富士山に登って水を飲む。飲むと容器は空になる。空の容器はゴミになる。ゴミを持ち帰るときに考えた。容器を潰すか潰さないか、蓋を閉めるか閉めないか。いろいろ試して容器を潰さず蓋を閉め、下山したときの実験を紹介します。富士に登ると下がり、下ると上がる大気圧。自然環境は、どのような振る舞いを見せてくれたでしょう。
富士山頂では1日2L(リットル)の水を飲むように心掛けました。それでも約1.5Lが無理のない量です。1日525mLのペットボトル約3本がゴミになります。富士山頂に4昼夜滞在すると12本です。飲み終えた容器に残った僅かな水をティッシュで拭きとり、山頂の空気で満たされた空の容器の蓋を閉め、重さを量ります。下山途中、数回大きな音に気がつきました。容器が潰れた音のようです。下山口まで下ると、容器は折れ曲がるように潰れていました。
家や学校に帰り、潰れた容器をそのまま水槽の水に沈め、溢れた水の体積と重さを量るなどしました。容器内にある富士山頂の空気の体積が、大気圧などの違いでどれだけ変化したのかを見て、気温、気圧、体積をボイル・シャルルの式に代入して理想気体からのずれを探り、高校物理の教材のタネを仕込み、潰れた容器を標本にしました。
そしてさらに、富士山頂で水を容器に数mL残したまま密閉し、下山して時間を置いて見てみると、水は消えていました。あれっ? そこまで予見できなかった事実に向き合い、探究は深まります。そして今度は、容器に残す水の量を変えて実験です。再実験は来年です。
今回の理科実験の意図は、ゴミを実験器具に使ったことでした。低い山でも同様の実験をして結果を比べるなどの工夫ができそうです。こうして地球の鉛直方向の自然の変化と向き合う視点を得て、その摂理の一端を探ります。次世代へ繋ぎたい青少年の「フシギごころ」をもっとワクワク刺激できそうです。