こんにちは!今日は涼しげな話題と、ホットな話題を用意しました。温度差を楽しんでいただければと思います!
川へ涼みに
あっという間に梅雨が終わったと思ったら、再び梅雨っぽい天気が続いて季節がよく分かりませんね。それでも晴れの日は、日差しに初夏のまぶしさを感じます。平井は雨とお天気が交互にやってくるので、蒸し暑くて仕方ありません。
こうも暑いとやっていられないので、川へ涼みに行ってきました。平井は古座川でも最も上流に位置する集落の一つなので、川の綺麗さはピカイチです。ダムよりも上流に位置しているので、溜めた水特有の匂いもしません。山から湧き出たばかりの冷たい水が、滔々と流れています。
何度か紹介しているように、この川にはオオサンショウウオが棲んでいます。僕はまだ見たことがありませんが、教育実習に行った学校の生徒達は、「あそこの渕にいるよ!」と何カ所も教えてくれました。流石、地元の子は川の中まで把握しているようです。
折角なので、レンズを水中に入れて写真を撮ってみると、10匹ぐらい魚が写っていました!魚は全然分かりませんが、南蛮漬けに良さそうなサイズです。
あちらこちらにいますね。水の透明度が高いので、陸上からでも魚影が良く見えます。オオサンショウウオは岩陰に隠れていて、動くものがあればパクッ!っと噛みついてくるそうです。おとなしそうな顔をしてますが、噛む力は非常に強く、指が引きちぎられるぐらいなので、オオサンショウウオのいる川に入るときは気を付けましょう。
どんぶらこネムノキ
小魚と戯れていると、綺麗な花が流れてきました。この季節に咲いているネムノキですね。マメ科植物で共生菌を連れて裸地に真っ先に入ってくる先駆種です。あんまり綺麗なので、古くから和歌や俳句にもよく詠まれてきました。例えば松尾芭蕉は奥の細道で、
象潟や雨に西施がねぶの花
と読みました。象潟というのは地名で、西施は呉越同舟で有名な越から呉に送られた絶世の美女のことらしいです。遠くの地で雨に濡れる美しいネムノキを見て、ついつい昔の物語を思い出したといったところでしょうか。
陸上で咲いているときは、こんな感じです。ピンクと白のグラデーションが綺麗な部分は、花弁ではなくて、雄しべです。証拠に、よく見ると先端に黄色い葯が付いているのが分かるかと思います。花弁や雌しべは、花の中央部にひっそりとたたずんでいます。
ピンクのボンボンが木全体に咲いているので、非常に鮮やかできれいです。この写真を撮った日は、もうシーズンが終わりかけて茶色くなっていたので、美しさがイマイチ伝わりませんね…。来年こそは、綺麗なときに写真を撮ろうと思います!
先に紹介した歌の他にも、ネムノキの美しさを詠った作品はこちらのページでたくさん紹介されているので、興味があれば見てみて下さい!
このネムノキ。暗くなると葉っぱが閉じるという面白い特徴があります。概日リズムで朝になると開いて、夜になると閉じます。写真を撮ったのは夕暮れどきだったので、既に葉っぱを閉じていました。
この葉っぱを閉じる様子が、まるで就寝しているように見えることから、眠る木⇒ネムノキ、となったと言われています。それなら漢字は睡眠木とでも書くのかなと思って調べてみたら「合歓木」と書くそうです。合歓とは、仲睦まじい夫婦の様子を指す言葉らしく、葉っぱがぴったりくっついている様子から名づけられたとか。昔の人のネーミングセンスはなかなか面白いですね。
材はこんな感じ。色相も綺麗で比較的柔らかく、乾燥もしやすいそうです。ただ大径木が取りにくく、耐久性が低いので建材向きではありません。小物や器具材程度の利用がほとんどです。一方、樹皮は古くから漢方薬に使われてきました。
また、道管が非常に大きいのも特徴で、木口面をルーペで覗くと無数の穴が見えます。年輪に近い部分に、特に大きな道管が。外側に向かうに連れて小さい道管があるのが分かるかと思います。
那智の扇祭り
涼しい話題が続いたので、ホットな話題もご紹介します。
隣町の那智勝浦町にある熊野那智大社で、3年ぶりに「那智の扇祭り」と呼ばれるお祭りが開催されました。
全国的にも有名なこのお祭りの一番の見どころは、50kgを越える松明を持って石段を駆け上がったり駆け下りたりする御火神事です。扇を御輿にしてやってくる神様たちを迎えに行くために行っているとのことです。
人と比べると松明の異常な大きさが分かると思います。火をつける前に、山の上の方にある御本社から、那智の滝まで声を掛け合いながら持っていかなければなりません。見ているだけで、筋肉痛になりそうです。
材は分からなかったのですが、松明ならアカマツでしょうか?よくまあ、こんな大きくて重いものに火をつけて走り回ろうなんて思ったなあ、と感動しました。身体を極限状態に追いやることで、ある種のトランス状態に入り込んで、神様と近づこうという意図でしょうか?古座川の鯛釣り祭りもそうですが、お祭りの催事の起こりを考えるのはとても面白いですよね。
12個の松明と12台の扇神輿が那智大社の石段を移動していく光景は、非常に迫力がありました。
個人的に好きだったのは、御田植式と呼ばれる儀式。田んぼに見立てた胡座の上を、牛役の人、農民約の人が歩いて回ります。なかでも牛役の人が「モ~~ゥ」と大声で叫ぶシーンは、非常に好きな光景でした。牛のお面も木製ですね。年期も入ってそうですが、どんな樹種が使われているのでしょうか。
能面などはヒノキ材、中でも木曾檜が目の細やかさや材の柔らかさから重宝されています。一方、神楽や獅子舞の面は、軽快な動きを可能にする軽さが重視されます。そこで、日本トップクラスの軽さを誇る桐の出番となるわけです。以前沖縄の木で紹介したデイゴも、その軽さからお面に使われていましたね。
一連の儀式が終わると、御田刈式です。稲を刈るようです。よく見ると、最初は鍬だったのが、鎌に代わっています。田んぼの作業が儀式に組み込まれている点を見ると、五穀豊穣の祈願の意味もありそうですね。
以上、那智大社のお祭りでした!興味を持った方は是非来年、御足労いただき、その足で古座川にも立ち寄ってください!