2021/01/31 20:56

 今回は、「バッテリーたたき起こし」について書きます。 技術的メリットシリーズの最終回です。 「12Vバッテリーレスシステム」には、モバイルバッテリが接続できます。 夜間はモバイルバッテリからUSB機器に充電することができます。 しかし、モバイルバッテリは、充電対象USB機器が抜かれ、接続されなくなった場合、電源供給を止めてしまいます。 その後、再度充電対象USB機器を接続しても、それだけでは自動的に再充電されないのです。 この問題を解消できることがある技術が組み込まれています。 今回は、そちらに関する話をします。

 前回、「12Vバッテリレスシステム」の制御回路の電源ノードに、100%に近い時間電源を供給する工夫を書きました。 その電源ノードからUSB出力ノードに対し、「1MΩ程度の抵抗器をつなぐ」というのがソリューションとなります。 なぜ、これで「バッテリーたたき起こし」が実現するのでしょうか。 当方の研究によると、多くのモバイルバッテリは、短時間に電圧の急落があるとUSB機器が接続されたと判断し、電源供給を再開するようです。 そのため、短時間に電圧の急落を引き起こせば電源供給を再開するのです。 そのためには、充電対象USB機器が接続されていない状態で、電圧を高く保てばいいのです。 そのためには、100%に近い時間電源を供給されている制御回路の電源ノードから、ほんのわずかに電流を供給し、USB機器の接続されていない状態のUSB出力ノードの電圧を高く保てばいいのです。 そうすると、充電対象のUSB機器が接続された瞬間、短時間に電圧の急落が引き起こされます。 図は、普段1MΩ程度により電圧が高く維持された状態から、充電対象のUSB機器を接続された瞬間短時間に電圧の急落が引き起こされ、それを受けてモバイルバッテリから電源供給が再開される様子です。

 このメカニズムのおかげで、充電対象のUSB機器をすれば、自動的にモバイルバッテリからの充電が行われ、便利です。 しかし、すべてのモバイルバッテリが、この「バッテリーたたき起こし」に対応しているわけではありません。 また、充電対象のUSB機器が既に1台以上接続されている状態で、モバイルバッテリが、充電対象のUSB機器は満充電と判断し、電源供給を止めてしまった場合は、1MΩ程度を接続しても、USB出力ノードは高い電圧にはならないため、追加で充電対象のUSB機器を接続しても、「バッテリーたたき起こし」はしてくれません。 「バッテリーたたき起こし」が作動しない場合は、モバイルバッテリの電源ボタンを押して、手動で電源供給を再開してください。

 今回まで3回にわたって、技術的メリットを書きました。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 また余裕があれば、「技術的メリット概要編」で軽く触れた技術について再度触れることがあるかもしれません。 ですが、次回以降は、接続方法、背景、Chariot Lab.の関連サービス等について書こうと思います。 「12Vバッテリーレスシステム」の技術を体系的にまとめた資料がほしいという方は、800円コースをご支援ください。 技術解説&組み立てガイドPDFをお送りします。 他のコースも含め、皆様の熱いご支援をお待ちしております。 また、活動報告の投稿自体は今後も続けますので、お気に入り登録もお願いします。