ご支援いただいている皆さま、大変ご無沙汰いたしております。
昨年7月3日の投稿以来、実に9ヶ月ぶりのお知らせとなります。
当初のスケジュールですと3月末に修復工事は完了している予定でしたが、現在の進捗状況は、、、先月26日(土)にようやく修復工事の契約を締結することができた段階です。
修復された姿を楽しみにされていた皆さまには、お待たせすることになってしまい、申し訳ございません。
大幅に遅れた理由について、言い訳がましく長文となりますが少々お付き合いくださいませ。
クラウドファンディング達成後に当初の予算で修復する設計案をもって地元大柿地区の代表者の皆さまと協議させていただいたところ、嵩上げしてほしいとの要望が出されました。
当初より水害前の姿に復原することを前提に設計と見積もりを行なっており、嵩上げの予算は見込んでおらず、当然予算オーバーとなってしまうために、設計内容を見直す必要が出てまいりました。
地元からは、建物を全部一旦解体して、嵩上げした後にその上に建て直してほしいとのご意見と、いっそのこと低予算で新しいお堂に建て替えてほしいとのご意見も出されました。
低予算で新しいお堂に建て替えることは、元の建物と似ても似つかないものになってしまうし、聖地巡礼の場所を復興するという当クラウドファンディングの趣旨に反しますので、ご支援いただいた皆さまのご了解を頂けないとできませんし、ご了解を頂くことも不可能ですとお断りしました。
また、嵩上げした上に建物を建て直す場合、盛土した後にすぐ建物を建てると不同沈下を起こしてしまうため、盛土が安定するまでに十分な養生期間を設ける必要があります。
さらに、一旦建物を全部解体してしまうと、木材が傾いたまま長期間放置されて捻(ねじ)れた癖がついており、元の部材を綺麗に組み立て直すことはまず不可能です。
そこで、基礎石の下に、既存の土間コンクリートと一体化させて新たに嵩上げ分の高さ80cmの基礎コンクリートを打設し、不同沈下を防止することにしました。
また、建物は現状のままで解体せずに瓦を下ろして重量を軽くした上で建ち起こし、建物全体を床下での基礎コンクリートの打設作業ができる高さまで一旦嵩上げし、基礎を打設して、基礎の周りに土を入れた上で、建物全体を地盤まで再び下ろす工程を考えました。
この作業で必要となるのが、曳家(ひきや)の技術です。
曳家とは、建物を解体せずに水平方向や垂直方向に移動させる技術のことで、建物を修復する大工さんとは異なる専門的な職種です。
そこで、地元人吉市内の曳家さんである有限会社福動(ふくどう)さんに、水害復興で多忙を極めておられるだろうと思いつつ見積もりをお願いしました。
福動さんは、地元では曳家というよりむしろ解体業者として浸透しており、地元向けに曳家もできますよ、とアピールしたいと考えておられたそうで、快く引き受けてくださいました。
クラウドファンディングの趣旨も説明し、宣伝費と思って見積り額も勉強してください!と図々しくお願いしたところ、格安にして頂きました。
また、建築業者は人吉市のお隣の山江村の業者さんで、建築士会会員でヘリテージマネージャーの仲間でもある三宅建設株式会社にお願いしました。
三宅建設さんにも予算内に収まるように諸経費を勉強して頂きました!
ということで、無事にようやく、ようやく、ようやく契約まで漕ぎ着けることができ、一安心したのが上の写真です。
写真左が有限会社福動・代表取締役の福嶋太郎さん、中央が中神町大柿地区の一橋國廣さん、右が三宅建設株式会社・代表取締役の三宅裕二さんです。
これから三者の連携による修復工事過程をご紹介していきたいと思います!
ちなみに、リターンについては当初の予定では5月発送としておりましたが、予定を早めて今月発送することにしました。
ゴールデンウィーク中に人吉球磨アニメ通リズムマップを片手に人吉球磨を周遊して頂き、良ければ大柿毘沙門堂の修復現場もご覧頂き(安全対策として敷地の外からの見学をお願い致します)、修復に向けて作業中の福嶋さんや三宅さんに激励のお声掛けを頂ければ、さらにより良い修復工事になると思っております。
引き続き応援のほど、ぜひぜひよろしくお願いいたします!
長文・駄文失礼いたしました。