クラウドファンディングには多種多様なジャンルがあって、そのなかの一角に「本や雑誌や絵本」の部門があるのだが、どうもこの部門はぱっとしない。大望を抱き、趣向をこらしてさまざまな本や雑誌や絵本などがクラウドファンディングされるのだが、その企画に賛同してリターンされる数といったら多くて四、五十人どまりで、百人を超えるとちょっとした奇跡になる。まったく本が売れない時代なのだ。
わずか四、五十人の読者を獲得するために、その本をクラウドファンディングに投じることにいったいどんな意味があるのだろうか。クラウドファンディングという大舞台に躍り出て、わずか四、五十冊しかリターンされないなんて、敗北以外のなにものでもない。そんなみじめな戦いに乗り出すことにどんな意味があるのか。
いや、そうではない。そういう思案は間違っている。いま新しく生まれた、あるいは生まれようとしている本が、未知なる四、五十人の手に渡されるのだ。それは驚くべきことではないか。この「note」にたびたび書き込んでいるが、本の力は数ではない。たった四冊しか売れなかった本が世界を変革していくことだってあるのだ。
さあ、次はあなたの本だ。長年格闘してきたあなたの労作を、一冊の本にして読書社会に投じよう。誰でも本が作れる、誰でも本が発行できる。誰でも出版社が作れる。あなたもこの小さな革命の担い手になって、新しい地平を切り拓いていきましょう。