金津創作の森美術館館長であり写真家の土田ヒロミより、
「発酵ツーリズム展 in 北陸」展へかける想いを綴ります。
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本ページをご覧いただき、ありがとうございます。
金津創作の森美術館・館長の土田ヒロミです。
この度、金津創作の森美術館では、発酵デザイナーの小倉ヒラク氏を招聘し、
「発酵ツーリズム展 in 北陸」展を開催する運びとなりました。
2021年で開館23周年を迎えた当館は、現代美術を中心としたシリアスな美術館として高く評価されてまいりましたが、近年は漫画などのサブカルチャーな分野にも活動の幅を広げ、新しい評価をいただいております。本展は、これまで美術館のカテゴリーには入れられてこなかった“食”の表現を、他の美術館に先駆け開催するものです。
酒、味噌…これらの発酵食品が発展してきた歴史は、自然と人間の協調なしには語ることはできません。我々が、日常生活で無意識に享受してきた発酵食文化は、単なる工業生産がもたらしてくれるものではなく、自然界の発酵現象と人間の協調関係から生まれ、発展してきたものなのです。それは、まさに無為の表現活動と呼ぶにふさわしいと考えられます。その歴史は永く、人類史と共にありました。特に日本では、多様な発展を繰り返し、世界に先駆けつくりあげてきた歴史があります。その様々な事例を対象として採り上げ、小倉ヒラク氏が体系的かつバラエティなキュレーションで自然界と人間界がつくりあげてきている“表現の世界”を展開します。もちろん、結果的には“美味しさ”の世界でもあります。本展は美味しさも体験できる画期的な展覧会になるはずです。
既成の美術館の存在の概念が問われている現在の状況の中で、私たち金津創作の森美術館は、美術館と市民との新しいありようを模索しています。本展は、まさにそれに向かって、大きく踏み出す一歩となることでしょう。趣旨をご理解いただき、本クラウドファンディングに協力いただきますようお願い申し上げます。
本展を彩る発酵のモチーフは、福井県を中心に石川、富山の北陸圏まで広げてまいります。
本展を何としても成功させたいと願っており、皆様のご協力をお願い申し上げる次第です。
金津創作の森美術館 館長 土田 ヒロミ
掲載写真/(c)光齋昇馬