こんにちは。
コルポナ共同代表の綿貫竜史です。
わたしは「おしえるがっこう」という未来型のスーパー面白い教育プラットフォームに関わらせて頂いています。そこでは、「お金を払ってでも授業をしたい」という人たちが集まり、デザイン経営、未来の教育、男磨き、恋愛、医療、ラッキーを呼ぶ方法、DIYなど、数々の面白い授業が開催されます。
そんな「おしえるがっこう」で、私も先日授業をしてきました。
授業のタイトルは、「教育を実験する」。
ずっとやってみたかった。
自分が思い描く授業をデザインして、実験してみること。
そんな一つの小さな願いが、やっと叶いました。
今回の授業のテーマは、「制約は工夫を生み、その工夫は多様性の理解につながる」。バングラデシュで1年間暮らしたことで、たくさんの制約を抱えながら暮らす人たちを間近で見てきました。私にとって大きな財産となったのは、現地の人たちが抱える「制約」を共有し、一緒に「工夫」をしてきたこと。こうした制約の共有と工夫が、バングラデシュの人達に対する私の理解を増幅し、多様性を理解することの大切さを教えてくれました。
この「制約と工夫」の要素をうまく盛り込んで授業をデザインし、実験したいと強く思ったので、「おしえるがっこう」にお金を払って今回授業に臨みました。
授業は、5人一組のグループワーク形式。
各3つのお題にチームで答えていきます。しかし、通常の授業と異なるのは、それぞれのお題ごとに制約が付くこと。チームの一人にいくつかの制約を課し、その制約を課された人がそのお題に答えます。
最初のお題は「あなたの人生のポンコツエピソードを教えてください」。
制約は、①回答者はミュート、②チーム全員チャット機能の使用禁止です。つまり、回答者は答えを口にすることができません。チャット機能も使えないので文字で自分のポンコツエピソードを伝えることができません。ここでは、声と文字を失った人から、どんな工夫をしてエピソードを引き出していくのか。この力が試されます。
ジェスチャーを使ってエピソードを必死に伝えようとする姿、写真を見せながらエピソードを一生懸命伝える姿は、ダイヤモンドのように輝いて見えました。
2つ目のお題は、「人生で感情的になったエピソードとその時の感情を全身で表現してください」。ただし、回答者の画面はオフになったままです。
つまり、感情を全身で表現している人の姿が見えない状況です。このお題では、いかに視覚以外の情報から相手の表現を想像できるかという力が試されます。一生懸命相手のエピソードを聞き、想像しながら自分で表現してみる姿、「もうすでにLINEだったらスタンプでほとんどの表現を説明できるよね!」という鋭い発想には驚かされました。
最後のお題は、「新しい教育のあり方を教えてください」。
凄く抽象的で難しいお題です。ここでの制約は、回答者は自分の意見を述べてはいけない。ここで重要となるのは、回答者の周りにいる人たちの「質問力」です。
心の問題で上手く自分の意見を発信できない人は多いと思います。自分の意見はあるのに、なぜか上手く発言できない。私もその一人でした。こうした人たちとコミュニケーションをとるうえで、重要となるのが「質問力」です。
もっと言うと、その人の一番身近な情報を引き出してあげようとする思いやりが大切なのです。私のチーム回答者は小学6年生の男の子でした。「新しい教育は何か」という問いに私自身すら答えることなんてできません。小学生ならなおさらです。しかし、チームのメンバーは、「どんな授業が楽しい?」、「逆にどんな授業が嫌い?」など、小学生でもこたえられる身近な質問から徐々に情報を集めていき、最後には、「小学生と大学院生がコラボして実験とかしたら面白いよね!」といったアイデアも飛び交っていました。
このように、今回の授業では、あえていろんな場面で制約を加えることで、自分にはどんな工夫ができるかを体験してもらいました。
結論、授業を実施した私も楽しかったですし、皆さんにも満足していただけました。
今回の授業のフィードバックの中で印象的だったコメントを最後に少しだけ紹介して、今日の記事を終わりにしたいと思います。
ミュートにして相手に声が届かないとわかると声すら出していない自分がいることに気付いた。制約は工夫というポジティブな側面を生み出す一方で、自分の行動を無意識に制御してしまう怖さもある。
一つ制約を共有できると、その流れの中で自分が抱えている制約をオープンにできる感覚があった。
多様性の理解とは想像する力なのだと気づかされました。
教育を実験してみて本当によかったです。