今回の報告には、カンボジアの建設支援に関する裏事情が含まれています。
少しショックを受けてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
でも、私は、実際にある、ありのままの状況をご報告しようと思います。
そして、そんな現状の中で、我々がどのように取り組もうとしているのかをご理解いただけたらと思います。
実は、国際支援というと善意だけが前面で語られ、裏の部分が見えにくくなることがあります。
しかし、そこには確実にビジネスが絡んでいます。
例えば、建設支援を例に挙げてみましょう。
日本からの支援でカンボジアに学校を建てるとします。
①個人あるいは団体で資金を用意します。
②地元の建設業者に資金の範囲内で見積もりを依頼します。
③業者は依頼者に見積書を送付します。
④施工に入りますが、この時に材料費のごまかしや建設過程での手抜きが行われます。
⑤そして学校は完成されますが、実際に支払った額よりも低い金額で建設されます。特に見えないところには、安い材料を使ったり、必要な行程を省略したりします。
⑥施工完了後、日本側が業者に支払いをしますが、工事を浮かせた分は業者に入るということになります。
実は、カンボジア支援、特に建設支援ではこれまでにこのようなことが当たり前のように行われてきました。
「校舎一棟で700万円かかると見積もられて、実際には400万円しかかかっておらず、300万円は業者の懐に入っていた。」
なんてことが起こり得るわけです。
大きな支援であるほど、こういったことが起こり得ます。(これは、カンボジアに限ったことではなく、ゼネコン・建設業界全般に言えることでもあります。)
国際支援であるがゆえ、現場まで目が行き届かないばかりに、支援とは関係ないところにこのような甘い汁を与えてきたわけです。
私たちは、このような事実を反省しなければなりません。
では、こうならないようにするためにはどうするかを考えましょう。
今回のトイレ建設をモデルにお話しします。
まず、信頼できる建設業者さんを決めます。こちらは、校長先生に地域の業者さんをご指名頂きました。
こちらの3名です。4名にはなることはありませんし、工事完了まで3名で請け負っていただきます。
そして、新しいトイレの建設施工費用は1基に付き300$、4基で1,200$と決定します。改修トイレの施工費用は、150$です。
それ以上にも、それ以下にもなりません。
報酬は、3名で均等に分配していただきます。
この取り決めをした上で、原材料は基本こちらで購入します。
原材料費で、少なく見積もっても合計2,000$はかかると見ています。(多分、後々こまごまとしたものが必要になるはずですのでそれ以上になります。)
必要材料については、何回か話し合い済みで、発注は学校側でしていただいております。
そして、施工過程の確認は、最も身近なLim校長先生にお願いしています。
余分に注文することを防ぐために、工程ごとに細分化してその都度発注し、納品書を確認していきます。
また、トイレの質を決定づける部位については、私とサラットさんとでお店に出向いて購入します。(こちらは、タイ資本の大きな原材料店です。)
例えば、こんな部分です。
このやり方により、材料の横流しや余分な発注は起こり得なくなります。
現在、カンボジアではコロナにより国境が封鎖され、物流が滞っています。
原材料費も高騰している上に、折りしもドルが高騰しています。
海外送金するときには資金は目減りします。
セカンドゴールの金額が、決して余裕のある資金ではないことをご理解いただければ幸いです。
皆さんの力で作るトイレです。
良いものを作り、より長い年月快適に使っていけるものにしていきたい。
そんな思いで、取り組んでおります。
ちなみに、本来ならば、学校側との綿密な交渉を行ってくれているSarathさんにも通訳費用(相場は1回50$~100$)をお支払いすべきところですが、すべてボランティアでご協力いただいていることを付け加えておきます。(先生方や地域の方々も同様です。)
彼も、ライオンズクラブに所属していて、主業の傍らボランティア活動を継続的に行っている方です。
みんなの想いで取り組む、日本とカンボジアの共同プロジェクトである証です。
PS:皆さんの支援で取り組むプロジェクトです。お金の流れについては、発起人である私が活動報告にてきちんと公表していきます。なお、カンボジアはリエルと言う通貨がありますが、高額な支払いは基本的にドル建てで行う社会です。
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国際協力NGO チアフルスマイル
代表 松田 辰弘
Tel 050-3442-4663(Japan)
Tel 092-681-788(Cambodia)
HP https://cheerfulsmile.org
mail mail@cheerfulsmile.org
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