ここからお読みの方へ:前回の活動報告(第6回)からの続きです。
▶プロジェクト支援を戴いた皆様へ
完成までの制作状況はCF終了後も逐次ご報告申し上げます。
また、ブランド化に向けてはネーミングがとても大事です。
ご相談したいと考えております。
CF終了後すみやかにご案内を出します。
引き続きご支援のほどよろしくお願いします。
> 新作こけしに込めた匠の技 <
新しい装いを生み出すために、佐々木功工人の匠の技を引き出そうとしました。
このことを詳しく紹介します。
形と色に匠の技をどこまで織り込めるのか、まずはそこに注力してデザインしてみました。さらに自己満足にならず市場に受け入れてもらうために、こけしの原点である「手に持って遊ぶこけし」すなわち玩具としての役目を復活させるために必要な要素を入れることを目標にしました。
なぜなら、こけしを求めにお店を訪れると、手に取って眺めてみることはちょっと遠慮しなければなりません。取り扱いの注意書きに気を配ると手に汗が出てしまい、ただ観るだけになってしまいます。
( 取り扱い注意の例 )
※ 水に弱いため濡らさないでください、濡れた手で触れないでください。
※ 直射日光は色が薄れてしまいますので日の当たらない場所を選んでください。
※ 乾燥するとひび割れを起こすことがありますので、空調の風や温度差のあるところでの保管はお避けください。
※ 木材で出来ているため強い衝撃を与えると破損の恐れがあります。
※ 手仕事で制作しているため、色や形等がひとつひとつ異なります。
※ 木材は天然素材であることから色や杢(木目模様)がひとつひとつ異なります。
これらを課題として受けとめ、こけしを現代の発想で汲み取り理想形に仕上げていきます。これが完成すればブランド品としての価値を持てると信じています。究極の最終目標は「温泉で遊べるこけし」です。現状の段階ではまだ初めの一歩ですが、それでもリターンに用意しました新作こけしでは、この課題のいくつかは解決に向かっています。
では、具体的にご紹介します。
1.形にこめた想い
伝統こけしはその系統によって形に特徴があります。オリジナル新作こけしの設計は次の発想を持ってデザインしました。
A:木の色や模様を同じにするため頭と胴は一体とする
B:転倒を気にせずにラフに置ける重心位置
C:磁器やガラスでは作り出せないロクロ加工特有の形
まずはこれらを満足できるデザインに出来たと思っています。そして持ち易いサイズに収めることにしました。なので高さは文庫本と同じです。
Cについは首回りのくびれや胴体の角張った形状で表現しました。リターン品の作品と初回の試作品では首回りが特に違っています。完成品に向けてはコケティッシュさを担う猫耳の質を上げるためさらにデザインを変えて試しているところです。
デザインを始めるにあたり「にゃんこけし」などとても可愛いこけしや置物をいくつか集めて参考にしました。現代の作風に共通しているのが白銀比です。欧州では黄金比が主流ですが、日本人好みのデザインはちょっと小さめに。そこでオリジナル新作こけしでは、高さを黄金比にしてシュッとした感じにして、縦横の寸法は白銀比でデザインしました。にゃんこけしと並べてみると何となく分かってもらえるかと思います。
2.色にこめた想い
伝統こけしは系統ごとに紋様の色使いに特徴をもたせています。オリジナル新作こけしの描彩では次の発想でデザインしました。
D:水で色落ちせず光に強い自然素材の塗料を選ぶ
E:キャッツこけしの薄墨をモデルにして自然な模様の木目を残す
初回の試作品では功工人がこれまで扱ってきた塗料で彩色してもらいました。木目を活かしながら猫の体毛に近い表現にするために薄墨での表現にこだわることにしました。しかしながら、木質の差により出来上がりが大きく変わってしまいます。薄墨を塗ることでその上に色を載せるときの筆のすべり具合にも影響がでてしましました。1品モノであればどれがいいか選べるのですが、新型こけしは量産可能なものであるが大前提です。また水彩の染料はこれまでのこけしと同じで、表面にニスや蝋を塗ったとしても水に漬からせることは勧められません。
そこで、以前から知っていた岩手県の塗料メーカー株式会社シオンの油性塗料を試してみることにしたのです。功工人とメーカーを訪問して目的を説明して使い方を教わりました。こけしのような製品にÜ⁻OILを使うのは初めてということで、サンプルを10色以上ご提供戴きました。
佐々木功工人としても油性塗料は初めてなので筆の種類や布を変えて塗ってみるなど試行錯誤しながら使ってみる状況でした。そこで産官学連携の経験から勝手知ったる宮城県産業技術総合センターに相談をしてみました。実はセンターの方々にはゆこけし研究所を開設する3年も前からこけし工人を支援したいとキャッツこけしを見せていたので同じ想いで話をすることができました。さっそく参考となるアドバイスを貰いました。例えば色見の濃さを決めるための実験方法です。そこで知見として得たのはサクラとミズキではロクロによる表面の仕上げ具合を変える必要があったということです。
これで、安定した色の濃さを出すことが可能になり、次は色見を試しているところです。木材の色は一本一本異なり個性的になるのが魅力なのですが、猫の色にどう寄せるかが悩みどころです。チャトラはサクラにカントリーオレンジ色を使ってみたら一発で綺麗な色合わせができました。模様は和風赤、これらの色はÜ⁻OIL専用のネーミングです。難しいのがサバトラで、いまだに悩んでいます。木地となる木材はミズキに戻しつつ、いっそ魚の鯖の色をイメージして塗ってみようかとも考えているところです。
3.描写に込めた想い
キャッツこけしを見た時に強く感じたのがその写実性の高い表現力でした。劇団四季の演技者の顔を意識して描いていたことを知るにいたり、これまでのこけしにはない描写にしたいと思いました。さらに功工人が作った種々のキャラクターこけしを見てその想いは決心に変わりました。
それからは猫の写真を探しまわり、猫の性格まで知るに至りました。鳥獣戯画から始まる日本画特有の抽象性と写実性を取り入れられないかと試行錯誤しながらイラストを描き続けています。しっぽの形で感情がわかるとも言われているのでどう取り入れるか工人と及び工人の猫に相談を重ねています。そして背中の模様に至るまで丸い形の中にどう表現していこうか佐々木功工人は奥様と猫の絵の展覧会まで足を運び研究をしてくれました。その成果は背中をご覧願います。
みんさんにいつでも「手に取って」といえるようになる、それが願いです。
滑らかで温かい肌触り、ぎゅと握るとわかる抱きごこち、油性塗料なので汚れを拭いてあげられるなど、写真では感じられない良さを詰めることが出来ました。
オリジナル新作こけしの取り扱い書きは次のようにしたいです。
※ さわってみてください(アルコール入り除菌シートで拭いても色落ちしない)
※ 外に連れだして遊んでくだい(でも長生きしてもらいたいならステイホーム)
※ テーブルを揺らしても倒れず、かじっても安全な素材なので、猫と遊ばせてあげて!
なんて具合に。
完成に向けそれを自信をもって言えるように仕上げていきます。
CFが終了したら白猫とチャシロにチャレンジします。どの白を選択するのか、これはかなり難しそうです。5月1~3日に白石市で開催される全日本こけしコンクールに間に合わせたいと思っています。
いよいよ残り数日となりました。皆様からご支援を戴きたくよろしくお願いします。