こんにちは、クニシゲです。
大人向け探検ボード「SONOVA(ソノバ)」のプロジェクトも、募集期間が残すところあと3日となりました。
本プロジェクトのお申し込み期間は【2020年1月11日(月祝)23:59:59まで】ですので、気になるけれどまだチェックしていないという方がもしいらっしゃいましたら、ぜひお申し込み期間内にご覧いただけると嬉しいです。
プロジェクト開始から一ヶ月間、様々なご支援をいただき誠にありがとうございます。
「お友達に教えてもらったので申し込みました」というメッセージをくださった方もいらして、宣伝力の乏しい私だけではお伝えができなかった方にまでお申し込みをいただけているのは、告知ツイートのRTなどの、みなさまのあたたかい応援のおかげだと感じています。
今回の活動報告では「試作品の改良履歴」についてお話しいたします。
素材や製法の検討と製造工場探しを並行して進めた、開発の初期段階のお話は、前回の活動報告でいたしました。
開発の後半では、試作品を実際に使ってみて図面を修正し再度試作品を作るという作業を、納得がいくまで繰り返しました。
試作品制作前のアイデアスケッチ
試作品の写真の前にご覧いただきたいのが、こちらのアイデアスケッチです。
2020年5月に、素材集めの難しさや、小規模で製造する際にどの程度製法が限られてくるのか、費用のかかり方や、製造を引き受けてくださる工場の見つからなさなど、何も知らない頃に、私が描いた夢いっぱいのスケッチです。
SONOVAの開発の根底にある、以下の3つのポイントを全て兼ね備えたちょうどいい製品を作るという考え方は、この頃から変わっておりません。
● 普段の服装に合い作業の集中を損ねないよう、おしゃれでシンプルなデザインにする
● 体力のない人や体の小さい女性でも持てるよう、適度なサイズで軽量にする
● サイズや重量を損ねない範囲内で、最低限の画材を収納できる内容積を備える
クリップボードに袋と紐がついた道具は、本品の他にもたくさん存在します。
たとえば、子ども用の探検ボードや、謎解き用の紐付きクリップボード、工事・測量用品の見取図板、業者用のオペレーションバッグ、警察消防グッズのバインダーバッグなどです。
それらの製品は、私にとって一長一短で使いやすいものではなかったため、既存の製品の違和感をなくしたいという思いを詰め込んで、このスケッチを描きました。
アイデアを実現するためにはどれほど苦しい思いをしなければならないか、知ってしまった今となっては、このような理想ばかりのスケッチは描けなくなってしまいましたが、何も知らない段階でブレーキをかけることなく自分の希望を洗い出せたことが、本品の完成度を高める重要な要素になったと思っています。
初制作時の試作品
アイデアスケッチの投稿から2ヶ月が経過した2020年7月、制作を依頼していた工場から届いた試作品がこちらです。
難航した工場探しの中で製造を依頼できたのが、普段レザーのバッグを製造なさっている鞄工場でしたので、自ずと製法はミシンを使用した縫製に限られました。
そのためアイデアスケッチとは異なる見た目となりますが、本品はボードの周囲をテープ巻きする方法で素材同士を縫い付けて制作しています。
スケッチのようにボードの周囲にテープ巻きがなければ、より無駄のないデザインに見えたのではと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、製法上避けられなかったこのデザインの変更には、良い効果もありました。
前回の活動報告でお話しいたしましたとおり、本品のボード部分は発泡PPシートの両面にフィルムを貼りつけた構造で、ボード素材の断面は白い発泡PPシートが露出しています。
もしボードの周囲にテープ巻きがなければ、この断面が見えてしまい、断面付近からフィルムの剥がれなども起きていた可能性がありますが、ボードの周囲にテープ巻きを施すことでボードの白い断面を隠すことができました。
想定外の仕様変更ではありましたが、結果的に見た目や耐久性に良い影響がありましたので、納得して開発を進めることができました。
また、本プロジェクトで販売している製品と比べたときに一番の違いと言えるのは、ファスナーの縫い付け方です。
アイデアスケッチではファスナーを直線で描写しましたので、それを踏まえてこの試作品でも一直線にファスナーを縫い付けています。
この段階ではバッグの上部にファスナーをつけたいという希望が叶っておらず、クリアブラウンのPVCを横切る形でファスナーがついているため、見た目もすっきりしておりません。
さらにバッグ自体はA4クリアファイルより大きいのですが、ファスナーの位置が中途半端なおかげで、無理やりに押し込まなければバッグ内にA4クリアファイルを収納できないという難点がありました。
とはいえ所詮アイデアレベルで実現しないと思われていたスケッチが、ここまで形になっただけでも大きな一歩です。
個人的にはこの再現度合いであっても試作品を作れたこと自体が嬉しかったため、Twitterに進捗を投稿いたしました。
この投稿に関しては思わぬ反響があり、自分の作る製品が人の役に立つかもしれないという嬉しさがありましたが、同時に「形状や素材を自分好みに変更して欲しい」というご要望が怒涛の勢いで寄せられ、製法や素材の制約の中で対応が不可能なご要望が大半だったこともあり、1件ずつご返信を差し上げながら、プレッシャーに押し潰されてしばらく何も手につかない状況になりました。
開口部をコの字型に変更した2回目の試作品
当初は初回の試作品を壊れる兆しが見られるまで使用し、弱点を見つけてから修正デザインを描き起こそうと考えていましたが、私の使用方法では2ヶ月使用しても試作品が大きく壊れることはありませんでした。
2020年9月には、次のような修正デザインを描いて工場に再試作をお願いしました(モザイク部分は縫製の手順や素材の取り都合の相談です)。
初回の試作品で気になった点と、修正の要望は次のとおりです。
● 開口部が狭くマチ薄で手が袋の底に届かない
ファスナーをバッグ上部にコの字型に縫い付け、マチをやや厚くすることで、袋の底まで手が届くようにしたい。
● A4クリアファイルが入れにくい
ファスナーをバッグ上部にコの字型に縫い付けることで、ファスナーからバッグの底までの高さをA4クリアファイルを収納できる程度十分に確保したい。
● Dカンの留紐が長いためシワが寄ってDカンが回転してしまう
ミシンの押さえが入るギリギリの範囲で、テープを詰めてDカンをぴったりと縫ってほしい。
● 画板モードで使用する際にストラップのアジャスターが首の後ろにあたって痛い
私の体格に合わせたときストラップのアジャスターが首の後ろに当たらないように、ストラップの長さを120cm程度に変更してほしい。
修正デザインを踏まえて2020年10月に届いた2回目の試作品がこちらです。
2回目の試作品の制作では、実際に立体にしてみると思い通りにいかないところと、それでも諦められない私の理想の間で、細かい工夫と調整ができてきたため、満足のいくレベルまで細部を作り込むことができました。
クリアブラウンのPVCを横切る形ついていたファスナーが、バッグの上部から側面にかけてついたため、透明部分を遮る余計なものがなくなり、見た目が非常にすっきりとしました。
開口部を広げマチを厚くしたため、バッグの底まで手が入り、ペンなどの小物を楽に取り出せるようになり、また、周囲にファスナーをつけたことで、袋の中にA4クリアファイルがすとんと入れられるようになっています。
ストラップやDカンの留紐も、写真では伝わりにくいかと思いますが、実際に手に取るとわかる違いがありました。
ボード面には変更はありません。
私としてはこの段階で、私以外の方に販売して使っていただいても問題ないレベルの製品になっていると感じました。
2回目の試作品の進捗をTwitterに投稿した際には、無理なご要望はあまりいただきませんでした。
初回のご要望の対応で挫けてしまったことをツイートしていたため、見ている方々が気を使ってくださったのだと思います。
しかしその中でも「ファスナーを両開きにしてほしい」と「横型を作ってほしい」というご意見はいただきましたので、最終形の試作品を制作する際に、さらに改良できないか工場にご相談をいたしました。
ファスナーを両開きに変更・横型を追加した3回目の試作品
2020年11月に制作した3回目の試作品が、本プロジェクトの写真撮影に使用したモデルです。
本品の開発のモチベーションは、私自身の「こういう製品がほしい」という気持ちでした。
基本的にどのようなご要望をいただいても採用しないスタンスでいたのは、私がほしいと思わない製品を作ることに決めても、モチベーションがなくなり手が止まってしまうことが明らかだったためです。
しかし、3回目の試作品では、「ファスナーを両開きにしてほしい」と「横型を作ってほしい」というご意見を取り入れた改良を行いました。
ファスナーを両開きに変更したのは、物の出し入れをしやすくし、利き手の違いで生まれる使いづらさを減らすためです。
材料の仕入れルートなどを工夫して価格を抑える努力をしておりましたので、スライダーを増やす分、費用がかさんで販売価格に影響することを良しとするか、非常に迷いました。
また、バッグの重量を極限まで軽くしたいと思い、細部のパーツまでこだわっている最中に、スライダー分の重量が加わることになってしまって良いのかという点も、ひたすら悩みました。
しかし最終的には、ファスナーを片開きのままにしたために、人によっては使いにくさを感じる製品になってしまうよりは、長くお使いいただける製品にするために、ファスナーを両開きにしたほうが良いと考えました。
横型を追加した主な理由は、仮に横型を販売しなかった場合に本当は横型が欲しかった方に我慢して縦型を買っていただきたくなかったことと、工場との間で金型代を圧縮する交渉ができたことです。
私自身がほぼ人物画専門なので紙を横に使わないため、開発開始当初は本品の形状のバリエーションを増やすつもりは全くありませんでした。
バリエーションを増やすと最小ロットが増えて、在庫と費用のリスクが大きく高まりますが、横型を必要とする方の数がわからない中では、それは避けたいリスクです。
しかしもし仮に、初回の販売時に縦型しか作らず、後に横型を増やせることになった場合、「横型があれば本当は横型がほしかったけど、我慢して一度縦型を買ってくださった方」は、確実に縦型を購入したことを後悔し「横型を待てばよかった」と感じるだろうという想像ができます。
早めに購入してくださった方のことは、ないがしろにしたくありません。
そこで工場に、費用を抑えながら横型を製作する方法がないか相談いたしまして、結果的に金型を縦横で使いまわせるよう工夫することで、金型代を抑える交渉ができました。
このようないろいろな事情が後押しになり、横型の追加ができることになりました。
カスタマイズ例と特注Dカン追加縦型について
試作品の進捗をTwitterに投稿した際に、ペンケースやペンホルダー、ICカードポケット、ショルダーパッド、風で紙がなびくのを防止する下押さえなどをつけてほしいというご要望をいただいております。
こちらのご意見は大変恐縮ではございますが、制作上のポリシーがあり、対応いたしませんでした。
本品は様々なシーンでお使いいただくことを想定し制作しております。
開発者である私自身は、ベッドで漫画のネームを描く際と、博物館などでスケッチを行う際に使用する予定ですが、趣味でも仕事でも屋内でも屋外でも、ひとりひとり違った使い方をしていただきたいという思いがございます。
それゆえに本品には用途が限定的なパーツはつけたくありませんでした。
便利なパーツであっても不要な方にとっては無駄であり、私が既存の製品に対して持っていた違和感は、そういった自分にとって無駄なパーツがついている点から生じるものもありました。
ひとりひとり違った使い方をしていただくには、製品自体はシンプルに作り、お客様のお手元でカスタマイズをしていただくのが一番です。
プロジェクト本文と重複する部分もございますが、カスタマイズ例をご紹介します。
本品のクリップの黒いコーナーは取り外しが可能です。
コーナーがないほうがリング製本の書類などをしっかり固定できる場合がございますので、お好みで着脱してご使用ください。
本品にはペンホルダーを付属しておりませんが、通常のクリップボードと同様、用箋クリップにペンのクリップを引っかける形でペンのホールドが可能です。
また紐状のペンホルダーに関しましては、“ペン ホルダー or キーパー or 紐 or コード or 落下防止”でヒットする市販の製品と組み合わせた使用をご検討ください。
本品にはショルダーパッドを付属しておりませんが、市販のショルダーパッドの装着は可能です。
ショルダーストラップにはフックがついており、着脱ができる構造ですので、市販のショルダーパッドを装着したり、ショルダーストラップ自体をお好みのものに交換したりと、カスタマイズしてお使いください。
本品には「風で紙がなびくのを防止する下押さえ」はございませんが、ブラウンの平ゴムなどをご用意いただき接着剤で貼り付けていただくなど、カスタマイズした使用をご検討ください。
ICカードホルダーやペンケースについては、本品のDカンをご活用いただき、市販の製品をカラビナなどで取り付けてご使用ください。
カスタマイズでは対応が不可能だと感じるご要望に「横持ちorななめがけしたいため、下側にもDカンをつけて作れませんか?」というものがございました。
Dカンはボードにミシンでしっかりと縫い付ける必要があるため、「風で紙がなびくのを防止する下押さえ」などと異なり、お客様のお手元で後付けができません。
なんとか対応できないか模索しまして、横型の追加と合わせて工場へ交渉し、クラウドファンディング特注品(一般販売未定)としてお作りができることに決まりました。
こちらの特注Dカン追加縦型は擬似的に横型として使うことも可能な多機能モデルです。
下側のDカンは、画板モードで使用する際に利き手側のストラップの留め具を付け替えて、ストラップを背中に斜めに通すことで、利き腕がストラップに当たらないようにするための仕掛けです。
利き手がどちらの方も便利にお使いいただけるよう、下側の金具も左右におつけします。
現状で一般販売を想定していない本プロジェクトの特注品ですので、こちらの形状が必要な方は、是非この機会にご検討ください。
本プロジェクトのお申し込み期間は【2020年1月11日(月祝)23:59:59まで】です。
グッズの通販を行うたび、完売後に「気づかないうちに販売が始まりいつの間にか終わっていた」「販売には気づいたけれど忘れているうちに終わっていた」というご意見をいただきます。
ほしいと思ってくださる方のお手元にお届けできるよう、毎日力を込めてプロジェクトの告知を行なって参りましたので、まだの方がいらっしゃいましたら、ぜひお申し込み期間内にチェックしていただけると嬉しいです。
残りの期間が短くなって参りましたが、引き続きご支援のご検討・SNSを通じた拡散のお力添え、何卒よろしくお願い申し上げます。