(高橋源吉《立谷川 対面石》明治44年)
(株)文化財マネージメントの宮本です。
今回は、山形市山寺のお隣、天童市に伝わっている高橋源吉作品についてご紹介します。
山形市から天童市へ向かう国道13号沿いに、「将棋むら天童タワー」はあります。
(将棋むら天童タワーの特徴的な外観)
人工知能や藤井四段の活躍、ひふみんの人気など、最近大きな話題を呼んでいる将棋ですが、実は天童市は将棋駒つくり日本一の町。
天童タワーはそんな町にちなんだ、巨大な将棋駒形の看板が目を引くドライブインです。
中に入ると、山形県の特産品やお土産をはじめ、将棋をモチーフにした民芸品などを買うことができます。
また、書き駒やそば打ちなど、天童ならではの観光体験もできる楽しいスポットでもあります。
しかし、今回ぜひ注目してほしいのが、奥のレストランの壁に飾ってある高橋源吉の油彩画です。
(レストランの奥の壁に高橋源吉の作品が飾られている)
作品の名前は《立谷川 対面石(たちやがわ たいめんいし)》。
これも「山寺油絵展覧会」で展示されたものの一つです。
(高橋源吉《立谷川 対面石》明治44年)
遠く見えるのは「楯山(たてやま)」で、青白く光る「立谷川(たちやがわ)」をはさんで、手前には不思議な形をした巨岩の「対面石(たいめんいし)」が描かれています。
山寺を開山した慈覚大師円仁は、楯山の向こうの芦沢峠を経て山寺に入り、対面石の前で地元の狩猟民の長、磐司磐三郎(ばんじばんざぶろう)と対峙したといわれます。
山寺村長・伊澤栄次は、このような開山伝説がのこる場所を山寺の観光地として再生し、源吉に描いてもらうことで、観光客にアピールしたのだと思われるのです。
株式会社 天童タワー
〒994-0012 山形県天童市大字久野本1273-2