2022/03/05 18:00

こんにちは。
ゲームさんぽ制作チーム(白夜書房の佐藤)です。

本の編集作業を2月24日に終え、あとは皆様の元にお届けするだけとなりました!
……しかし、お届けまで指をくわえて待っているわけではありません。私にはまだやるべき仕事が残されています。その一つがこの活動報告です。なぜなら、クラウドファンディングのページをずっと下までスクロールすると、こんな文言があるからです。


そう、これまで月1程度で活動報告をお送りしてきましたが、それは活動報告というよりも「○○さんに取材しました」「ページが増えました」といった出来事の報告にとどまるばかりで、あまり制作の裏側をお話ししてきませんでした。

というわけで、いまさらではありますが、「編集者の仕事」と題し、制作の裏側を全6回にわたってお届けしたいと思います。

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初回となる今回は、本づくりの流れをざっと紹介します。1冊の本が出来上がるまでにはどんな工程があり、今は何をしているところなのか? そんなことをざっくりお伝えできればと思います。

最初に現在の状況からお伝えすると、今週末は印刷所で本の具材を作っています。板橋区の工場では限定版の表紙貼りという作業を行なっていて、それとは別に通常版のカバーを印刷したり、本文の印刷もそれぞれ進んでいます。

そして来週には出来上がった本の具材をすべて静岡県沼津市にある工場に集め、そこでガッチャンコ(製本)する、というわけです。

※本文はこんなふうに刷り上がります。1枚の紙に裏表合わせて16ページ分印刷されています。今度はそれを折屋(おりや)さんに渡し、本の状態にしてもらうことで、本文の具材は完成。ちなみに、折屋さんには「◯◯紙工」という名前が多いとか。折るだけではなく、製本まで手掛けることもあるそうです

そんなわけで、現在は印刷所の営業さんや現場の方たちが尽力してくださっています。本づくり全体のプロセスで言うと……

【本が誕生するまで】
(1)企画立案
(2)原稿の執筆や取材
(3)デザイン
(4)入稿
(5)校正
(6)校了
(7)印刷、製本 ←今ココ

つまり、ゲームさんぽの書籍化プロジェクトは最終段階にあるというわけですね。

編集者は現場監督としてこれらの進行を管理しながら、本づくりを進めていきます。編集者の仕事としてはだいたい(6)まで。なかには印刷現場に立ち会う人もいますね。
作業としてはもっとも記憶に新しいせいか、(5)校正が大変だったな……と思うわけですが、こまかい苦労話は次回以降にしましょう。

本づくりは(1)の企画立案から始まります。編集者が「本を出しませんか?」と持ちかけるほか、編集部への持ち込みもあれば、本を出したい人が編集者を前にプレゼンする大会のようなものまであります。いずれにせよ、企画がないことには始まりません。そして、編集者は企画書を書き、社内の会議にかけます。そこでプレゼンし、承認されれば晴れて本づくりをスタートすることができます。

企画が通ったら著者に連絡を入れ、(2)原稿の執筆にとりかかるのですが、1冊の本を書き上げるには3カ月ぐらいかかります。そのほかの作業も含めれば、企画が通ってから完成するまで半年ぐらいをみることが多いです。中にはもっと早いものもありますし、逆にゲームさんぽは皆様もご存じのとおり1年半近くかかりました。ゲームさんぽは著者が執筆するだけでなく、専門家の皆様に取材もしたので、この工程に多くの時間を割くことになりました。

著者が執筆を終えると(脱稿と言います)、作業は(3)デザインへ移ります。本の表紙や本文のレイアウトを決めるターンです。デザイナーさんと本の内容に合わせた方向性を相談し、デザインが上がるのを待つことになります。

そして、デザインが上がったら、印刷所(または製版所)に(4)入稿します。出来上がったレイアウトデータをもとに、試し刷りをしてもらうのです。この試し刷りをゲラと言います。

(5)校正はこのゲラを使って行われます。厳密に言うと「校正」は指示どおりに組み上がっているか確認することを言い、「校閲」は文章に誤字脱字がないか確認したり事実確認したりすることを言いますが、ここではまとめて校正と言います(みんなそう言っている)。

刷り上がったゲラに赤字を入れて、印刷所(または製版所)に戻す。その赤字をもとにDTPオペレーターさんがデータを修正する。修正したらまたゲラを出してもらう。こんなやりとりを数回繰り返し、「もう直しはありません」という状態になったら(6)校了、そして冒頭で説明した(7)印刷、製本に進む、というわけです。

駆け足で本づくりのプロセスを紹介しました。きっちり順番どおりに進むわけではありませんし、そのあいだにはいろんなドラマもあります。次回はそんな具体的な話をしていきたいと思います。