去年の12月、本の表紙に使う紙を選ぶため、神戸市内の紙の卸の会社に行ってみた。
見本紙1万種類以上をそろえているそうだ。
見たい種類をいくつかピックアップして出かけたけれど、行ってみると全然違う紙に魅力を感じる。厚さ、手触り、見た目など、あれもこれもと、目移りする。
紙の種類がこんなにもあるなんて、驚いた。
一目ぼれした紙を何種類か見つけ、担当の方に価格なども踏まえて相談してみる。
残念なことに、選んだ紙は悉く廃盤になっていた。
すると、やはりそこはプロの技なのか、一瞬にして、好みに合わせた別の紙を選んでくれた。
凹凸感、手触り、風合い。
これなら、小説の世界観を表現できる表紙に仕上がりそうな紙だと思った。
何の世界でも、しっかりとプロの仕事をしている人は、大げさかもしれないけれど、人を救うことができると、感動した。
このプロジェクトのリターン限定本『Synchronicity~Ⅰ全裸の女たちとアウシュビッツ、文字たちの集団脱走/Ⅱ天使たちの原罪』を作るにあたり、わくわくするような、励みになる一日をもらったので、私はわくわくするような本を作ろうと思った。(有城見萌)