皆さん、こんにちは!山本梨沙です。
「香茶里」プロジェクトのご支援、ありがとうございます。
本日ご紹介するのは、茶器を収める桶をつくる谷川木工芸の谷川清さん。「伝統を守るために、新しいことをやっていこう」。そんな気概に満ちた、私たちの心強いパートナーです。
谷川木工芸は、1950年に創業。清さんは3代目にあたります。お父さんの雅則さんは、2018年に伝統工芸士に認定された腕利きの職人。
谷川木工芸は、主に酢飯を入れる寿司桶や、おひつなどを作ってきました。40年前、三木町の周辺には、10軒以上の桶屋がいたそう。でも、洋風の生活様式が浸透するにつれ、桶の需要は減っていき、今残っているのは、谷川木工芸を含め2軒だけです。
そのような状況だったため、両親は清さんが継ぐことには反対していたそう。
清さんは専門学校を卒業後、ヘルパーの資格を取り、介護施設で10年間働きました。そのうち管理職となり、経営も任されるように。
ゆくゆくは自ら事業をしたいと思っていた清さん。「介護業界で新事業を始めるか、家業を継ぐか。自分の前には2つの選択肢がありました」
清さんは悩みますが、「桶作りの伝統を残したい」と思ったのと、「伝統工芸って、実はもっとできることがいっぱいあるんじゃないか」と可能性を感じ、3代目として継ぐことを決意。2017年のことでした。
それからまずは1年間、みっちりと桶作りの技術を学び直します。それからでした。清さんの挑戦心が発揮されていくのは。
まず実施したのは、弁当箱「讃岐弁」シリーズを制作。これは、「お櫃にご飯を入れておいしいなら、そのままお弁当箱にしよう」というコンセプト。
桶の新しい需要を開拓しようという狙いで、結果、さまざまなメディアに取り上げられ、話題になりました。
さらに、「讃岐桶樽」というロゴの入ったTシャツをつくったりも。「職人というと、かっこ悪い作業着を着て、ずっと作業場にいるという印象があった。もっと楽しいイメージをつくっていきたかった」とのことです。
こんな谷川さんの根底にあるのは、「伝統工芸が培ってきた優れた技術を、現代社会に合う形にし、人々の心を豊かにしたい」という思い。
香茶里の桶部分は、白木の木片を、たがをはめて接着してつくっています。
乾燥させた後、継ぎ目がわからないくらい滑らかになるよう調整していくのが、職人としての腕の見せどころ。
桶は、使い込むほどに、味のある染みができてきます。まるで、使い手の人生の年輪を刻むように。
「香茶里」は、使う人に人生にずっと寄り添い、その人生を彩るお供になってほしい。そうした思いでつくっています。
そうした中、長く愛される製品を、現代の人の生活様式に合った形で作ることに挑戦し続けている谷川さんに、桶を依頼することになりました。