今年は市営海水浴場全5ヶ所がコロナウイルス感染防止のため、開設しないこととなりました。少しずつ変わりゆく街並みからも復興の様子はうかがえますが、「海開き」は特に一般市民の皆さんが復興を実感できるひとつの大きなイベントのように感じます。
「あぁ。この綺麗な大きな海を楽しめるようになったんだ」
夏、海、という開放感の中に、どこか心の中の閉じ込めていたものをそっと開けられるような気がしています。
しかし、浜周辺に住む方々の高齢化もあり、地域全体での感染の心配もあり、苦渋の決断で海開きを見送りすることになりました。
石巻市の一大イベントともいえる川開き祭りも中止で、今年は夏らしい思い出をつくることができなかった人も多いと思います。販売のタイミングは秋になってしまいましたが、このサイダーを飲みながら来年の夏を楽しみに待っていてほしいなと思います。
この状況下で苦しい、悔しいこともたくさんありますが、前を向いていくには一人ひとりの力が必要だと思います。私たちも、石巻の企業さんのいろいろな取り組みを見て、まだまだできることがたくさんあるんだ!と思いますし、この状況でも「何か高校生たちがしたいことがあったら協力するからね!」と言ってもらえることが本当にありがたいと思っております。
高校生たちも授業の内容が変更になったり、春休みが長かったぶん土曜授業が増えたり、学校行事がなくなったり(文化祭の一般公開がなくなり、学校を外に開く機会が減りました)しています。それでも高校生からは不満や不安が見えず、友達と楽しく学校生活を送っているように見えますが、もしかしたらそれは彼らが不満や不安を見えないようにしているのかもしれません。
そんな今、私たちにできることは何かと考えると、高校生たちに「自分たちでもここまでできるんだ!」というチャレンジする機会や達成感を味わえる体験を提供することなんだと思います。これは団体設立時から変わっていないスタンスであり、東日本大震災直後の状況と似ていると思います。東日本大震災の時は悲惨な状況が目に見えていたからこそ、高校生自身から「何かしたい」という気持ちが生まれていました。このコロナ禍では、東日本大震災より被害状況は高校生には見えにくいものですが、「動き出すべき状況」であることは変わらないと思います。このコロナ禍で動き出した高校生は、あと何年後かに「あの時自分はこんなことができた。だから今はこれができる。次はこれに挑戦しよう!」と常に前を向いて生きていけると思います。
高校生たちのこのサイダーを作った気持ちと動き出した熱量が、皆さんの後押しになりますように。