2021/08/11 11:52

宇野です。クラウドファンディングの終了まで、あと9日になりました。想像の何倍もの反響と支援があって、驚いています。ちょっとだけ、ぶっちゃけ話をすると今回はコロナ禍の影響か、一見地味な内容に見える(分かりやすくインフルエンサーや権威のある人が並んでいない)からか、広告がさっぱりで、このクラウドファンディングがなければかなり厳しいことになっていました。本当に、感謝しています。

さて、今日はこの「都市」特集の目玉企画の一つ、松田法子さんの論考を紹介します。松田さんは京都府立大学の都市史、建築史を専門にしている研究者で、『ブラタモリ』などへの出演でも知られています。僕らとのかかわりは「遅いインターネット」のウェブマガジンで上妻世海さんとの対談がきっかけで、僕はこの対談の原稿を最初に読んでから、次の紙の本は絶対にこの人に依頼しよう、とずっと思っていました。

京都の松田さんと何度かZoomで打ち合わせをして、松田さんが選んだテーマは「東京」です。松田さんは、6月に5日間に及び東京を歩きました(最終日は僕たちも合流しています)。そして東京の「湧水」をその足で巡りました。湧水は台地と低地の間に表れます。そしてそこは人間の居住地と生産地(漁場や水田)との境界線にある。この湧水をめぐることで、いまは東京と呼ばれているこの土地を人間がどう利用してきたかを浮かび上がらせます。そして、そこから、現在の鉄道網を中心とした東京の構造を重ね合わせます。そして、二枚の地図が重ね合わされることで、この東京という街の特徴、いびつさ、そして課題が意外な側面から現れてくる。そんな、スリリングな論考です。

ページ数もたっぷり撮って、贅沢に図版も載せました。早く松田さんの描き出す世界のもたらす知的な興奮を、読者に共有してほしい……そう思いながら、編集作業を進めています。

この雑誌では、こうやって専門領域でいい仕事をしている人が、ちょっとそこから離れて分野をまたがる横断的な仕事をしてもらい、そして新しい読者に出会い、そして新しい視点を持ち帰ってもらう。そんな回路になればいいなと思っています。あとふた息くらいで完成です。応援、よろしくお願いします!

紙の雑誌『モノノメ』のクラファン終了まであと9日です。支援はこちらから!