こんにちは、(社)防災ジオラマ推進ネットワーク代表の上島です。
益城の皆さんとは熊本地震への支援を通じて知り合い、その後、地域の小学校で段ボールジオラマを使った防災授業などもさせていただきました。そうしたお付き合いの中で震災当時のミニ炊き出しのことを深く知るにつけ、発起人の山本さんたち仲間とともに、書籍化への思いを募らせてきました。
熊本地震から1年半以上が経った現在でも、益城町周辺ではまだ数万人の方々が仮設住宅などで生活を送られていると聞きます。被災した方々の生活再建の障害となるものの一つに「お金」の問題がありますが、それは被災から時間が経つにつれて重要な問題としてのしかかってきます。「食」がメインテーマの本ではありますが、同様に生活に欠かせないものとして今後に備えていただけるよう、この書籍では、そうした生活再建の話についても紙面を割いて、体験談などを交えてご紹介させていただこうと考えています。
震災時に私たちからお送りした支援物資受取の窓口になっていただいた方でもあり、当時益城町の広安西小学校でPTA会長をされていた万江英彰さん(写真)は、ファイナンシャルプランナーとして震災直後から様々な相談を受け、多くの人たちの生活再建を後押しされています。
災害時~復興時には、国や自治体による様々な支援制度がありますが、被災後の混乱の中で、その存在を知らなかったり、手続きが複雑だったりして、受けられるはずの支援に辿り着きにくく生活の再建が遅れてしまうケースも少なくないと万江さんは言います。
川崎での防災イベントや熊本での座談会など、私も万江さんのお話を何度かうかがう機会がありましたが、罹災証明や住宅資金の支援制度など知らないことばかりでしたし、わずかな違いでその後の状況に大きな差が出てしまうことなども、本当に知れてよかったと思えることでした。
また、事後の対応だけでなく、損害保険など事前の準備の有無によっても生活再建の進捗がまったく異なってしまう実態もうかがい、事が起こる前の、的確な備えの重要性も身に沁みて感じました。災害は必ず起こるわけで、それが自分とは関係ないとは誰も言えません。ファイナンシャルプランナーとして数多くのケースに立ち合ってきた万江さんならではのお話を通じて、そうした備えについても、少しでも身近なこととして捉えていただけたらうれしいです。
「食」がメインとなるこの書籍ですが、こうした益城町でのご縁をもとに、災害時に関連する他の重要なテーマについてもそのリアリティや知見をご紹介し、真にお役に立てる一冊となれるよう内容の検討を深めていきたいと思います。
お読みいただきありがとうございます。
ぜひご支援のほど、よろしくお願いいたします。