みなさん、こんにちは!
監督の古新です。
みなさん、年末年始はゆっくりとした時間を過ごせましたでしょうか。
小生の方は、昨年末まで映画の編集作業をしていて、
年末年始はずっと論文の執筆をしていました。
実はいま、北陸先端科学技術大学院大学の博士後期課程に在学していまして、
この映画がどのようにして生まれるかの過程を
文化人類学の視座より明らかにするという活動もしています。
映画の完成と共に、博士論文も完成しましたら、
ぜひ皆さんにご高覧いただきたいと思います。
現在、映画「いまダン」は編集段階でして、
3月の完成に向けてひた走っております!
昨年3月に企画者の松野さんが亡くなられ、
資金調達の責任を古新が全て背負っているために、
作品制作と並行して、資金調達を連日行っている次第です。
あと1500万円近くの資金が必要なのですが、
おかげさまで昨年は、驚くようなご支援のお申し出が続々と届いていました。
その中に、「新しい贈与論」さんという団体がございます。
共同贈与といって、個人の方々が多数集って、
毎月、支援先を投票で決定するという独特な活動をされています。
「贈与」といえば、文化人類学者のマリノフスキーは、
パプアニューギニア島における「クラ貿易」という仕組みを発見しました。
「クラ貿易」とは、パプアニューギニアの東に広がる海域の島々を結ぶ交換制度のことで、
島に渡っては、この貝を現地の人に渡して行って、数年にかけて貝を一順させる習慣です。
この貝は日常で使われる必需品ではなく、
似ている例であれば、高校野球の優勝カップのようなものですね。
経済的には利益が生まれないため、一見すると無価値に思えるクラ貿易ですが、
実はお金以外にも重要な意味があるのです。
それは、交換を通じて関係のネットワークが形成されることが目的にあるのです。
交換するものを通じて、相手の存在を確認し、
島が単独で成り立っているのではなく、近隣の住民との交流の上に成り立っていることを示し、
共同体としての意識を諸島全体に芽生えさせる効果が生まれるのです。
そんな文化的なコンテクストがある「贈与」ですが、「新しい贈与論」さんのHPには、
個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。
と綴られており、
批評家で作家の東浩紀さんは、
ほんとうの寄付は、寄付する側も、寄付される側も、そこで資産が移転したことにすら気づかないものなのかもしれない。桂大介氏が立ちあげる新たなコミュニティは、そんな謎に挑む恐るべき場所だと確信している。
と述べられていました。
贈与というのは、社会的な枠組みや利害関係を取り払い、
相手の存在を滔々と包み込む温かいまなざしなのだと、小生は考えます。
そのようにまなざされているこの映画は、
「新しい贈与論」さん初め多くのスポンサー様、
そしてこのクラファンでご支援くださった方々の愛を受けて、
しっかりと形にして皆さん、そして社会に感動を贈与して行きたいと思っております。
◯「新しい贈与論」さんのご支援の経緯
https://theory.gift/news/nov-2022
この作品を産み出して、完成させるまでに、まだまだ試練と向き合っていますが、
支えてくださっている方々への感謝の気持ちを大切に、
しっかりと前に進んでいきたいと思っています!
リターンのお返しもサポートくださっている小川プロデューサーと連携を取りながら、
公開前に必ずさせていただきますので、もう少しお時間を賜りたく存じます。
本年も皆さんが笑顔と幸せに包まれますことを心より祈っております。
今年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます!
古新 舜拝