「間伐」とは、人工林に植えた木を間引くことです。
野菜の間引きと一緒です。
植林は、坪植えと言って「1ha=3000坪」に3000本植えます。ある程度大きくなると定期的に間伐をし、元気な木を残して大きく育てて行きます。最終的に1haにスギは400本、ヒノキは800本残すと山主さんにも利益になり、健康な森づくりができます。
今の森の現状は、間伐の手が遅れており、木は込み合い、お互いに太れないくらいギューギューで、上にだけ伸び続けたヒョロヒョロの木がいつ倒れてもおかしくない状況です。
そこで、「皮むき間伐」という手法があります。
チェーンソーを使わず間伐効果を出せるので、女性でも子どもでも参加できる国民全員参加の画期的な間伐手法です。国民全員参加で植林した森の手入れは、林業のプロだけでは間に合わず、国民全員で間伐しなければならないくらいの面積が日本中に広がっています。
スギ・ヒノキの皮を剥き、立ったまま森で天然乾燥をかけます。木はいのちを絶たれ、少しずつ落ちる葉の間から空が見え始めます。林床に光が届き、そこにあったタネが芽を出します。真っ茶色だった林床に植物が戻ってくるのです。そうすると、そこにたくさんのいのちが集まったり、森の保水力が戻り「緑のダム」としての機能も果たす森になっていきます。
皮むきする木は、細い木です。劣性木を間伐し、優性木を残します。皮をむかれた木は、1年から1年半経つと重さが生木の1/3になり重機のいらない森仕事が可能になります。
残された木は、葉っぱが落ちた隣の木のスペースに枝を広げて行きます。こうして、皮をむくだけで、森が元気を取り戻すことができます。
水は、山から当たり前に湧くのではありません。「植生が豊かな森の土」が、豊かな水を育み、わたしたちに送り届けてくれています。そして、海まで豊かにしてくれているのです。
気仙沼の牡蠣漁師さんが、上流の森に広葉樹を植える「森は海の恋人」という活動をしているのは小学校の教科書にも載るくらい有名な話です。
つまり、山に住む人が森の手入れをしてくれているから、街に水が供給されるのです。昔は当たり前に知られていたことが、今では蛇口をひねるから水が出ると思っている人のほうが多いのではないでしょうか?
それもそのはず、経済優先の社会は、わたしたちの暮らしと森を切り離してしまったのです。
この森のお話は、世界の森とも繋がっています。次回は、「日本の森と世界の森はひとつながり」のお話につづきます。
皮むき間伐をやってみたい!詳しく知りたい!という方は、ぜひ「皮むき間伐体験」また「森のお話会」のリターンにてご支援をお願いいたします。もしくは、全国に地元の森を再生している仲間たちがいますので、インターネットで検索してお近くの体験会にご参加くださいね!