流鏑馬神事次第をご紹介します。
流鏑馬と聞くと馬を走らせ、馬上から矢を射るーそのようなイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
馬上から矢を射るのは次第の中の一つで、出陣から直会までさまざまな次第があります。
皆様もご覧いただく際、次第に沿ってお楽しみいただけると幸いです。
【出陣】
寄せの太鼓(よせのたいこ)を合図に一同勢揃いし、隊列を組んで出陣します。
【鏑矢奉献・願文奏上】(かぶらやほうけん・がんもんそうじょう)
一同昇殿し、奉行は鏑矢を神前に奉献した後、玉串を奉奠(ほうてん)し、天下泰平、五穀豊穣、万民息災の願文を奏上します。
【鳴弦の儀】(めいげんのぎ)
弓の弦の音を鳴らすことで、邪気を祓うとされる儀式です。11世紀後半、天皇が病に罹られたとき、弓の名手として名高い源八幡太郎義家が弓の弦を三度鳴らし、その病魔を退散させたことが起源といわれています。
【天長地久の式】(てんちょうちきゅうのしき)
奉行より命を受けた射手は馬を中央に進め「五行の乗法」を行います。左に3回、右に2回、馬を乗り回し、中央で馬を止め神前に目礼します。鏑矢を弓に番え、天と地に対し満月のように弓を引き絞り、「天下泰平、五穀豊穣、万民息災」を祈念します。
【行軍】
一同は隊列を組んで馬場を行軍します。行軍中は序の太鼓(じょのたいこ)を打ちます。
【素馳】(すばせ)
奉行は記録所(きろくどころ)に昇り、諸役は配置につきます。奉行は破の太鼓(はのたいこ)を打ち鳴らし、射手は弓を射ずに全速力で馬場を走り抜ける素馳を行います。
【奉射】(ほうしゃ)
射手は一の組と二の組などに分かれ奉射を行います。射手は馬を全速力で走らせながら一の的から順に、弓に矢を番えては放ち馬場を駆け抜けます。奉射は各組とも2回ずつ行われます。
【競射】(きょうしゃ)
奉射の成績上位者が競射を行います。的は小さな土器的に替わり、的中すると中の小さな五色の紙が舞い上がります。競射により最多的中者が決められます。
【凱陣の式】(がいじんのしき)
止の太鼓(とめのたいこ)により競射を終え、凱陣の式(がいじんのしき)へと移ります。最多的中者は的を持って中央に進み出で跪座(きざ)します。奉行または検分役は、扇を開き骨の間より的を検分します。その後、太鼓方は陣太鼓を三打し、一同勝鬨(かちどき)を上げます。この儀式は首実検の意味も込められています。
【直会】(なおらい)
凱陣の式後に直会が行われ、御神酒を頂戴します。直会後、陣払いし、一切の儀式を終えます。
昨年に引き続き、今年も新型コロナウイルス感染症の影響で、ほとんどの行事が中止となっておりますが、来年以降、感染症の影響が収まり、行事が再開できることを願ってやみません。
行事が中止になろうとも、私たちは稽古を辞めるわけにはまいりません。
馬上から矢を放つ技は、日頃の稽古に支えられています。
私たちの稽古場である「流鏑馬鎌倉教場」には、更衣室や砂塵防止のための散水用設備、また馬用の日除けという最低限必要な環境が整っておらず、雨の日は物置の中で着替え、水は毎回ポリタンクで持参し、日照りの日も馬が野ざらしという大変不便な状況です。
鎌倉に伝わる伝統文化「流鏑馬」の維持継承には射手の育成が欠かせません。
十分な稽古環境を整えるための御支援をお願いいたします。
目標金額350万円【2021年12月15日(水)まで】
伝統の技、流鏑馬の馬場に散水用設備、更衣室と日除けを!安心して稽古を続けるために