2020/09/10 19:00

こんにちは!
TORICOTORの「ぼを」でございます。

今回はまた少し趣向を変えまして「映像界のプログレ」という事で、ちょっと変わった映画や映像作品について触れてみようと思います。正直、映像となると素人からプロまで結構なんでもありなので、専門学校や芸術大学の卒業制作展なんかにでも足を運べば、映像を使ったプログレッシブなインスタレーション作品には比較的容易に出会うことが出来たりするかと思います。

以前にも書きましたが、かく言う私自身も映画製作サークルで「ジョン・ケージを模倣した映像」や、今回ご紹介する「スタン・ブラッケージに影響を受けた映像」なんかを作っては上映し、誰にも理解されなかったという経験を持っております。



では、まずは有名どころでゴッドフリー・レッジョの「カッツィ3部作」についてです。映画作品で、1982年に製作された「コヤニスカッツィ」、1988年の「ポワカッツィ」、2002年の「ナコイカッツィ」と3作品が存在しています。

この映画の最大の特徴は「セリフやナレーションが一切なく、音楽に合わせて映像が永遠と流れ続ける」という事です。「100分前後のMVを3作品見ている」と考えればイメージがつくかと思います。

youtubeで、それぞれ冒頭の映像を見つける事ができましたので、まあご覧ください。


映画のタイトルはホピ族の言葉で「混沌とした世界」とか、そんな感じの意味合いがあるようです。私は最終作のナコイカッツィのみ劇場で観たのですが、当然シネコンなどの一般的な劇場で上映される事はなく、小さな単館系の映画館でした。




次はスタン・ブラッケージの作品です。この人は映画監督というカテゴリでいいんだと思いますが、実験映像、記録映像のような作品が多く、特に8mmや16mmフィルム時代に絵を描いたり、昆虫や植物を貼り付けたりと、かなりアヴァンギャルドな方法で映像作品を作っています。

このDog Star Manは最も有名な作品のひとつです。音声はありません。


こういった作品以外にも、人体解剖を撮り続けた作品、日常風景を映し出した作品など、色々な物が存在しています。



打って変わって、サルバトーレ・ダリの作品です。この人は有名な画家で、かのチュッパチャプスのパッケージデザインをした事でも知られていますね。夢を題材に作品を作るために、口にスプーンを加えたまま寝て、スプーン落ちる音で起き上がる事で直前の夢を覚えている状態で製作にとりかかる、というスタイルでも知られています。実は、映像作品が存在しています。


冒頭の女性の目をカミソリで切るシーン(実際は豚の目を切っている)や、蟻が手に集っているシーンなんかが有名ですね。サイレントだったと思うのですが、当てられている音楽の違う、複数ヴァージョンを観たことがあります。

また、この作品をオマージュした「サルバトーレとなんたらの犬」という作品もあった記憶があるのですが、こちらは情報を探す事ができませんでした。





マヤ・デレンです。ウクライナ出身の女性前衛映像作家ですね。映画作家以外に、ダンサーでもある事から、ダンスをテーマにした作品なんかもあります。前に書いたかもしれませんが、ジョン・ケージが音楽を提供している作品もあったと記憶しております。






モホリ=ナジ。映像作家というよりは前衛写真家だと思うのですが、バウハウスに居た事でも有名な方です。




なんか古い作品の紹介ばかりになってしまいましたね。現在はテクノロジーが発達しているので、より前衛芸術の手法や選択肢の幅は広がっているかと思いますが、当時の環境の中で新しい事をやろうとした人たちの作品は、今見ても新鮮に映りますね。

「人類には早すぎる音楽+」は、ある種のアヴァンギャルドなカテゴリである「変拍子」を、如何にPOPsの世界に落とし込むか、をひとつのテーマに製作しております。ですので、聴きやすく仕上げておりますが、背景には、こういったある種の「振り切った」作品の印象が潜んでいることも、是非知っていただければと思います。


今回は以上です。
引き続き「人類には早すぎる音楽+」を宜しくお願いします。