みなさん、こんにちは。茨城県潮来市にあるお寺、潮音寺の住職・村上定運です。
前回まで、潮音寺の歴史や復興の過程についてお伝えしてきました。潮音寺というお寺がどんなところか、少しずつイメージが浮かんできたのではないでしょうか?
私たちが3月に開催する「花あかり」では、もともと境内に植えていたお花に加えて、たくさんの生花が飾られます。そのきっかけとなったのは、コロナ禍で発生した「フラワーロス」という問題を知ったことでした。
◆自粛生活で生まれた大量の「ロス」
2020年、新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの催しや行事が延期・中止に追い込まれました。結婚式、入学式、卒業式、お葬式……そのほか様々なイベントが実施できないまま、長い自粛生活が続いています。
こうしたイベントが中止になることで、そこで必要になるはずだった「もの」や「人手」の需要がなくなってしまいます。お花は、その筆頭といえるでしょう。
とくに、卒業式や入学式などお祝いごとの多い春は花の流通が盛んなため、コロナ禍の影響は大きかったそうです。潮音寺の周辺にあるお花屋さんからも、消費が減ったことで経済的な打撃を受けたと伺っています。
花の需要が落ち込み、価格の低下や取引量の減少によって花が廃棄されてしまう「フラワーロス」は全国で問題となり、なかには倒産してしまった花農家さんやお花屋さんもあるとか。
◆花を失う悲しみ
せっかく育てた花が、出荷を待たずに廃棄されてしまう。その悲しみは計り知れません。
以前、お寺の近くの国道沿いにある花壇が、道路拡張のため撤去されることが決まりました。花壇のお世話を積極的に行っていたボランティアの方の悲しそうな姿を見たとき、「花を失う」のがどれほどつらいことなのかを実感したのです。
心を込めて育ててきたお花が、だれかに贈られることなく、どこかに飾られることなく廃棄されてしまう。そんな事態が、全国で起こっています。
このフラワーロスという問題を解決するため、「フラワーライフ振興協議会」のみなさんと力をあわせて、潮音寺でお花を使ったイベントを開催することが決まりました。
◆全国の観光地で花を飾る取り組みを潮音寺でも
「フラワーライフ振興協議会」は、全国の観光地で花を使ったイベントを開催し、フラワーロス問題の周知や花の需要喚起を促している団体です。
彼らはこれまで、奈良県の興福寺(「古都奈良の文化財」の1つとして世界遺産に登録)、富山県の瑞龍寺(国宝)などでお花を飾り、たくさんの人を動員してきました。この事業は農林水産省の補助事業にも採択されています。
潮音寺で行う「花あかり」もその一環として、街の花屋さんと連携し、準備を進めています。当日は、色とりどりのお花が様々なデザインで展示される予定です。
実際に境内を見に来てくださった方にも、配信を見てくださった方にも、お花の美しさを楽しんでもらえるイベントにしてきたいと思っています。それが、フラワーロス問題の周知・解決にもつながっていくはずです。
「花あかり」の趣旨に賛同していただける方は、ぜひご協力をお願いいたします! 当日に向けて、みなさんと一緒にお花でいっぱいの境内を作り上げたいと思います。
さて次回は、トップ画像にも大きく書かれた「花は咲く」のキャッチコピーについて、住職の想いとともにお伝えしていきます。