2021/02/17 22:31

「もやい展2021東京」の目玉の一つは白崎映美さん率いる「白崎映美&東北6県ロ〜ルショー」ライブです。あつく煮えたぎる東北の魂が乗り移ったかのような楽曲は果たしてもやい展アート作品とどのような化学反応を起こすのでしょうか! とっても楽しみです。

ライブは期間中4月7日(水)18時より開催! 展示を見た後には白崎映美さんの歌声に酔い、自分の中の熱いエネルギーをたぎらせてみてくださいね。


ライブプロモーション動画はこちら↓




ごまめの歯ぎしりで、東北さいいこと来い、福島さいいことどんと来い! と歌ってるけど、誰に届いてるのか心許なくて途方に暮れることがある。 

人間は忘れる生き物で、忘れなければ生きていけないのもほんとだけど、人間が人間の悲しみを、重く、辛く、とても長く続く悲しみを、つくったことは忘れちゃだめだ。 


蝦夷と呼ばれたおらがだ東北人、中央から攻められて“まつろわぬ民”(支配されない、迎合しない、抗う、いうこと聞かない)と呼ばれた東北人。 

東北人はもっとでっけえ声出していんでねが!小説「イサの氾濫」を読んで血が沸きたってオラ、東北6県ろ〜るショー‼というバンドをつぐりました。

世の中いろんなことが起こりすぎて日々起こることに流されそうになるけど、「もやい展」中筋純さんを中心に、忘れないぞ!と仲間が集っている。

東北6県ろ〜るショー‼を呼んでくれてありがとう!

みんなと生きていきたい。


気がつけば、声の小さい人、力の弱い人がまた隅に追いやられている。

力とお金でうりゃあ、と持っていかれる世界に笑って手を振って、あったかい世界に、みんなで行きたい。

白崎映美(歌手)



皆さんは白崎映美さんをご存知ですか?

日本を代表する女性歌手のひとりで、「愛より青い海」「いつでも誰かが」(スタジオジブリ「平成狸合戦ぽんぽこ」主題歌)などのヒット曲で知られる上々颱風(しゃんしゃんたいふーん)の“歌姫”として、日本中の面白い場所でお祭りライブを続けてきました。日本の芸能がアジアや世界各地の音楽と融合したかのようなポップス、ツインボーカルの魅力的なハモリは、日本発のワールドミュージックともいわれ、多くのファンを魅了しました。


転機は東日本大震災です。

そこで、社会もさることながら30年も続いたバンドの内部で何かが変わったのでしょう。上々颱風は2013年に活動を休止しました。

山形県酒田市出身の映美さんは、中3のとき、酒田大火で町そのものが焼かれ一家が被災者となった経験があります。映美さんの心の奥にそんな原点があるからこそ、福島や東北の惨状に人一倍心を痛め、苦悩し、居ても立ってもいられなくなったのだと思います。

八戸出身の木村友祐さんの小説「イサの氾濫」に東北人魂を鼓舞されて、東北6県ろ〜るショー‼というバンドを結成、被災地はじめ各所で活動を開始しました。

未来社 (2016/3/7) 1980円

 抑えきれないこの衝動は / たしがに あなた方の末裔だ

 山漕ぎ野漕いで 自由に生ぎる / オラ方の先祖は まづろわぬ民だ

 そごを越えでゆげ 越えで越えで越えで       


代表曲「まづろわぬ民」は、古代から東北の民が抱えてきたマグマを一気に噴出させるかのような土着的ロックです。ときの権力に不条理や原発を押し付けられたら、哀しみや怒りを忍耐づよく堪えるのではなく、「イヤだ!」と叫んでいいんだと。

ロック、ジャズ、歌謡、民謡などが混淆し、東北の土着感がうねりを上げるサウンド。巨大な神様や東北の芸能によるコラボで祝祭的でありながら、権力への反骨心と立場の弱い人びとへの共感に満ちたステージは、自身のルーツにまっすぐに降りてゆく勇気と圧倒的な生命エネルギーで私たちに困難を生きぬく力と喜びを放ちつづけています。ふかい祈りや太陽のような慈愛とともに。

東北出身の“歌姫”から、東北をうたう“東北歌姫”へ———。

映美さんは大胆な変貌によって、社会的に多くの人の関心を惹きつけるようになりました。


近年は、「風のおはなし」や「夜ノ森月ノ下」など、福島の帰還困難区域の人びとに想いを寄せ、切々と歌ったうたが感動的で胸にしみ入ります。


そして今、それは福島の人に限らず、コロナ禍で人と人が分断される状況において、「行きたいけど行けない」「会いたいのに会えない」世界中の人にとって、共通の切実さをもつようになりました。

今回、もやい展において中筋さんや関係アーティストとともに東京で久々に行う東北6県ろ〜るショー‼は、あれから10年経っても「この先もずっと忘れないよ〜!」と渾身のメッセージを送るコンサートになることでしょう。

すぐれた芸能の民は、電気はつくらないけど元気をつくり、鬱屈した気持ちを解放する力をもっています。(斎藤)


「夜ノ森月の下」の舞台、富岡町の夜の森桜並木(2021年2月)

双葉町の東日本大震災原子力災害伝承館で浪江町の今野寿美雄さんにレクチャーを受ける今野さんのご実家、浪江町赤宇木地区を訪問。防護服を着て鍵を開けてもらって帰るご実家。集落の歴史は平安末期に始まったそうです

今野さんのご実家の内部。猿の住処となって荒れ果てたまま


白崎映美

山形県酒田市出身。1990年、上々颱風でエピックソニーよりデビュー。JAL沖縄キャンペーンCM、スタジオジブリ「平成狸合戦ぽんぽこ」映画音楽、海外ツアー等、多岐に渡る活動で支持を集める。(上々颱風は2013年初頭より活動休止)。東日本大震災を経て、「白崎映美&東北6県ろ~るショー!!」を結成し、アルバム『まづろわぬ民』(2014年)を発表。2019年には、2ndアルバム『あほんだら』と白崎映美&白ばらボーイズとして初のCD『群衆 La Foule』をリリース。大所帯のバンドから流しスタイル、ソロまで、ロック、歌謡、民謡と形にとらわれず自由なスタンスで精力的にライブ展開中。近年は舞台主演、映画やTV出演、執筆など活動の場を広げている。酒田観光大使。2017年秋、平成29年度酒田ふるさと栄誉賞を拝受。

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