富士山頂は頻繁に雲に覆われるので,雲水の中に含まれている大気汚染物質を調べるのには絶好の場所です.
ところで,雲をどうやって集めるかご存知でしょうか?
高校で模擬講義をしたときに,「大きなビニール袋をもって,走って集めるのですよ!体力が必要です!!」と言ったところ,多くの学生が「へぇ〜」とか,「なるほど」という顔をしていてました.ほんの一部,「ホントか?」と疑っている学生さんもいました.
写真の奥にある白い細線が,富士山頂で用いている雲水採取装置です.ローテクなのに驚かれるかもしれません.どうしてこのようなもので雲が集められるのでしょうか?
詳細は,成果報告会やサイエンスカフェでご説明したいと思います.
一方.ガスやPM2.5のような粒子を採取するには雲が邪魔者です.以前,PM2.5を採取するために,地上で用いている装置を設置したところ,水浸しになって装置が壊れてしまいました.
雲粒は平均粒径が20 マイクロメートルくらいの大きな水滴です.そこで,サイクロン式分級装置という,大きな粒子を除去しながらPM2.5を採取する装置(写真手前)なら使えるのでは?と考えました.
実際に,このサイクロン式分級装置を富士山頂で用いたところPM2.5の採取に成功し,PM2.5からマイクロプラスチックを発見することができました!
この装置は柴田科学株式会社が開発したものであり,マイクロプラスチックの検出にはパーキンエルマージャパン,堀場製作所,日本分光にご協力いただきました.
富士山頂では,このような失敗を繰り返しながら創意工夫し,皆様のご支援を受けながら行っています.