1982年に発刊された、20世紀に最も売れたアメリカのビジネス書「エクセレント・カンパニー」の共著者であるトム・ピーターズは、この本のはじめの言葉をホテルについての文章で始めています。私たちは夕食を終えてから、ワシントンで二日目の夜を過ごすことにした。仕事で忙しく、最後の都合の良いフライトに乗れなかった。ホテルの予約は入れてなかったが、近くにあたらしいフォーシーズンズがあった。以前にも一度泊まったことがあり、気にいったホテルだ。ロビーを歩いていきながら、一部屋用意してもらえないかと拝み倒すにはどうしたらベストかとあれこれ考え、夜遅くにやってきた客がたいてい直面する冷たい態度を想像して身構えた。驚愕したことに、コンシェルジュは顔をあげるとほほえみ、私たちに名前を呼びかけ、変わりがないことをたずねた。「ピーターズさん、ご無沙汰いたしております」。私たちはたちまち悟った。フォーシーズンズがオープン間もなくして、この地域で、「滞在すべきホテル」となった理由を。コンシェルジュは個人秘書、補佐官、ツアーガイド、旅行会社、オーガナイザー、親友、奇跡のように優秀な部下が融合したものだ。私は、コンシェルジュのやり方を営業マンにも融合させたらどうかと考えました。基本的な精神を「Noと言わない営業マン」とします。顧客からの要望に、「できません」とは絶対に言いません。お客様が何を求めていて、どうしたいのか、それをするにはどんなことができるを考え、提案します。もし不可能な場合は、代替案を提案します。自分の商品、製品がどんなに優れているかよりも顧客が何を望むかを重要視します。例えば、自社で作る製品を売りたいのは当然ですが、顧客の望むものが違う場合は、顧客の望みが叶うことを優先します。そこで顧客に便利性を享受してもらい、信頼を勝ち取り、次の機会に自社製品を買ってもらうのです。 (続く)