寄稿シリーズ「コロナ禍のコミュ壁」では、コロナによって生まれた「コミュニケーションの壁」をそれぞれの視点から寄稿して頂き、どのようにそれを乗り越えていくのかを考えてみる企画です。私たちがいま制作している「体で話し合うボードゲーム MUTERS」もそんな「コロナ禍のコミュ壁」にお役立ちすることを目指しています。
-------------- 今回の寄稿者 --------------
中須 俊治 AFURIKA DOGS 代表
1990年、京都生まれ。滋賀大学経済学部卒業。大学在学中に単身アフリカへ渡航し、ラジオ局のジャーナリストとして番組制作に携わる。大卒後、京都信用金庫に入社。嵐山地域で営業を担当した後、2018年に独立・起業。日本とトーゴ共和国を往復し「みんなが笑って過ごせる世界をつくる」ために、体験型のファッション事業やアフリカ進出をめざす人たちの伴走支援をしている。2020年には京都・西陣で初の常設店舗をオープン。アフリカ布や京友禅をつかい、トーゴ出身の仕立て職人と一緒にオーダーメイドの服を仕立てる店舗を運営している。著書に『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』(烽火書房)。
アフリカのトーゴ共和国という国で、現地法人を構えています。現地の独特な布を調達したり、おしゃれな人たちが多いので、美容コスメ用品などをラインナップしています。地域の方々と話し合って、みんなの憩いの場になるようにと、カフェテラスをつくり、コーヒーや紅茶、軽食を食べられるお店としても機能しています。そんな日進月歩な場づくりをしていた矢先に、このコロナでした。出張はすべてキャンセル、かれこれ1年以上、現地へ赴くことはできなくなりました。
現地のスタッフたちは、とても優秀なので、ぼくが行かなくても、お店自体は何の心配もいりません。実際に、日本法人よりも早く売上がたって、安定した経営をしてくれています。また、現地でのコロナの影響は、日本ほど大きくありません。コロナ以前から、エボラ出血熱などの感染症に慣れていましたし、決してボリュームは大きくないけれど、地域内でヒト・モノ・カネ・情報が循環している強いコミュニティがあるので、かなり抑え込んでいる印象があります。
しかし、トーゴは誰かの誕生日とあれば、わざわざ国境をまたいでお祝いに駆けつけたりする国民性があります。そうした時間を共有できない「コミュ壁」があり続けることは、すなわち彼らの人生を奪うことと、ほぼ同義です。トーゴの人たちがトーゴの人たちらしく生活するためには、好きな人と好きな時間を過ごすということが絶対的に必要です。そこで自分たちの関係性を確認し、困っていることがあればシェアして、明日からの活力に変えていくのです。「コミュ壁」を放置すると、そうしたエネルギーが失われ、空気のように存在している関係性は希薄となり、息苦しくなってしまいます。
リアルで会えたときに、喜びあえるコミュニケーションが大切だと思います。オンライン会議が増えて、その人とはZoomでしか話したことがなかったけれど、会ってみると、思ったより長身だったり、小柄だったり、かわいかったり、かっこよかったりするのが、なんか面白いなと感じます。そのユーモアは、コロナ前にはなかったような気がします。また、オンラインで初対面の人が増えてきて、イベントなどで時間を一緒に過ごすと、「早くリアルで会いたいね」と、人肌を感じたくなるのも面白い心の動きだとも思います。リアルを意識したオンラインでのコミュニケーションの取り方をもっと考えたいです
「オンライン」と「リアル」のそれぞれへの感じ方に大変共感しました。
オンラインでは、時間の枠や画面の枠にはまりがちで、無駄がないというか。
でも「素顔」や「素振り」にもっと私たちは、その人に関する何かを感じていたはずで。
言い方を変えれば、聴覚と視覚だけがオンラインで交換可能とも言えますね。
リアルだから交換できる何か、それを存分に活かしながら楽しめるのが「MUTERS」かも知れないと思いました。
楽しい時間を演出できるアイテムになればいいなと思います。