2021/07/07 08:00
いま日本に暮らしていて、気持ちは暗然としたものになっています。第二次安倍政権から数えて現在の管首相まで、日本の政治がまっ暗であるのはもちろん、日本社会のほとんど隅々までに澱んだ空気が漂っています。終わりの見えないコロナ禍、それにオリンピック・パラリンピックと、昏迷した状況の連続です。そんなとき、平和を守り、民主主義を育てるために「笹の墓標展示館再生」の市民運動はとてつもなく光り輝いています。どう歩めばよいか分からないとき、過去を振り返り、そこに光や希望を見つけだそうとしてみる。素晴らしいことです。国家エゴイズムを超えて、支え合い、助け合うことによってほんのりした暖かい肌にふれあい、そして和解と信頼を育てていく。そこにこそ日本という狭い枠を超えたアジアへの広がりも生まれるのだと思っています。遠いむこうの話ではなく、身近で具体的な繋がりがそこにあるのだと思っています。
神奈川大学名誉教授
尹健次