2017/08/02 14:55

JASRACの訴状はほとんどが「被告末吉は経営者である」で占められていて、およそ
「ミュージシャンなら糾弾出来ないが経営者ならコテンパンにしてやる」
とでも言いたげである。

裁判中は実質の経営者である「被告勝山」に対する糾弾よりも、そのほとんどは私に向けられていて、まさにそれは「個人攻撃」である。

私としては、相手の提出した準備書面を隅から隅まで読んで完全に理解しなければ反論出来ないので頑張って読むが、相手の文章に深く入れば入るほど
「こんなひどい人間は死んだ方がマシなんだ」
などと思ってしまう始末。

これだけでもかなり精神的に追い詰められていたのだが、追い打ちをかけるようにある日こんな準備書面が届いた。

---引用ここから---

「原告第2準備書面」p33

被告末吉は、平成26年7月 21日、第三者が経営するライブハウスにおいて開催されたライブに出演し、
(中略)
被告末吉は、同日のライブにおいて、著作者及び著作隣接者から許諾を得ないまま中華人民共和国において海賊版音楽CD(被告末吉は「バッタもん」と表現している。)を制作したことと憚かることなく明らかにし、ライブの観客に対して1枚当たり1000円で販売した (甲35)。

---引用ここまで---

だいぶ前から店でライブをするのが精神的にしんどくなっていた。
顔馴染みじゃない客がいれば「JASRACが調査に来てるのでは」とか勘ぐったり、ドアが開けば「JASRACが来た」とビクっとしたり。そのノイローゼ的な感覚が店だけでなく、他のライブハウスでのライブの中でも発症するようになってしまったのだ。

ライブ中のMCでの「亜州鼓魂の海賊版を作って来ました」という発言は、同じくライブ中に「中国ジャージを密輸して来ました」や、「唐辛子を密輸」などと言ったりするのと同じで、全くもって「ジョーク」である。
(ちなみにCDは上海のCD屋で購入したものだし、中国ジャージはちゃんと関税を払って持ち込んでいる)
ただMCでそのように言うと大いにウケる。
逆に「もしJASRACの人間がいたら」と思うと
「中国のCD屋ではみんな正規版だと言って売っているし、中国人でも海賊版かどうかわからない現状なのに、JASRACが海賊版だと言うなら証明して見やがれ!!」
というような変な「ハイ」になる部分があって、その頃のひとりドラムツアーではMCがどんどんエスカレートしていってたのだ。

笑えるMCで言うと、爆風スランプのベーシスト和佐田達彦と一緒にツアーを廻ると、彼は私を紹介する時に
「こいつはしょっちゅう北朝鮮行っててねぇ・・・金正恩といつも飲んで来てるんですよ」
から始まって、最後には
「この前、金正恩に携帯で電話してましたから、『もしもしジョンウン』って(笑)」
みたいに毎回毎回エスカレートしていって、それがまた非常にウケを取っていた。

私の場合もそれは同じである。
最初は「入手困難な私のソロアルバム」から始まって、最後には
「あまりに入手困難なのですが、中国ですから正規版が一枚あればバッタもんを何枚でも作ってくれるんです」
までエスカレートしていた。
そのMCをJASRACは準備書面として法廷に提出したのだ。

その書面の中にはこんな文章もあった。

---引用ここから---

4 違法複製物の販売

中略

販売していた被告末吉のファーストアルバム「ASIAN DRUM SPIRIT」は、正規版ではなく全て違法複製CD(1,000円)であった。

---引用ここまで---

おいおい、中国人でも海賊版か正規版かを見分けるのが難しいのに、どこをどう精査してこれを「海賊版」と断言するの?!!

JASRACは訴訟の中で、「精査した」とか「録音した」とかの発言が多いが、その「証拠」を絶対に提出しようとしない。
現物や録音物を提出してくれればそれに関していろんな論争が出来るのだが、証拠も提出せずに「そうだった」では「いいがかり」に過ぎない。

我々の弁護士は裁判所に対してこんな文章を提出した。

---引用ここから---

原告は、「(3)本件訴訟係属後の被告末吉の言動」として、本件ライブハウス以外のライブハウスに出演した際の被告末吉の言動を秘密裏に調査し、同ライブでの同人のMCに おける発言の一部 (「バッタもん」)を取り上げ、「海賊版音楽CDを製作」したなどと主張し、「著作権保護の精神を著しく欠く」と結論づけている。
しかし、当然ながら、被告末吉は、海賊版の製作など行っていない。
被告末吉は、大手芸能プロダクションとして著名なホリプロのアジアレーベルが権利処理及び製作を行った自己のソロアルバムの中国版CDを日本のファンに頒布するに際し、中国での著作権事情がわが国でもニュース等で話題になっていることに鑑み、ライブのMCにおけるジョークとして 「バッタもん」と述べたにすぎない。
したがって、ファンサービスの一貫であるMCのジョークをことさらに取り上げ、被告末吉が海賊版音楽CDを製作したなどと公の訴訟の場で断定する主張を行う原告の行為は、被告末吉の名誉を毀損する行為であり、かかる主張が本件訴訟の争点とほとんど関連性を有しない一般的人格非難(著作権保護の精神を著しく欠くとの主張)であることに鑑みれば、訴訟上の攻撃防護方法として明らかに不適切である。
そして、このような主張のもととなった原告の調査は、被告末吉が本件店舗以外で行うライブにおいて行われたものであり、被告末吉に対する「つきまとい」行為にほかならない。言うまでもなく、原告は一事業者にすぎず、私人につきまとってその言動を監視する権限を有しない。
被告末吉は、原告に対し、上記つきまとい行為及び上記主張に強く抗議するとともに、これらの即時中止及び撤回をそれぞれ求める。

以上

---引用ここまで---

JASRACは相当慌てたのであろう、すぐにホリプロに電話をかけて確認したようだ。
でも私は言いたい!!前回書いた「ブログ主に対する調査」もそうだが、裁判に提出する書類ならどうして予め調査を念入りにして来ない!!

そしてそんな風に何の根拠も証拠も出さない「いいがかり」のような事実を山のように提出して来る。
どこかの政府の偉い人が、自分を攻撃する正当な意見に対して、攻撃する人間を誹謗中傷して対抗するのに非常に似ている。
要は裁判官に「こんな酷い人間はいないでしょ。だから私たちの主張は正しいんです」と言わんばかりのやり口なのだ。

この巨大な組織から常に何の根拠もなく「断定」されることは、いち私人にとってはとてつもないく恐ろしいことである。
その「恐怖感」は裁判が始まった頃から私の精神を徐々に蝕んで来たが、この「つきまとい行為」は私の精神を崩壊させるに十分であった。

何せこの団体は全国に何万人もの職員がいる(当時はそう思い込んでいたが実際はそんなにいないらしい)団体なのだ。
つきまとい行為をやろうと思えば、私が全国どこにいても私を監視することが出来る。

それ以来私は、この日本という国のどこにいても立ちションベンはおろか、真夜中の人も車も通ってない赤信号の交差点も渡ることが出来ない。
たとえ飲み屋であろうとこの裁判の話を話題に出す時には「命がけ」である。

初めて北朝鮮に行った時、ホテルの部屋の中まで全て盗聴されていると思って4日目には熱が出て寝込んでしまった。

北朝鮮はしばらく寝込んで出国すれば精神的には何も問題ない。
しかし日本全国にてストーカーのようにつきまとい行為をする団体が手ぐすね引いて私を監視してたとしたら・・・

それは単なる「妄想」なのかも知れない。
だがその「妄想」を起こさせさえすれば、この「被告末吉」は「潰れる」のだ。

JASRACの思惑通り私は鬱を発症し、北京から日本に帰る度にその症状が現れるようになった。
もう日本には戻れない・・・
私は居を完全に北京に移すことによって何とか精神を正常に持っていった。
「北京」という地盤を持ってない日本人だったら文字通り完璧に「潰れて」いただろう・・・。

著作者から預かった大事な著作権を守るために損害賠償を起こして取り返す、それなら名実共に「経営者」である勝山から取ればそれでいい。
今回の訴訟のほとんどの部分を費やして「末吉が経営者である」と立証し、その経営者を誹謗中傷することを目的とした裁判だったとしたら、それこそ「スラップ訴訟」である。

弁護士は依頼人を守るべく

「準備書面(7)でも指摘したが、原告の書面は非常に攻撃的な書面になっており、海賊版CD製造者だと言われるなど、弁護士が見ても鬱を発症する寸前にまで追いつめられるほど被告末吉は多大な精神的ダメージを受けている。巨大組織がいち私人を攻撃しているこのような状況を裁判所にも原告にも認識いただきたい。」

と通達したが、その後もJASRACが私を誹謗中傷する行為は止まることを知らない・・・


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