「空間」「形」「素材」と来ました、本日は「色」のお話です。「色」焼き物出身のアイデンティティまずは焼き物で作った作品の、“色”に注目して見ていただければと思います。焼き物、つまり釉薬を掛けて焼いた色です。釉薬は、焼いてみないと色がわからないので、大量のテストピースを作ります。釉薬の濃度や掛け方、焼成温度、何の土に掛けるかでも色が全く変わるんですね。そのテストピース自体がとても綺麗だったので、テストピースをそのまま並べた作品も作ったほど。しかし色は魅力的でも、造形をする上での特性と作りたい形との相性が悪かったので素材移行を決めるわけですが、私は今、作品を作る上で必ずしも焼き物の色を再現しようとしているわけではありません。ミクストメディアには、その素材に合った色の出し方があると思っています。それでもやっぱり、陶の教授から「焼き物を学んだ人の色が出てる」と言われた時はとても嬉しかったのを覚えています。焼き物で培った色の感覚が、アイデンティティとして刻まれているとしたら、それを誇りにこれからも作品を彩っていきたいと思います。