空気中に浮かんでいる液体や固体の粒子を大気エアロゾル粒子といいます。大きさは数nm(ナノメートル)(1nmは千分の1um(マイクロメートル))から数10 umまで存在します。健康影響が問題になっている PM2.5もエアロゾル粒子ですが、2.5 um以下の粒子を質量で表します。二酸化炭素などの温室効果気体の増加により気温が上昇していることはご存知だと思います。エアロゾル粒子は太陽光を直接、散乱・吸収し、雲粒の核として働き雲の反射率や寿命を変えることで気候へも影響します。おおよそ、地球を冷やすことがわかっており、エアロゾルも悪役ばかりとはいえません。その冷却効果は二酸化炭素の温暖効果に匹敵するという報告もありますが、まだよく分かっていません。
私たちは7月、8月だけですが2006年から富士山頂で大気エアロゾル粒子の測定を行っています。 2006年の夏には空気1ccあたりに約800個ありましたが、2019年には約200個とこの13年の間に約四分の1に減少しています。特に出来立ての小さい粒子(核生成)の数が減少しています。これがどのように気候へ影響するか目下解明中です。今年は山頂の観測が中止になってしまいデータが途切れてしまいましたが、来年からまた観測が続けられるよう準備を進めていますので、ぜひ、ご協力をお願いします。