2020/08/21 12:00

Earth Light Project技術チームです。私たちは、「宇宙に炎を掲げて、その炎越しの地球を撮影する」という人類史上初の試みを実現させるべく、工夫を凝らし、実験を積み重ねながら、装置を開発しています。今回の記事では、これまでやってきた数々の実験を紹介していきます。前編である『課題と解決方法編』をご覧になっていない方は、ぜひそちらもチェックしてください!


私たちはこれまでに、燃焼器と機体全体(キャビン)の試作品を設計、製作しました。上空30kmに打ち上げるので、炎を燃やし続けるにあたって「低圧・低温・振動」が課題となっています。そこで、私たちは「低圧・低温・振動」それぞれで上空の環境を再現し、まずは燃焼器試作品単体での実験を行ってきました。


低圧実験

低圧実験は、上空20㎞の気圧を再現して行いました。装置は、業務用の寸胴鍋を使って一から作りました。昨年の9月中旬から3月末にかけて実験を重ねた結果、大気圧が変化しても内部の気圧を一定に保ち、炎を燃やし続けることが出来るようになりました。しかし、空気と燃料の供給バランスが崩れると、黒いススが大量発生することがわかりました。ススは炎が不完全燃焼するときに発生しやすくなります。今後は、空気と燃料の流す量を検討し、ススが発生しない丁度良いバランスを探していきます。


低温実験

低温実験は、ドライアイスで燃焼器を冷やして行いました。実験を行った結果、冷えることによって燃料のガスが液化し、火が消えてしまうということがわかりました。対策として、空気を供給する燃料ボンベの配管部分に、ヒーターを取り付けました。


振動実験

振動実験は、高さ3mから燃焼器を吊り下げて不規則な振動を与えて行いました。多少の揺れなら問題が無かったのですが、不規則で急激な揺れが発生した際に、炎が消えてしまうということがわかりました。原因として、液体燃料が揺さぶられ内部に偏りが生じることで、燃料の噴出量が減ってしまうことが挙げられます。対策としては、傾きによらず一定の燃料を噴出し続けられるボンベの使用や、配管の固定を検討しています。


ここまでの実験は全て燃焼器のみの実験でした。しかし今年3月、大きな施設でスペースバルーンを除く機体全体(キャビン)試作品の実験をすることが出来ました。


キャビンの実験

この実験は、日本大学の大型真空実験施設をお借りして行いました。写真にある真空チャンバーにキャビンを入れて実験したところ、キャビン全体が低圧環境で炎を維持できることを確認できました。次に、真空チャンバーの中に液体窒素を放出することで低温環境を作りました。その際、低圧かつ低温の状態で、炎がどのような挙動をするかを確認することが出来ました。これまでやってきた実験の中で、最も大規模で危険の伴う実験でしたが、専門家の方のご指導の下、安全に実施することができました。


今後は…

これからは、今までやってきた「低圧・低温・振動」の実験に加え、撮影実験や統合環境実験などを優先度順に行っていきます。実験とキャビンの改良を重ねて完成度を高めていき、来年2月頃にはいよいよ本番用キャビンの製作をしていきます。来年5月の打上げまで、Earth Light Projectを見守ってくださると嬉しいです!

クラウドファンディング終了まで、残り1か月を切りました…!引き続き、ご支援お待ちしております。