海のまち石巻から生まれた優しいサイダーには、石巻市の鮎川浜で作られた金華塩が使用されています。今回はそのお塩のできるまでをお伝えします。
鮎川浜とは、石巻市の中心市街地から車で1時間ほどかかる牡鹿半島と呼ばれる地域のさきっぽにある浜です。近隣の離島に行くことができるフェリー乗り場があったり、鯨との関わりが強い地域で、おしかホエールランドや鯨の歯を使用した工芸品などの販売もしている地域です。石巻は「海のまち」というイメージが強いと思いますが、海風の香りや波の音、海のきらめきを間近に感じることができるのは、牡鹿半島が断トツで、その癒しを求めてツーリングやサップなど、レジャーで訪れる人も多い地域になっています。そんな牡鹿半島の鮎川浜で作られているのが、今回サイダーに使用させていただいた金華塩です。
金華塩を作っているのは、社会福祉法人石巻祥心会くじらのしっぽさんです。
くじらのしっぽさんは2002年から牡鹿地区で活動されており、障害福祉の分野で活動されています。その中で、利用者の方とともに塩をはじめとし、乾物などの地域でとれる海産物を加工・販売されています。
金華塩のおいしさの秘密1.〜豊かな自然のめぐみ〜
金華塩がとれる牡鹿半島の海域は、親潮と黒潮が合流し豊富な魚介資源をもたらしてくれます。常に海水の入れ替わりが早く、綺麗な海水が一定で流れているのです。また、陸にあがれば山々が連なっており、山から海に注ぎ込む伏流水には多くのミネラルが含まれています。そのため、この地域の海水で作った金華塩は、味に深みがあり、ほのかに甘さも感じられるのです。
金華塩のおいしさの秘密2.〜人の手と愛情〜
塩の元となる海水は、牡鹿漁業組合さんが魚の養殖などに使用するためにポンプでくみ上げた不純物の少ないものを使用しています。それを昔ながらの伝統的製法の平釜式で製法し、何時間も煮詰めて不純物、不要物を丹念に取り除きます。その後、天日干しをして水分を飛ばし、ピンセットで人の目でしっかり確認をし、きめ細かい質の高い金華塩ができあがります。煮詰める時も、火をつけたり管理するのはすべて機会ではなく人の手で丁寧に行われています。組合からの海水の提供や火を焚くための薪を地元企業さんからいただいたりと、地域の皆さんの協力があり、この金華塩は作られています。単に地元の素材を使っているだけでなく、くじらのしっぽさんと地域の皆さんのつながりがあってこそ作ることができる金華塩は、非常に貴重な、愛情のこもったお塩なのです。
金華塩は1日の作業で100リットルあたりの海水を火にかけ、5〜7キロほどの量が作れるそうです。かなりの手間暇がかかりこの生産量ですので、商品自体の価格は一般のお塩と比較すると少々高額になります。しかし、そこには一切裏のない、100%の天然素材と100%の作り手の皆さんの誠意・愛情が込められていて、確かな品質が保証されています。そんな貴重な金華塩を今回の優しいサイダーに使用させていただけたことは、本当にありがたいことだと思っております。くじらのしっぽさんの商品づくりに対して・事業所としてのあり方に通づる優しさも、しっかりサイダー販売の中で伝えて行きたいと思います。
そして、牡鹿半島の鮎川浜も本当にすてきな場所なので、ぜひ訪れてみてくださいね。