デザイン、設計、予算管理を担当している朴秀太です。
朝鮮学校の卒業生で、今は日本の企業で働いています。
まずは、皆様の多大なるご支援に感謝申し上げます。
ありがとうございます。
現場工事は無事故無災害にて日々進行しております。
本日はこの沿革室の展示構成と私の思いを書いていきたいと思います。
これまでの活動報告でもあるように、まず前半は「朝鮮学校の歴史」をメインテーマに、約70年間にわたる年表を作成し、主要な写真、資料とともに解説しています。
朝鮮学校の歴史を語る上で外せない歴史上の事件やポイントを、主観を排除し事実に立脚する展示デザインに落とし込んでいます。
空間としては、暖かみのあるライトを使用し、天井、床、壁は黒で統一しています。
上品でありながらも、70年の歴史が生む質実を感じる、印象的な場所に仕上げようとしています。
このエリアを抜けると、前半とはうって変わって明るく白い壁面が現れます。
前半で語られた70年の歴史を「過去」とするのであれば、後半は「現在」を伝え、そして「未来」を想起させる場です。
まずは、東京朝鮮中高級学校の校内マップを中心に、使用している教科書、地域住民との交流、部活や行事の紹介から学生の進路、そして朝鮮との関係まで、朝鮮学校のさまざまな取り組みや現状をご覧いただけます。
その隣にはモニターがあり、在校生たちの生の声をインタビュー形式で聞くことができます。
朝鮮学校の学生という肩書はしばしば特別なもののように思われますが、ここでは日本の学生と同じように進路に悩み、友人関係に悩む、モラトリアム只中にいる「普通の学生」の姿を届けたいと思っています。
そして、最後は朝鮮学校の教育方針や、社会に対する使命を展示しています。
私がこれらの空間を考えるうえで大事にしていること、それは偏りをなくすこと、そして誤解をなくすことです。
他人の意見を鵜呑みにするのではなく、ありのままを見て、誰しもが自分なりに朝鮮学校を理解、解釈できるような空間になればいいと考えています。
そして、学生たちが苦しい状況に立たされた時、味方でいてくださる方が一人でも増えればと思っています。
朝鮮学校は学生のためにあり、(私は)このスペースも学生のために作っています。
いらっしゃった方が朝鮮学校の学生たちを理解する助けとして、そして、ここを見た学生たちが、自分のことを見つめなおし、自身と矜持をもって社会に広く飛び立って行ける。
そのような場になることを願っています。