2022/02/09 07:03

公演を成功裡に終了することができ、心からほっとし、胸をなでおろしています。実に様々のことがありましたが、公演2日前の夜に、夜間外出禁止令が解除され、サッカーのアフリカカップ準決勝の日とも重ならず(ブルキナファソは準決勝に進出したのです!)、多くのお客様に来ていただいて開催できたことは誠に奇跡のようです。そして、ボボにお住まいの、ジンベの神様と呼ばれているAdama Draméさんをはじめ多くの方々から高い評価をいただき、大きな励みとなりました。

会場の設備が非常に良くなかったことから、ドイツから来てくれたトーンマイスター(音楽録音と、そのプロデュースの国家資格です)のお二人には大変な苦労をかけてしまいました。会場の設備が良くないということは事前から様々の情報で察知しており、ワガドゥーグーにスタジオを持っているサウンドエンジニアから大量の機材をお借りし、マイ·リンガニさんの車にすし詰めに積み込み、後部座席で楽器と機材に挟まれ、身動きもできないような状態でボボまで行きました。しかし、そのことが会場経営者のお気に召さなかったらしく、最初から謝罪させられる羽目に…。そんなに機材を借りてきたりするのは、年間百近いコンサートを開催している会場に対して信頼と尊敬の念がない証拠だというのです。ですが、結局はこれらの機材があったためになんとか凌ぐことができたのです。その上、会場は漏電している様子でトーンマイスターたちはあれやこれやに触るたびに電気がビリビリと身体に伝わり、大変だったそうですが、私を心配させまいと、ワガドゥーグーに帰り着くまではそのことを口にしませんでした。そのせいかどうか定かではありませんが、彼らのパソコンの一台のハードディスクに問題が起きて、ベルリンで修理しないとせっかく録音したデータが取り出せません。書き出すとキリがありませんが、会場のスピーカーからミキサーまで、ひとつとしてちゃんと機能しているものがなかったため、問題箇所の追求、修理·調整に膨大な時間がかかり、リハーサルも思うように進められず、一時はどうなることかと心配しました。

でも、毎朝起きるたびに、今日こそは何とかなると気持ちを新たにして臨みました。

が、本番直前の最終調整のときに会場オーナーから呼ばれ、毎日のリハーサルが長すぎたので、その分の電気料金を支払えとか、他にも新たな金銭の要求を突きつけられ、呆れ果てました。

でも、そんなことに心乱されず、演奏に集中しようとみんなで言い合って、異様な雰囲気の中にもチームの絆をひしひしと感じながらの開演でした。

フランス語、デュラ語、ボアも語の混じった公演でしたので、ブルキナファソ人たちは筋が追えたようですが、白人のお客様たちには少し難しかったかもしれません。が、涙を流しながら観てくれた人も何人もいて、最後の場面で、お客様たちも舞台へ来て踊るように促したときも、たくさんの人が応じてくれました。終演後「オペラというものを初めて観たけれど、本当に素晴らしい!」とたくさんのブルキナファソ人が声を掛けてくれて、本当に嬉しかったです。

改善すべき点はまだまだありますが、いろいろな困難の中で、チームのひとりひとり、そして会場のスタッフもよく頑張り、結果を出せたことは、まさにオペラが総合芸術であること、多くの参加者の力を合わせて初めて成り立つものであること、みんなの心がひとつになったときには大きな感動を呼び起こすことができるということを証明していました。

ブルキナファソの国営放送RTBが、2月6日の日曜日午後8時からのニュースの中で流してくれた公演のルポルタージュです。

https://youtu.be/yzht0MXz514

11分38秒からが、私たちの公演についてです。このニュースはサッカーの決勝の前半終了後の休憩中に放映されたので多くの人々が見てくれたものと思います。

皆様のこれまでの暖かなご支援に、チーム一同あらためて心から感謝しております。五台のカメラでトーンマイスターたちが撮影してくれた映像と、ドイツから持参してくれた9個のマイク、ワガドゥグで調達したマイクロポートと大きな箱いっぱいのケーブルなどを駆使した録音を編集してYouTubeにアップロードしてお届けします。楽しみにお待ちください。リターンの品物もご用意が整い、本日トーンマイスターたちがベルリンへ持って行ってくれました。そこから日本へ送りますので今しばらくお待ちくださいませ。

皆様、本当にありがとうございました‼ 3月5日のワガドゥーグー公演に向かって再び頑張っていきます。今後ともこのオペラプロジェクトの進展を見守っていただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。