日光男体山と中禅寺湖を望む景観。日光市のアウトドア会社Ametsuchi様に、商品たちを連れて行ってもらいました。栃木リキュールのテイストは、アウトドアやキャンプのシーンにも寄り添います。今回は、今日までの商品開発レポートです。2020年10月20日、動き始めは、工場の在庫の棚を処分することから。180×90cm棚4段のうち、下2段を撤去しました。500kg耐重棚なので、成人男性二人がかりで運ぶ重さです。市内の業者さんに頼んでスチールリサイクルへ。そこに、稼働重視の4輪自在キャスターを導入。下段ぶち抜きで、空き瓶やキャップの在庫置き場になりました。今回は新しい資材を導入するために、このスペースが必要でした。これまで棚に頭をぶつけた人が私含め何人もいるので、エアーも貼っています。奥のものも出し入れしやすくなりました。清掃準備。排水溝もピカピカに。10月22日。容器を選定します。「今までの黒いキャップを銀のキャップにしたらお洒落じゃないか」「100ml容器にしたら存在感あるんじゃないか」「銀のキャップに何の意味を持たせよう」「軽いから山用がいいんじゃないか」過去に登山をしていたのでそう思いました。そうして、「山時間 mountain hour(仮)」と書き記しました。しかし帰国子女のバーテンダーに聞いたら、mountain hourは馴染みのない英語だそうで、即やめ。実は「MAGIC HOUR」という吉村和敏さんの写真集が大好きです。夜明けの瞬間の、空のブルーとピンクが美しい写真集。世界が最も美しく見える「魔法の時間」です。BARは月休4-5日ですが、立ち上げ段階ともなると自営や同業の皆さんは14時間お店にいるなんてザラだと思います。缶詰生活1周年の2013年頃に、異様に外の景色が見たくなり、せめてもと「MAGIC HOUR」を店に飾りました。その時の晴れやかなイメージの影響を受けています。「山の時間」と和名に切り替えて、登山用語の「トレッキング・ビバーク・コテージ」と名付けました。ちなみにコテージは、長野県の白馬を縦走した時の、白馬大池山荘の赤い屋根や、白馬山荘のチーズケーキのイメージです。ラベルはモノトーンで。タイトルが決まっていない段階では「よもぎ(仮)」など、コピー用紙に印刷したラベルを切って貼って、イメージを見ます。線画はせっせと書きました。10月28日、名前をつけて、コピー用紙のまましっかり撮影して、クラファンサイトを申請。10月30日オープン。初動で3割近く応援いただきました、頑張るぞ!製造の準備に入ります。まずは新しい容器を運ぶクレートから。私が腰を痛めずに持てる重さは18kgまでです。胴径と質量を計算して選びます。製造後は1商品ずつ蒸留してアルコール測定します。今回は90分×9商品。国税がかかってるので慎重に。15℃で記録。必須の事務作業です。その間に、プリントパーカーを作成。お客様に2択のデザインから1つに投票してもらいました。この写真とは異なるタイプに決まりましたね。一生懸命自分でコミットしても、最後は他人に譲ったり、自分の手から離すということは本当に大切だと思っています。「誰のために始めたことか」を考えるなら。M&Aもきっと同じです。もちろん自分のためにやるシーンもあります。11日経過で7割達成できました。ここから進まないぞと予測。いつものお客さん達は買い終わり、100%以下なのでサイトユーザーの目にもつきません。けれど今回は最小限しか営業に動かないつもりです。むやみに声がけしません。コロナに感染したお客様もいます。拡大でなく拡充を目指したクラウドファンディングです。尊重する姿勢で自然に臨みます。ちなみに前回の創業支援では、クラファンを引っ提げて会ったことのないバーテンダーやバーファンに挨拶をたくさん入れて繋がりました。それも良い経験でした。そういうタイミングもいずれまた必要です。さて印刷位置を決めたり、瞳孔開きながらラベルをカットしたり。11月5日、実際の容器が届きました。この時に、アウトドアツアーのAmetsuchi様にサンプル進呈。日光は雪の時期も早いので、いち早く試していただこうと思いました。150本、3日間かけて形になりました。可愛い子たち。いつだって「製造業はやめときな」と言ってくれた酒造の人たちを思い出します。派手な格好や車を持った人はいませんでした。みんな自分の酒造に投資することで、地域により良いものごとを循環させています。私もこの仕事が好きです。自分に留めず、思いを循環させていく仕事だと思います。まだできてないけどな。初めての200ml角瓶もスタート。後半は、ラベルを貼ってから洗浄。このラベルは水に強いです。液体の色では商品の見分けがつかないため、事前に貼る方法に切り替えます。11月15日。いよいよ企画の折り返し地点です。「配送どうしよう?」取り寄せていた梱包材や、過去に失敗した箱など、集めてみました。私はゴミはコンパクト派なので「②が捨てやすくていいな」と思っていましたが、とんでもない!山のめぐみのことをギフトと言ったのか新作を届けたいニュアンスをギフトと言ったのか何をもってギフトかよく考えていなかった。お客さんに聞いたら、④の意見が圧倒的。全くすみませんでした。ちなみに、工場で通常出荷に使うダンボールでも、1箱264円かかります。1本1.3kgの商品で重量があるため、丈夫なダンボールです。どうせダンボール箱にお金をかけるなら、いっそギフト箱作ろう!実は、箱には何度も挫折してきました。デザインを打ち合わせて、いざサンプル瓶を送ったら、破れた箱が帰って来たり。けど今回、お客様が欲しいと言ってくれたので、やる気の所在はがぜん違います。冊子は、開封シーンに浸って「わぁ!」とか「なんか見たいものと違う!」と自分でジャッジして確かめていきます。これは日々商品を触っている私より、商品を初めて手にしたお客様の方が真実で、大事なことに気付いてくれます。栃木リキュールは小規模でオープンなので、お客様の声をダイレクトに聞きやすいですが、それでももっと聞きたいです。これからもお客様の使用感を大切にしていきますので、いつでもご意見お寄せください。よろしくお願いいたします。いよいよ洗浄完了した小瓶たち。出荷を待っています。「どんな箱で出かけるの!?」「どこ行くの!?」期待いっぱいで出荷を待っています。まだパッケージングが未完成ですが、以上が商品開発レポートでした。酒造に関しては、今回9種類のお酒の製造申請や、表示届の義務も終えて、酒造の帳簿も11種類ほどあります。書類仕事でじっと動かないことも多いので、工場では冷え対策しています。液体を造ることはほんの一部で、いろんな条件が組み合わさって酒造になっています。その中で「お客様の存在が感じられること」は何より励みになります。皆さんの言葉、地域への思い、温かい支えに日々感謝して、これからも取り組んで参ります。私自身の叶えたい夢もあるので、その時は一緒に楽しんでくれたら嬉しいです。また元気にお会いしましょう!
・「山の喜び」製造レポこのリキュールは、黒豆農家さんからいちじくの葉をいただいたことから始まりました。いちじくの葉は乾燥させてお茶に使われます。さらに「山の喜び」を意味するハーブのマジョラムを加えました。マジョラムはシソ科で、杉と同じウッディーな香りも持っています。炭酸を加えてハイボールとして飲むと、和風でさっぱり。食中酒に飲めることを期待した、ドライな仕上がりのお酒です。「山の喜び」alc.アルコール32度 甘さレベル ★☆☆辛口(ハーバルドライ)・「除夜の鐘」製造レポこれは「よもぎの葉を使ってみたい!」と始まったお酒です。色々試作しましたが、何と組み合わせてもよもぎの香りは強いです。同じくらい存在感の強い煎り黒豆を加えて、爽快感にはジュニパー(セイヨウネズの実)を加えました。和菓子のようでいて、どこか神聖な味わいを感じてみてください。「除夜の鐘」alc.アルコール27度 甘さレベル ★★★甘口(清らかな香り広がる)・「朝露」製造レポ県産日光楓の木を使用したウッドリキュールです。樽熟成のような余韻を狙っています。煎ったのは今年の3月のこと。煎りすぎるとただのコゲになりますが、少し色が変わる程度にホカホカさせると、バニリンの香りが出てきます。うんと長く熟成しました。栃木リキュールが木のお酒を作るきっかけになった、バーボンの味わいにより近い原酒ができます。原酒をバーボンベースと仮定すると、ベリーやオレンジなど、色々な組み合わせが想像できましたが、味わってみるととても繊細なので、日光梨を加えることにしました。どんな仕上がりかお楽しみに!朝露 alc.アルコール33度 甘さレベル★★☆中口(ウッディな)
木のお酒を考え始めたきっかけは2014年のバーボン蒸溜所巡りでした。樽に寝かせるのがウイスキーに定められた熟成法ですが、あえて樽を使わず、木の熟成された味わいを楽しみたいと思いました。その後、2015年の鹿沼木のまちツアーで地元の林業に触れて、その際手に入れたヒノキ端材の利用を実験的に始めました。そして2018年、日光市の田村材木店さんを尋ねたのが、仕入れの始まり。田村さんは、「栃木の歴史に日光杉は欠かせないよ!売れ筋じゃなくても続けてほしい!」と励ましてくださり、日光杉のお酒を作り始めました。杉には自生している木と、植樹されたものとあります。植樹は山を作るもので、40年前に植えられた木を今日切って、また新しく植えることを、ずっと繋いでいくのだそう。2020年の新春、田村さんから「桜の木が手に入ったぞ!」とご連絡いただきました。まだ蕾が着く前の、生命力溢れるシーズンの木です。喜んで駆けつける私、桜の端材をいただきました。さらに、素敵なコースターも用意されていました。コースターはお客様に配りましたが、桜の木がありのまま伝わって、手に触れるとしっとりときめく心地でした。今回「栃木をめぐる小瓶・桜アルバム」では一歩進んだアレンジに、ジュニパーの実を加えました。松ヤニや松ぼっくりの香りに近く、森の香りにより近づけたお酒です。限定生産で特別なひとときをお届けします。子供の頃からゆかりのある、日光東照宮のお参り、壮大な山の天気、神聖な滝、美しさと厳しさが同居する、栃木のふるさと日光。宇都宮市から日光市へ向かう際には、道は細いですが小来川地域を通ると、綺麗な小川が流れ、とても美しい景観です。お蕎麦も美味しい。桜アルバムの現地レポートでした。