全国朝鮮学校美術部生徒たちによる「10号作品展」を愛知朝鮮中高級学校の文化祭で展示しました。
新型コロナ感染症の対策のために文化祭と展覧会も一般公開されませんでしたが、本校生徒たちと先生方、保護者たちに囲まれて、温かい展覧会となりました。
10号と聞いてもピンとこないかもしれませんが、実際に見るととてもこじんまりとしたサイズ感です。
でも、だからこその作品と観覧者との絶妙な距離感が生まれたようです。
通年の朝鮮学生美術展では大型作品が多く出品されましたし、展覧会場での観覧の際には作品から離れて全体を観る方が多く見えました。
今回はこじんまりとした10号のサイズ感のためか、作品にぐんと近寄ってじーっと見つめながら味わう方が多かったようです。
こじんまりとした画面にぎゅーっと詰まった表現の世界に、我知らず接近して吸い込まれてしまった方も多かったのではないでしょうか。
そうした、作品との静かな対話の様子は、なんとも温かく美しい光景でした。
愛知朝鮮中高級学校には正式な美術部がありません。しかし、美術を愛し制作に情熱を傾ける生徒は居ます。
そんな生徒のうちの1人が、今回の10号作品展に合わせて初めて自作を発表しました。
惜しくも10号作品展の応募期日には間に合わずここ愛知だけでの展示となりましたが、彼女にとっては生まれて初めての「展覧会」でした。その体験に喜び、興奮し、キラキラと笑う彼女の姿が何より印象的でした。
それはまさに、アートが彼女を成長させ、アートが彼女の友達になっていく、美しく輝く瞬間でした。
この生徒を含む、全国各地の美術を愛する子どもたちが、今も制作に青春を預けています。
彼ら、彼女らがのびのびと制作し、発表し、作品を通じて多くの人々と交流するマダン(場)を広げていきたいと思います。
これからも、より多くの機会、より多くの場所で、より多くの人々に届きますように。
愛知展の搬出作業では愛知朝鮮中高級学校の高級部三年生が活躍を見せました。
スタッフが片付けに入ると、高3の生徒たちが「手伝います!何からやれば良いですか?」と駆け寄ってきて作業に合流。ものの15分ほどで撤収作業を終えました。
こうして誰かが大変そうな時に仕事を手伝うことを自然にやってのけるというのも、この学校の生徒たちの美しい姿の一つです。
「10号作品展」はこの後、次の巡回地である神戸へとバトンを繋ぎます。
子どもたちの青春の後押しのために!引き続きのご支援、ご声援、ご協力をよろしくお願いいたします。