2020/07/22 20:00
富士山の山頂では雷雲を見下ろすことも多々あります。「落雷」は、雷雲から下に向かって落ちてくるという感覚に合った言葉ですが、山頂では必ずしも落ちてくる雷ばかりではなく、昇ってくる雷も珍しくないのです。そして、山頂にはとても多くの落雷があります。
1752年、ベンジャミン・フランクリンは、雷を伴う嵐の中で凧を揚げる実験をしました。凧糸の末端に接続したライデン瓶に電気をためて雷雲の帯電を証明した、有名なフランクリンの凧の実験です。
山頂にある旧富士山測候所には、山麓までの長い接地線(電気を逃がすための導線)がついています。まさに、とても大きなフランクリンの凧です。私たちは、山頂付近に落雷があれば、この「富士山フランクリンの凧」でその電気を集めて、落雷現象を詳しく調べることができると考えました。そして、観測装置を自作し、2013年に雷観測を始めました。近年は装置もバージョンアップし、山頂を中心とした広いエリアの雷を観測できるようになりました。