第2回となるTIMESIBLE POP UP SHOPがいよいよ今週末となりました。皆様お誘いあわせの上、ぜひご来場ください。9/23(金) 13:00〜19:009/24(土) 11:00〜19:009/25(日) 11:00〜17:00〒150-0001東京都渋谷区神宮前5丁目39−3 3FboutiqueW showroomお支払いは会場にて、ECサイトを介して行います。現金(コンビニ支払い)やクレジットカード、各種電子マネーに対応しております。商品は全て一点ものになります。商品を多くの方に見ていただくため、購入していただいた商品は会場でお渡しせず、ポップアップ終了後に郵送させていただきます。感染症対策として、以下の内容にご協力お願い致します。発熱、咳、くしゃみなどの症状がある場合は、来場をお控えください。感染防止の為、マスクのご着用をお願い致します。消毒用アルコールの設置を致します。十分な感染対策にご協力ください。ご来場の際、検温にご協力をよろしくお願い致します。
2021年にスタートしたTIMESIBLEプロジェクト。今年も、個性あふれる5人の学生デザイナーがポップアップにて作品を発表します。Designer interviewの第5回は、ファッション高度専門士科2年の澤田まなみさんにお話を伺っていきます。文化服装学院に入学するまで___まずは、文化服装学院へ進学した経緯から教えてください。澤田:文化に入りたいと思ったのは中学校の頃でした。当時は「人よりおしゃれでいたい、自分で服を作りたい」という気持ちでいっぱいでしたね。その頃から服のことを早く勉強したかったので、高校も普通科ではなく家庭科系の学科に通っていました。___早くから文化に入ることを意識していたことで、良かったことはありましたか?澤田:技術的な面で言えば、基礎を学んだ状態で文化に入学したので、優位性はあったと思います。知識の吸収も速かったと思いますね。技術以外の面で言うと、「ファッション以外の分野におけるファッションへの意識」を文化に入る前から持っていたことは、今になって制作の助けになったりしています。___「ファッション以外の分野におけるファッションへの意識」というのは、どういったことでしょうか?澤田: 文化に入学する前から、ファッションに関係なく自分の好きなものや自身の経験を、ファッションの視点で捉えてきました。その視点を持ち合わせてきたことによって、アイデア発想に役立つことがよくあるんです。例えば、私は小さい頃からディズニーが大好きで、実写版の衣装にすごく興味がありました。ディズニーのキャラクターには、二次元のアニメーションで、色やシルエットなど着ているものにある程度固まったイメージがありますよね。そのイメージを実写版の衣装としてどう解釈するか、どうアプローチするかというプロセスが、とても参考になるんです。「二次元のイメージはこの素材を使ったら現実になるのか」、「こういう技法を使ったらこう表現できるんだ」といったような発見がたくさんあります。また、幼い頃4年間だけ香港に住んでいたことがあるのですが、その時の経験からも影響を受けていると感じます。中国って、独特の装飾や刺繍がすごく美しいですよね。そういった中国独自の表現を幼いながら現地で見た記憶が、まだ感覚として残っていて。現在、私自身の技術で形にするのは難しいのですが、いずれ刺繍や装飾など中国の文化を自分の作品にも取り入れてみたいです。他にも私は建築に興味があり、影響を受けることがあります。最近ではダニエル・リベスキンドの建築にインスパイアされて、ワンピースを制作しました。建築と服は、デザインしてから形にするまでの考え方に共通点があるように思えます。どちらも、ある制約があった上でのものづくりなんですよね。建築なら建物そのもののデザインだけでなく、周りの自然や環境とどう共存するかを考えなくてはなりません。服もまた最終的に人が着るので、ある程度決められた形に沿って形になっていきます。そういった面で、建築においてデザインから形にするまでのプロセスが服作りの参考になることが多々あります。制作した過去作品について___作品を作るにあたって、さまざまな分野・方向から影響を受けているのですね。それでは、実際に今まで作ってきた作品について教えてください。澤田:今まで作ってきた作品は、構築的であったりアシンメトリーであったり、モードなテイストを意識して取り入れてきました。例えば文化に入って初めて制作したスカートは、サーキュラースカートとティアードスカートを組み合わせ、ボリュームのあるシルエットにしています。前後4箇所にドローストリングが付いているので、好みの長さに調節してシルエットの変化を楽しむこともできます。服を仕事にすることのゴール___さて、ポップアップではどんな服を用意しようと考えていますか?澤田:具体的にどんな服、という答えではないのですが、「形として捉えきれないものを服で表現する」というコンセプトで作りたいと思っています。人の気持ちやエネルギーだったり、地層などの自然に現れた無作為な曲線だったり。そういった、形として捉えきれないものを自分だったらどのように「服」という形にするか、自分なりに追求したいと考えています。このようなコンセプトで作ろうと思っているのですが、一方で自分らしさも忘れないようにしなければと思っています。今までの作品では、アシンメトリーで構築的なデザインを意識して制作してきました。このような得意のモードテイストを活かしつつ、新たなコンセプトを取り入れられたらと思います。___最後に、将来の目標を教えてください。澤田:服を通して、お客さんを幸せにすることです。自分のブランドを立ち上げるかどうかはまだ決めていなくて、それがゴールだとも考えていません。どこかのブランドに就職してヘッドデザイナーを支える立場であったとしても、とにかく「ブランドの先にいるお客さんを、服を通して幸せにすること、楽しませること」を目標としています。服って、着る人を構成する大きな要素で、自己表現の一つだと思っているんですよね。人によって着たい服、好きな服は違うので、そういった意味で自己表現のツールだと考えています。その上で、私が将来仕事として制作に関わった服であったり、TIMESIBLEのポップアップで買っていただけた服は、お客さんが最大限自分を表現できる服として愛用してくれたら嬉しいですね。
2021年にスタートしたTIMESIBLEプロジェクト。今年も、個性あふれる5人の学生デザイナーがポップアップにて作品を発表します。Designer interviewの第4回は、高度専門士科2年の相澤宏昭さんにお話を伺っていきます。「ものづくり」に向き合う___まずは、服作りを学ぼうと思ったきっかけから聞かせてください。文化服装学院に入学したのはなぜですか?相澤:母親が心からファッションを楽しめる服を作りたいと思ったのがきっかけです。母は昔からファッションが好きだったようですが、段々とファッションに気を配る活力がなくなっていくのを感じていました。自分が生まれてすぐに父親が脳梗塞で倒れてしまい、ほぼ母子家庭のような環境で育ててもらったことが関係していると思います。そこで、母親のような女性にも気兼ねなくお洒落をしてもらえるような服を作りたいと考えるようになり、文化服装学院へ入学しました。___では、小さい頃からデザイナーになろうと決めていた?相澤:実はそんなこともなくて。高校は工業系で、溶接や建築などについて学んでいました。当時は自動車整備やプラモデルの会社に就職したいと思っていましたが、今では考えられないですよね。ファッションを仕事にしたいと思うようになったのは、高校2年の冬ごろからです。好きな服を着て気分が上がったり、人から褒められて嬉しかったりというファッションの魅力を感じるようになってから、工業系の仕事とはまた少し異なる「生活を豊かにする」ファッションの仕事に興味が湧いてきました。小さい頃からパソコンやプラモデルが身近にあったり、父親がDIYをしていたりと「ものづくり」をすることが身近な環境で育ちました。今までの人生において「ものづくり」とはずっと関わりを持ってきています。工業系の高校に進学したのもそれが理由ですし、現在も服を作る「ものづくり」を実際に続けていますね。___高校で学んだことが服作りに活かされていることはあったりしますか?相澤:直接的に工業からインスパイアされて服を作ることは無いのですが、服を作っていく過程で工業の知識が役に立っているなと感じることはあります。立体物を作るときの工夫に共通点があって、ヒントになったりなどですね。また、表現の幅を広げるのにも役立ちます。極端なことを言えば、服を光らせたり爆発させたりできますからね(笑)___ポップアップでの爆発だけは勘弁してください(笑)さて、相澤さんが今まで作ってきた作品について詳しく教えてください。相澤:文化に入って初めて作ったのは、スカートでした。ミシンをほぼ触ったことのない状態から始めたので、知識もなく難しかったです。サーキュラースカートを2枚重ねていて、オーバースカートにサスペンダーを2本付けています。サスペンダーが付いていることでオーバースカートを吊り上げることができ、形状を変えると下からラインストーンが見えるギミックになっています。ブラウスについて相澤:次に作ったのがブラウスになります。生地はブロードを使い、ミニマルなデザインを心がけています。フロントの部分とセーラーカラーにデザインを集中させています。リングについて相澤:学校の活動とは別に、シルバー925を使ってリングも作っています。作っているリングには、キュービックジルコニアのブラックキュービックという黒い宝石を埋め込んでおり、暗いところで輝きます。星空の美しさをリングで表現したく、このようなデザインを取り入れました。リングだけでなく服のデザインを考えるときも、星空からインスピレーションを受けることがよくあります。目標は「生きること」___さて、作品をポップアップで販売するにあたって、どんな服を作りたいと考えていますか?相澤:着る人にとって「都合のいい関係」となる服を作りたいと考えています。好きな時に着れて、服が着る人から離れていくことはなくて、逆に着る人もどこか手放せないような、そんな関係性です。なので、ポップアップで購入してくれた人には、都合のいい関係で僕の作品を使って欲しいですね。僕の作品は持ち主に従順です(笑)もっと言えば、例えばケガをして出血した時、止血のために使おうと思ってくれるような服を作れたらいいな、と思っています。本当の意味で日常寄り添っている服って、そんな関係性だと思うんです。___最後に、将来の目標を教えてください。相澤:「生きること」です。生きることは作ることでもあって、作ることは生きることでもあるので。やっぱり自分の根底にはものづくりがあるんですよね。生きることが目標である理由は、双極性障害という持病を抱えていることもあります。鬱状態になる病気で平均寿命も一般の人より短く、一生治りません。持病と付き合っていくしかないんですよね。これからの人生、さまざまな困難が待ち受けていると思います。まずは、生きること。そして、作ること。この2つを止めることなく、ファッションの世界で走り続けたいですね。
2021年にスタートしたTIMESIBLEプロジェクト。今年も、個性あふれる5人の学生デザイナーがポップアップにて作品を発表します。Designer interviewの第3回は、ファッション高度専門士科2年の丸藤拓海さんにお話を伺っていきます。デザインが生まれるまで___はじめに、丸藤さんが服に対して持つ想いから伺いたいのですが、作り手として服というものをどう捉えていますか?丸藤:服というものは、着てもらえないと意味のないものだと思っています。なので、基本的に着たいと思ってもらえる服、生活や日常に寄り添える服を意識して作っていますね。ここで言う「生活に寄り添う服」というのは機能性や着心地の良い服だけを指しているのではなく、むしろ機能的でなくても、とにかく「着たい」と思わせてくれるようなものです。「かっこいい」「可愛い」と言ったような初期衝動を大事にしていて、なんというか言葉で表せない感情が落とし込まれている服に魅力を感じます。___丸藤さんの過去作品について詳しく聞かせてください。今まで作ってきた作品に、テーマなどはありますか?丸藤:今まで作ってきた作品に共通して言えることなのですが、あまりテーマを設けずに作っています。テーマを決めると、その縛りの為に表現の幅を狭められてしまうのが苦手で。自分のその時作りたいものを形にしようと心がけています。また、作品を作り始める前に完成図を描くデザイン画も、あまり得意ではありません。完成図は常に頭の中にあるので、パターンを引きながら細かくデザインを作っていく方法をとっています。パターンを引く過程でデザインを決める方がやりやすいんですよね。___テーマを設けず自分の好きなものを作るとなると、どのようにデザインを作り上げるのですか?何かインスピレーションを受けたものなどがあるのでしょうか。丸藤: どこからか無意識のうちに取り入れている部分があるとは思うんですが、明確にこれ!というものは無くて。生活の中で見たものや気になったものを無意識にインプットしているんだと思います。服からでもそれ以外からでも、日常で気付きのあったもののエッセンスを取り入れてデザインに落とし込んでいます。___では、丸藤さんが服を作る上でのこだわりや作品の強みはどんなところにあるのでしょうか?丸藤:こだわりはカッティングに表れていると思っています。例えばこちら(下画像)のジャケットだと、裾や袖先を直線にせず、前下がりにしたりしています。前合わせも、アシンメトリーかつ曲線の仕様に。シンプルな作りに見えてシンプルに終始しないデザインを意識して作っています。ボタンのつける位置によって印象が変わるので、何度も見直しました。スカートについて丸藤:文化に入って初めて作ったスカートは、デザイン発想から制作まで、全てが難しかったですね。デザインとしては、ギャザースカートの右脇にタックをとった布を挟んでいて、ラップスカートのようになっています。当時の自分には服作りは難しかったですが、同時に面白さも知ることができました。思い入れのある作品です。コートについて丸藤:こちらのコートも前合わせを重視しているので、カッティングへのこだわりが表れています。ボタンを全て閉めるとやはりアシンメトリーになっており、曲線が目をひきます。また、細かいところへのこだわりなのですが、ボタンホールを手縫いで行っています。もちろん機械で行った方が綺麗なのですが、今回のコートに機械のボタンホールはなんだかゴツくて合わないなと思い、手縫いで作ってみました。機械では出せない粗さ、不細工さがデザインにマッチしていて、気に入っています。好きなことに素直でいること___ポップアップでは、どんなところに注目してもらいたいですか?丸藤:質問の答えとはズレますが、、、お客様には好きなように着ていただいて、ファッションを最大限楽しんでいただけたら、それほど嬉しいことはないですね。私が作った服とはいえ、買っていただいたらそのお客様のものなので、自由に着ていただきたいです。私が想定しているより上手くスタイリングしてくれるかもしれませんし。「自分の作品を誰かに、好きなように着てほしい」とずっと思っているので、それがポップアップで実現すると思うとワクワクします。___最後に将来の目標を教えてください。丸藤:自分のブランドを持ちたいと考えています。人と人との繋がりを大切にしながら、自分の作りたい服に素直であり続けたいですね。規模を大きくしたい、パリコレに出たいといったような目的でブランドをやろうとは思っていません。世の中の問題にファッションという切り口から取り組もうとも思いません。とにかく自分の作りたいものを追求する生き方が理想です。売れているブランドのデザイナーは、魅せ方がものすごく上手いなと感じています。デザイナーになる上で今の自分に足りていない部分は服作りの知識や生産体制など多々ありますが、一番は魅せ方の部分ですね。魅せ方のレベルアップにこだわって、将来に向けて努力し続けたいと思います。
2021年にスタートしたTIMESIBLEプロジェクト。今年も、個性あふれる5人の学生デザイナーがポップアップにて作品を発表します。Designer interviewの第2回は、ファッション高度専門士科2年の安藤琉さんにお話を伺っていきます。現在の自分を構成するさまざまな経験___安藤さんは、文化服装学院に入るまでの経験が面白いというのを聞いています。まずは、これまでの人生について聞かせて下さい。安藤:幼稚園へ通っていた頃から高校までは、ずっとサッカー少年でした。小学生の頃には、マンチェスターユナイテッドサッカースクールに参加し、1人でマンチェスターへ短期留学した経験もあります。また、サッカーだけでなくバイオリンを習ったり、中学受験を経験したりとさまざまな挑戦をさせてもらいました。___安藤さんの多彩な人物像が伺えます。マンチェスターへのサッカー留学は羨ましい。ファッションが好きになったのにきっかけはありましたか?安藤:ファッションが好きになったきっかけも、もともとはサッカー用品のデザインに惹かれたからです。プレーすることと同じくらい、スパイクを履くのが楽しみだった。そこからスニーカーをチェックするようになり、高校生の頃にはファッションを将来仕事にしたいと決意するほどのめり込んでいきました。高校に入っても挑戦志向は変わらず。1年生の頃から独学でジュエリーを制作し、自身でポップアップを開いて販売するなど、普通の高校生にはできない経験をしてきました。また、高校の頃はヨウジヤマモトばかり着ていました。山本耀司さんのインタビュー記事などを読み漁り、今までの常識を打ち破るデザイナーの考え方に衝撃を受けた。実際にパリでヨウジヤマモトのショーを見て、山本耀司さんに会った時の興奮はいつまでも忘れられません。文化服装学院に入学しようと決めたのも、山本耀司さんが文化を卒業されているからです。山本耀司さんは私に「文化に行ってデザイナーを目指そう」と決意させてくれた、最も影響を受けた人物です。キレイハキタナイ、キタナイはキレイ___安藤さんの作品には、どんなバックグランドがあるのでしょうか?安藤:服と向き合う時、意識しているのは「キレイハキタナイ、キタナイハキレイ」というシェイクスピアの「マクベス」という作品に登場する言葉です。この言葉、なぜか頭の中にずっと残っていて、、、というのも、現代においても「キレイハキタナイ、キタナイハキレイ」という言葉に納得する瞬間が多々あるんですよね。例えば、都心の整備された街並みは人々にとって「キレイ」ですが、動物や植物にとっては住みにくく、「キタナイ」場所であると言えます。逆に、動物達にとって「キレイ」で自然的である場所は人間にとっては「キタナイ」場所であると思います。人間にとっての「キレイ」とは本来の姿とは異なり、不自然であることなのです。ファッションの世界でも、同じことが言えると思います。そう遠くない昔、一般市民の着る服はハンドメイドであったり、1着の服を何度もリペアして長く使ったりと人の手が加えられたものが主流でした。しかし、既製服の流通が確立された現代では不自然な「キレイ」さをもつ服がほとんどで、人の手の痕跡をイメージできるような洋服は少なくなっています。服を作るという行為は想像以上に手間がかかります。効率化され、大量生産される洋服にも必ず人の手が関わっています。機械にパーツをセットすれば自動的に完成する。ということは洋服の世界ではありえないのです。しかしながら、そういった制作者の苦労や、手作業の痕跡のようなものが見えなくなっている現在の不自然な製品は、服として本当に「キレイ」なのか?と、よく考えさせられます。特に作り手としては、人の手の痕跡が感じられるものに愛着が湧き、「キレイ」だと思うわけです。___安藤さん自身には、ファッションシーンに対してそういった思いがあるのですね。作品のキーワードである「キレイハキタナイ、キタナイハキレイ」という言葉は作品にどう表れていますか?安藤:細かい部分、ディテールによく表れていると思います。文化服装学院に入学して初めて制作したスカートは、手縫いで完成させたところや自分で手間をかけて染色したところに表れています。敢えて人の手が加えられたことが分かるディテールを取り入れ、自然な手作業の痕跡、「キレイ」さを表現しています。ブラウスについて安藤:ヨーロッパの服は昔からシンメトリーなデザインのものが主流なのに対し、中国や日本などアジアの服はアシンメトリーのものが多くみられます。スカートの次に作ったブラウスはアシンメトリーで、アジアの美意識を取り入れたデザインになっています。ブラウスも、こだわった点はディテールです。実はこのブラウス、ボタンホールを全て手縫いで作っています。ミシンで開ければ数秒で済むような箇所ですが、それは私にとっては不自然でキタナイものなので、あえて手作業の痕跡を残すように手かがりでボタンホールを開けています。また、汚しのようにも見える墨汁染も自然な洋服のあり方を表しています。毎日キレイな洋服に着替え、整った状態を保つことは、本当の意味で自然でキレイなことなのでしょうか?ジャケットについて安藤:パッと見で生地のインパクトが強いジャケット。もちろん全体のデザインにもこだわったポイントは沢山あるのですが、注目して欲しいのはやはりディテールです。このジャケットで最も労力のかかった部分が、銅板から一つづつ手作業で削り出して作ったボタンです。ジャケット本体を縫い上げるのと同じくらい時間をかけたかな。「侘び寂び」という美意識をずっと大事にしていて、それを今回は自作のボタンに取り入れました。錆びた色のボタンを美しいと感じる「侘び寂び」の感性は、大変な作業になったとしても大切にしたいですね。デザイナーとしての理想像___ディテールへここまでこだわりを持つのは、何か思いがあるのでしょうか?単に「キレイハキタナイ、キタナイハキレイ」というコンセプトを形にする為のツールでは収まらないほど、熱意を感じます。安藤:制作しているときは思いやコンセプトを考えるよりも、ただ単にその時の自分がかっこいいなと思うものを追求するようにしています。「「見る側の判断は、完成したものが美しいかどうか。それだけですから。」」そうした姿勢が、結果的にディテールへのこだわりにつながっているんだと思います。服を作る際は自分の直感に対して素直になるようにしています。ディテールに面白さを詰め込むのは自分の強みだと思っているので、将来自分のブランドを持つことができれば、ディテールを通じて興味や疑問を持ってもらえるような服を作り続けたい。___自身のブランドを立ち上げるという目標を持っているのですね。興味や疑問を持ってもらえる服というのはどんな服なのでしょうか?安藤:服に興味のない人にも何らかの気付きを持ってもらえるような服を作りたいです。ボタンホールが他製品と違うだとか、ポケットの付き方が変だとか、些細なことでも何か印象を持ってもらうこと。そういった印象、疑問、気付きが結果的に興味に繋がり、自分の服を入り口に服を好きになってくれる人がいれば理想です。反対に何も思われないような服は作りたくない。何の印象も持たれないなら、批判されたり笑われた方がマシだと考えています。ディテールに何かしらの要素を隠し、服を楽しめるきっかけを作っていきたいですね。