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小説好きのあなたに近未来を届けます。

お届けする作品は『未来探検隊』の他三つです。四作品とも未発表。何れもワープロ原稿をワードの添付メールで送信。僕に送り先のメルアドが届き次第、直ちに送ります。スマホや他の携帯には送れても容量が大き過ぎて開けません。パソコンは大丈夫。ワードで圧縮せずに送るので今までの経験では問題なしでした。

現在の支援総額

18,000

1%

目標金額は1,000,000円

支援者数

4

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2021/04/05に募集を開始し、 4人の支援により 18,000円の資金を集め、 2021/06/04に募集を終了しました

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支援者数4

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お届けする作品は『未来探検隊』の他三つです。四作品とも未発表。何れもワープロ原稿をワードの添付メールで送信。僕に送り先のメルアドが届き次第、直ちに送ります。スマホや他の携帯には送れても容量が大き過ぎて開けません。パソコンは大丈夫。ワードで圧縮せずに送るので今までの経験では問題なしでした。

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 呼吸を止めて読み終えた美子。息を大きく吸い込んだ。吐き出すと美子の眸

から涙が溢れ出た。ふた筋となって両頬に零れ落ちた。

 陽大が読み手を意識して書き始めたなら少し恐い。

 だって私は陽大のように書けないから。 

 西南戦争を花南が読んだらどうなるのだろう。想像できない。間違いないの

は私と同じ落涙。それからが分からない。けれど私と同じく決心する。

 何かを決心する。それは分からない。                                

 今は分からなくとも花南の傍らに居るのなら何時か分かる。

 私が生まれる七ケ月前のクリスマスイヴの夜に陽大は捨てられた。名前を告

げられないまま施設の玄関に置かれて居たんだ。クリスマスイヴは辛い。辛過

ぎる。手掛かりは十二月二四日で生後二週間。母親は会津生まれ。これしか無

い。これだけで陽大の出生を知るのは難しい。今は個人情報保護が周知徹底さ

れているから園長先生が調べた時よりも難しくなっている。陽大を施設の玄関

に置いて立ち去るのは保護責任者遺棄罪に該当する。法定刑は懲役五年以下。

公訴時効は三年。既に時効が成立している。しかし陽大を生んだ母親は存在し

ている。父親も居るはずだ。時効が成立していても警察がその気になれば調べ

られるはずだ。十二月十・十一・十二日に出された札幌市への出生届から目星

を付けられるのではないか。生まれた子どもを追跡すれば追跡不能者が出てく

る。それが目星。しかし出生届を出していなければお手上げ。十七年前の十二

月上旬、それも一〇日に出産予定日の母子手帳の控えを調べ挙げたならこれも

目星を付けられそうだ。しかし母子手帳を取得していないかも知れない。そう

であるならばこれもお手上げ。陽大の母親に辿り着くのは本当に困難。病院で

の出産であれば記録が残っている。それもお手上げになってしまうのが母親単

独での出産。今では考えられないが不可能では無い。


…やはり陽大には私の応援が必要だ。評伝を読み進め、榊長左衛門さんの稿に

入ってからは陽大のルーツを調べ挙げようと思い始めた。園長先生の処では、

私なら調べられると思った。そう思っても調べる術が見つからない…


 美子は途方に暮れた。陽大の孤独感が迫って来た。諦めてはダメ。何時か調

べ挙げるチャンスが巡ってくる。それまで力を蓄えて待つ。これは私の、私だ

けの、私にしか出来ない陽大への応援。

 美子は誓った。

 何時か必ず私が母親を探し出す。陽大と云う存在は事実。陽大を産んだ母親

の存在も事実。陽大が生まれた年月日も事実として今に残る。それが隠されて

いるだけだ。隠されている事実はやがて明らかになる。それが歴史の必然。

 美子の両頬の涙は渇いていた。

 高二の書き込みはきっと花南を意識する。意識すると何かが変わる。陽大の

意識は必ず花南をヒットする。もの凄いことが起こりそう。けれど花南をヒッ

トしても陽大の母親を探し出すには結びつかない。花南には時間が余り無い。

八方塞がりの中から一点の突破口を見つけるには消費する時間と労力が膨大。

徒労に終わるかも知れないのだ。そうした無駄を孕むリスクを花南が取るとは

思えない。もし花南が母親を見つけ出す決心を固めたなら二人で手分けして追

及しよう。その方が見つけ出す確率が高くなる。

 でもこれは私だけでトライしたいなぁ~。花南の陰に置かれた自分を意識し

なくて済むから。でも余計なお節介はイヤだ。陽大は母親を知る。母親に会う。

それを望んでいるのだろうか。……望まない子どもは居ないと思う。よほどひ

ねくれていない限り、知りたい、会いたいと思うはず。これは本能のひとつ。

陽大はひねくれていない。伸び伸びとした感性と知性の持ち主。おまけに努力                                

家。間違いなく望んでいる。


 西南戦争を超える書き込みは無かった。

 それは致し方ないのだ。自分のルーツと向き合う評伝は唯一無二なのだ。

 気に懸かったのが『今、香港が騒がしい』と『地球温暖化』のふたつ。

『今、香港が騒がしい』は見出しだけ。

 書き込みが無かった。書こうとすれば幾らでも書けるのにどうして…。

 美子は陽大になったつもりで『今、香港が騒がしい』の空白を考え始めた。

 メモ用紙に使っているA4を半分に切った用紙に書き込んだ。

 書き上げたら花南の教科書に清書して書き移すつもり。

『地球温暖化』は「俺たちが取り組まなければならないのはコレだ」とだけ。

『地球温暖化』は香港の後。ふたつを同時に考えられない。


■4/12にリターンを見直しました。活動報告の4/12を開いて下さい。


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