鎌倉教場の「今」をお伝えします。
今回は「着替え」についてです。
鎌倉教場では、「稽古着」を着て稽古を行っています。
稽古着は、
・弓道用上衣
・馬乗り袴
・角帯
・白足袋
・射沓
・皮手袋
で構成されます。
慣れれば、ものの5分もあれば自分で着装できますが、帯を巻いたことがない者や袴をはいたことがない者にとっては、最初のハードルといえるかもしれません。
当然、自分で着装できないと稽古に参加できません。
稽古に参加している者の過半数は自家用車で通っているため、多くの者は稽古前に自宅で着替えてから稽古場にやって来ます。
これに対して、電車で通っている者は、①稽古場に来てから着替える者、②自宅で着替えて来る者、に分かれます。
このうち、②の自宅で着替えて来る者は、稽古着姿で電車に乗ることになるわけですから、誰しも最初は抵抗を感じるものの、稽古場に来てから着替える時間がもったいないので、いつの間にやら、この②が圧倒的な主流となり、①はほぼ絶滅することとなります。
かくいう筆者は、入門当初はJR中央線沿いに住んでいたこともあり、当時の稽古場である三浦市まで、中央線、山手線、京急線、バスを乗り継いで通っていました。
入門して1か月後には、稽古着姿のままでも何ら気にならずに中央線や山手線に乗れるようになりましたので、慣れとは怖いものです。
ただ、薄汚れた稽古着では、周りの乗客に迷惑をかけてしまうので、小ざっぱりした格好となるように十分に気を付けていまいた。
しかしです。
稽古後はそうもいきません。
馬の手入れをすれば当然馬の毛や泥汚れが稽古着に付着します。
馬の臭いもそう簡単にはとれません。
そうすると、帰り道に稽古着姿のまま電車に乗ることは、マナーとして問題となるのです。
この点、自家用車で通っている者は、自分の車のシートに馬の毛がついたり、車内が馬臭くなるのを気にしなければ、着替えは不要ですが、筆者のように自家用車とはいえオーナーが自分ではなく家族であったりすると、車内を清潔に保つことが重く課せられているため、稽古着のまま車に乗って帰るわけにはいきません。
そこで、着替えが必要となるのです。
そのため、鎌倉教場では、更衣場所としてイベント用の大きな白テントを購入し、地面にブルーシートを敷いて使用していました。
ところが、雨に日にはテントとブルーシートの隙間から雨が入り込んで荷物がずぶ濡れになりますし、強風の日にテントの骨組みが折れ、修理に時間とお金がかかるなど、使い勝手の悪さが問題となっていました。
雨の日には物置の中で着替えるなどしていたので、感染症対策の面でも喫緊の課題でした。
そこで、このたび更衣室が必要となった次第です。
着替えなければならない場所であるにもかかわらず、更衣室がないまま1年間が経ちました。
門人は皆忍耐強く稽古に打ち込んでいますが、稽古以外のこうした外縁部分については、せめて真っ当な環境を整備し、より一層稽古に専念できるようにしたいと考えています。
また、伝統文化を後世まで維持継承していくことを目的としている大日本弓馬会ですから、稽古は厳しいけれども、稽古環境は整備されている、という状況を作ることが、将来を担っていく若者の参画につながるものとも考えています。
稽古環境を改善することによる、現有戦力の底上げのため、将来の担い手の育成のために、皆様の力強い御支援をよろしくお願いいたします。