TSUNAMI VIOLINへの想い
あの日から10年の年月が流れ、素晴らしいヴァイオリニストの皆様によって奏で継がれてきたTSUNAMI VIOLIN。
宮沢賢治に格別の想いのある私にとって東北は特別な地で、震災前からずっと、毎年のように岩手、宮城、福島を訪れ、この地で地元の方々と触れ合いながら、この地の人々を育んできた自然に抱かれ、木々が放つ美味しい空気を胸いっぱい吸って、ヴァイオリンを奏でることが大好きでした。
TSUNAMI VIOLINには、この地に生を受けた生きとし生けるものすべての魂、木々が見つめてきた人々の魂、天に召された方々の想い、その方々を愛しく想う人々、今この地に生きている人々、中澤宗幸様はじめ、製作に関わられた方々のこのヴァイオリンに込められた想い、それを真摯に受け奏でられてきたヴァイオリニストの方々の想い、TSUNAMI VIOLINの響きをきっかけに、10年前のあの日を風化させることなく東北に心を寄せてくださる世界中の方々の想いが溢れんばかりに込められていて、巡り巡って私が奏でるバトンを受けることに身の引き締まる思いでいっぱいでございます。
世界中の民族音楽に触れるようになってから、奏でるということは「祈り」そのものであるという意識が私の中では高まっています。
皆様の想いをTSUNAMI VIOLINの音色にのせ、響かせられることができるように、微力ながら精一杯奏でさせていただきます。
平松加奈
平松加奈プロフィール
ジプシージャズスタイルの演奏でフラメンコ音楽やラテンジャズを中心に、国内外で多数の公演を行うヴァイオリニスト&作曲家。2014年、三谷幸喜脚本によるNHK人形劇『シャーロックホームズ』の劇伴音楽を全曲担当。数曲は世界的指揮者のダニエル・ハーディングとマーラー・チェンバー・オーケストラが演奏。リーダーバンドにおける活動やフラメンコ舞踊公演への楽曲提供、2017年、スペイン・コルドバの野外ステージにて、ベニートガルシア舞踊団の公演に参加。