ご存知の方もいらっしゃると思いますが・・・。
僕は世田谷と鋸南の2拠点生活をしています。そして、往復する度に鋸山を縦走しています。
当初は、できる限り効率の良い移動をしたいと考えていました。現在の鋸南エアルポルトの物件を借りた直後、軽自動車を購入しようと思い、隣の自動車工場や友人たちに聞いてまわりました。
アクアラインを使うと、最短約1時間で自宅から鋸南に来ることができます。でも、その1時間のドライブが、運転があまり好きでない僕には耐えられませんでした。乗換検索を見ながら電車とバスを交互に使い始めました。が、あるとき、東京湾フェリーを利用してみて、その快適さに目覚めました。もっとも時間のかかる交通手段ではありますが、毎週船に乗れるのは船旅好きの僕にとっては最高です。
一つだけ悩みがありました。金谷港で船を降りた後、浜金谷駅から保田駅まで、JRで1駅あります。1時間に1本弱しかないので、長い時間待つ必要があります。電車に揺られる時間は4分ですが、最長1時間の待ち時間・・・。
ある日、浜金谷駅から鋸山に向かって歩きました。そのまま鋸山を縦走。たまには悪くないなと思いました。
鋸山にトレランに来た友人が「低山だけど結構きついよね」と言うので、「僕の通勤路みたいなもんだけどね・・・」と答えました。一緒に来ていた人たちが驚いていました。「鋸山を通勤路にしてる???」と。
彼らが帰った後、「あの山を通勤していると聞いて驚きました」と数人からご丁寧に連絡をいただきました。まるで僕が、毎回そこを通勤しているかのように思われたようです。「みたいな」はどこへ行ったのだろう。
それを受けて、僕は毎回そこを通勤ルートにしてみようと決めました。サラリーマン時代は、同じ路線を毎日使うのが嫌で通勤定期の支給を拒絶したほどの僕が、毎回同じ道を歩いていつ飽きるだろうかと思いながら。何度も繰り返して気づいたのは、自然はいつも表情が違うということでした。光の加減、葉っぱの色、咲いている花、出会う動物。毎回違う楽しみを与えてくれます。
鋸山縦走通勤が僕にもたらしたもの。一つは、鋸山縦走チャレンジというイベントを作ったことです。この文章のトップ画像にある鋸山照前展望台からの絶景を多くの人に伝えたくて、コロナ時代ならではのFKT方式でトレラン大会を作りました。
もう一つは、圏外の素晴らしさを知ったことです。東京にいても、鋸南にいても、スマホやインターネットはとても便利です。ついつい使ってしまいます。使えることに対して「不自由」だとは思えないです。でも、僕の鋸山の通勤ルートの半分は圏外なんです。余計な情報は入ってこないので、自分の持っているものと自然からの刺激で発想することができます。誰かからの評価や承認とは無関係に、自分の使命を見出すことができます。
自宅を出てから鋸南エアルポルトに着くまでに、だいたい5時間ぐらいかかります。この時間の使い方は非効率でしょうか。この時間を持たない限り生まれないものがたくさんあります。パクチー銀行のリアル店舗は、そのうちの一つです。