが大事といろいろニュースなどでも盛んに言われています。避難をしたいがお金が心配な方、都会で生まれたので田舎をお持ちでない方、これを機に有機野菜などを考えている方、生活環境を疑似的に変えてみたい方、是非なにかご協力できることを一緒に考えます。ご連絡いただければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたしますオーベルジュ飛騨の森中安 俊之 もっと見る
17日目 近況報告
2020/07/11 10:38日本各地を襲った集中豪雨により、私たちが暮らす飛騨高山の周辺でも、各所で大きな被害が起こっています。 上高地で発生した土砂崩れによって道路が寸断され、多くの方々が孤立し、高山から名古屋へと向かう国道沿いも、飛騨川の氾濫と土砂崩れにより、多くの箇所で通行規制が敷かれています。たくさんの方々からご連絡を頂き、ご心配をおかけ致しましたが、幸いにも、まだ高山市内ではほとんど大きな被害は起こっていません。ただし、植林された針葉樹の山の保水力は弱く、利便性を目的に新たに開いた道路には、すぐに水が溜まって通行止めとなり、新しく造成された宅地では、山側でさえ床上浸水が起こっています。日本国内で新型コロナウイルスの感染が再度拡大している中、今回の水害とそれに伴う報道の影響で、ようやく自粛ムードから戻りつつあった当館の予約状況も、またキャンセルが増え始め、まだまだ道のりは遠い状況です。今こそ先人たちの知恵と、この土地で脈々と受け継がれてきた文化に目を向けて、循環型で災害にも強い、新しい生活、新しい宿の様式を、皆さまと一緒に作っていきたいと考えています。引き続き皆さまのお力添えを、何卒よろしくお願い致します。最後に、この度の豪雨で被災された皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。オーベルジュ飛騨の森中安 俊之 拝 もっと見る
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