2021/08/10 11:40

宇野です。新雑誌「モノノメ」は編集作業もクラウドファンディングもいよいよ大詰めになってきました。そしてこのタイミングで、一度「ほぼ完成」の表紙を公開します。なぜ「ほぼ」なのかというと……これはデザインとしては「完成」なのですが、いま使用する表紙用の紙や印刷に最適になるように、藤原印刷さんの方で画像データを調整してもらっています。なので、「ほぼ完成」です。デジタルデータでどこまで違いが出るかはわかりませんが本当に「完成」したらまた改めて公開します。

と、いうことで「ほぼ完成」表紙をお披露目します。

仮表紙のレイアウトをほぼ踏襲していますがこの海……どこの海か気づいた人はいるでしょうか?

そう、これは気仙沼市の大島にある小田の浜(こだのはま)のビーチです。ここは透明度が高くて、地元では有名なビーチなのですが2011年と2020年はそれぞれ、東日本大震災とコロナ禍で閉鎖されました。

夏の終わりに出ることは分かっていたので、創刊号の表紙は海の写真にしようというのは最初から決めていました。そしてもっと言えば東北への取材の中でそれを撮ってこよう、というのも同時に考えていました。取材の中で、どのようなエピソードに出会ってもその土地にうつくしいものがあれば、それを正面から撮ろう、というコンセプトです。

そして僕が選んだのがこの小田の浜でした。ここは本当に日本とは思えないくらい澄んだエメラルドグリーンの海が見える場所で、足を踏み入れた瞬間に表紙はここしかないと確信したのを覚えています。(そして、一生懸命打ち上げられた海藻を拾って、写真を撮りました。)

さて、こうやって『モノノメ』創刊号は表紙写真の質感の調整をするような段階まで進行し、いよいよゴールも見えてきました。いや、まだ○○○の原稿が上がっていないとか、ページ数の確定していない記事があるとか、クラウドファンディングは順調だけれど、広告がさっぱり取れなくて資金が……とか、いろいろ問題はあるのだけれど、とりあえず完成が見えてきた、と僕は思っています。

そして僕と編集部のスタッフはこれから校了まで、ただひたすら突っ走るしかないのですが……編集長の僕はもうひとつ、別のことを考え始めています。

それは「次号」のことです。この「モノノメ」は定期刊行を予定しています。そのためにはお金のかかる創刊号をきっちり黒字にしないと行けない。そして、次の号からもしっかり「やりたいことをやって、採算を合わせる」方法を考えないといけない。そのための仕組みづくりもはじめないといけないのだけれど、それ以上に「次の号」つまり、「モノノメ #2」の内容が勝負だと思っています。僕の試みへの応援として創刊号を読んでくれた人が、次号を読んでくれるかどうかはまず「創刊号」が面白いことが大大大前提なのだけど、同じくらい「#2」が「面白そう」であることが大事だと思っています。つまり、「この雑誌を定点観測しておきたい」と思ってもらわないと続けられない。

そしてこの雑誌を「4ヶ月から半年のサイクルで回す」のだとすると、もう次号の企画は考え始めないといけない。僕はそう思って、作業の合間にいろいろ考えています。次の特集は「身体」にしたいとか、創刊号の取材を通して見聞きしたもの、たとえば地方創生の問題とか、食の話とかを掘り下げていきたい、とか次はあの人に短編小説を書いてもらおうだとか、思い切って知り合いが手がけているあの翻訳を解説付きで載せようだとか、まだ妄想のレベルですが、いろいろ考えています。もしかしたらそれは、膨大な作業を前にしたただの現実逃避なのかもしれないけれど……前向きな現実逃避なので、許してください。 


紙の雑誌『モノノメ』創刊に向けたクラウドファンディングは8月20日までです。支援はこちらから。