製本のことを尋ねた
何故、ここで製本のことが知りたいのか。
実は、2016年3月の頃、このペーパー加湿器は、畳んだカードに挟み込んで保存する設計になっていた(今はこの構造は採用していない)。
カードを開くと、普通の飛び出すカードのようにピョコンと本体が立ち上がる。
本体はカードから分離できる構造で、分離した本体だけをコップにさし、ペーパー加湿器として使う仕組みだ。
もちろん、分離した本体は再びカードと合体し、畳んでしまうことが可能だ。
で、そのカード部分の良い作り方が出てこない。
飛び出すカード自体のテンションを押さえ込む強度が必要なので、書籍のハードカバーの作り方を調べ、見よう見まねで作ってみたが、手間がかかるし見た目も悪い。
ネットや書籍を色々見ても、あまりカバー作成の手順は変わらない。恐らく基本的な手順は既に完成している(それも何百年も前にな)。
息子や仲間は、少なくとも今はまだ不器用だ。
必要なことは手順の簡略化。
同時に見栄えも向上させねばならぬ。
もしも両立する方法があるとしたら、「作り方」には出てこないそれを捜すべき場所は、何度も繰り返しハードカバーを作ったことのある脳の中のはずだ。
困った時のなんとやらで、私は、本を(本も)作るアーティストH氏に相談した。
私自身は単なるサラリーマンなのに、こういう人達と知り合えていたことは本当にありがたい。これは、TORIDEというバーのおかげだ。
toride
名古屋、新栄にあるクリエイターズバー&ギャラリー
toride
それはもう、思いつく限り根ほり葉ほり伺ったが、やはり、完成された手順を一朝一夕で向上しようという試みにはちょっと無理の気配がある。しかし、それでも、クオリティを下げずに手数を減らす方法をいくつか一緒に考えていただけた。おまけにかわいい。
さて、この辺りが限度かと思った時に、ふと、お見せいただいたH氏のサンプルの表面がツルツルしていることに気がついた。
これはどうなっているのかと伺うと、ラミネーターで片面だけパウチしているのだとおっしゃる。
しかし、如何にもパウチしていますという、あの、透明な外枠の部分がない。
パウチ後に切り抜いているのに、紙からフィルムが剥がれていないように見える。
事実、その通りなのだとおっしゃる。
これは特殊なフィルムなのかと問うたところ、なんと、今時のパウチはフィルム自体にホットメルトが塗布されており、熱でシールのように貼り付くので、そのまま切り抜いても剥がれないというのだ。
なんということだ。
私がラミネーターを買ったのは、たった15年前だ。あの頃は、そんなフィルムは(少なくとも文具店には)なかったはずだ。
なら、厚手のフィルムで厚手の紙をパウチして切り抜くだけで、クオリティ向上と手数の削減が実現できるのではないか!?目的は、ハードカバーの制作ではなく、強度と見た目のクオリティを併せ持つカードなのだ(最初からそう言わないからお時間を取らせるのだ)。
エウレカ!
次々と課題が解決されていく。2016年の3月も、まだ私は浮かれていた。